2024年10月6日から日本テレビ系「日曜ドラマ」枠で放送。主演は堀田真由。ルイーザ・メイ・オルコット『若草物語』を原案として、舞台を現代の日本に置き換えて描かれる社会派シスターフッドコメディー。
若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私-の原作
若草物語 一八六八年に出版された『若草物語』”LittleWomen”第一部は、ルイザ・メイ・オルコットの全作品を通じてもっとも有名で、長い年月を経た今日なお世界中で広く愛読されている本である。そんなに長い間こんなに人気の衰えない子供の本というものは珍しい。それは扱われているテーマが「平凡な一家庭の日常茶飯事」で、そういうものは時代とともに古びるというものではないからだ、と言ってしまえばそれまでだが、それにしてもそっくりそのまま舞台を現代に置き換えても、少しの古さも不自然さも感じられない不思議な本である。ルイザは、これを出版業者トーマス・ナイルズ氏の依頼で書いた。それまで寓話のようなものしか読んだことのない子供たちの前に、いきなり自分たちと同じような血の通った少女たちが現れて、自分たちと同じようなことを言ったりしたりする。しかもそれは「性格描写の確かさにおいて、近代の作家もこの古き作家に学ぶがよい」と今では言われているルイザの筆になったものだ、子供たちがとびつき狂喜したのは当然だった。『若草物語』が、「アメリカの児童文学にはじめてリアリズムを導入した本」と言われるゆえんである。
続 若草物語 『若草物語』に続く、マーチ家の四姉妹の青春の日々。夢を語りあった幼い頃の日々は過ぎ去り、厳しい現実が四人姉妹を待ち受ける。だが、次女ジョーは母に励まされて書いた小説が認められ、エイミーとローリーは婚約。姉妹は再び本来の明るい姿を取り戻し始める。
第三若草物語 ジョーのつくった子どもたちの家の物語。わんぱく小僧のトミー、乱暴者のダン、心優しいデミとデイジー、おてんばなナン……子どもたちの引き起こす事件でプラムフィールドはいつも賑やか。心温まる名作。
第四若草物語 久しぶりに集まった大家族。成長した子供たちに恋愛問題がもちあがり――前作から10年。プラムフィールドは大学に、子供たちは個性的な紳士淑女となり、プラムフィールドから巣立っていった――。四姉妹から始まった壮大なマーチ家の物語が、ついに迎える終幕。
ドラマ 若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私
あらすじ
勝気で口が達者な次女・涼(堀田真由)は、ドラマ制作会社で助監督として忙しく働く毎日を送っていたが、ある日大御所脚本家が書いたドラマの監督を務めるチャンスが巡ってくる。
一方、結婚願望強めの長女・恵(仁村紗和)は、ハローワークの非正規職員。周囲に内緒で職場恋愛中だが、彼から結婚をはぐらかされたり、上司から送られてくる“おじさん構文”全開の私的なメッセージに頭を悩まされている。
そんな姉たちを尻目に、したたかで甘え上手な四女・芽(畑芽育)は、ファッションデザイナーになる夢を叶えるべく、服飾専門学校で服作りの腕を磨いている。エリート大学生の彼氏と順調に交際を続けてきたが、ある“沼オトコ”との出会いを機に計算が狂い始める。
心優しくおっとりとしていて役者を志していた三女の衿(長濱ねる)は、衿は、涼の一番の理解者だったが、今、姉妹の家にその姿はない。そんな衿の“不在”で心に穴が空いた涼の前に、すっかり大人の男性になった幼馴染が9年ぶりに姿を現す。
仕事、恋愛、結婚、夢……人生の難題にぶつかりトライ&エラーを繰り返しながら幸せを模索する四姉妹がたどり着く四者四様のハッピーエンドとは……
女性の自律物語としての「若草物語」(若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私の感想)
三姉妹の物語だった「9ボーダー」で末妹を演じた畑芽育が、ここでまた四姉妹の末妹役なのだが、誰も気にしないのかいな。
原案として「若草物語」をクレジットしており、保守的な長女(ハロワの非正規職員)を仁村紗和、直情的な二女(脚本家志望)を堀田真由、内気な三女(役者志望)を長濱ねる、そして生意気な四女(服飾専門学校生)を畑芽育に重ねている。なぜか長濱は失踪中というトリッキーな設定(「9ボーダー」でも、姉妹の父親である高橋克実が中盤で失踪から帰還していた)。
ジョージ・キューカーも映画化したオルコットの小説は、日本では、父親が不在の家庭で四姉妹が睦まじく暮らす第一部ばかりポピュラーだが、それぞれが結婚して「小婦人(Little Woman)」として人生を歩んで行く第二部がある。ということから、本作はそれを女性の自立物語として描くのだろう。キューカーの映画ではキャサリン・ヘップバーンが演じた役を「恋せぬ私」として堀田真由が演じるのは、いささか荷が重いかも。
2話まで観たところだが、テレビドラマ制作の舞台裏がモチーフになっていて、制作会社の助監督だった堀田真由がいきなりドラマの監督を命じられ、大御所の脚本家と対立して会社を辞め、脚本家を目指すという展開だった。ドラマの現場における脚本の権力性を隠そうともしていないのが興味深い。
…という脚本を書いているのは、わりと新しい人で、井桁弘恵の「紅さすライフ」を書いているが、私は初話しか観ていない。「家売る女の逆襲」も書いているので、筒井真理子が演じる「ラブストーリーの名匠と呼ばれるベテラン脚本家」は「家売る女」を書いた大石静が投影されているのではないか、と想像してみる。
キャスト
主要人物
町田涼〈27〉 – 堀田真由
町田恵〈29〉 – 仁村紗和
町田衿〈26〉 – 長濱ねる
町田芽〈21〉 – 畑芽育
周辺人物
行城律〈27〉 – 一ノ瀬颯
小川大河〈35〉 – 渡辺大知
沼田灯司〈21〉 – 深田竜生
桃ちゃん〈21〉 – 井手上漠
大平かなえ〈60〉 – 筒井真理子
黒崎潤〈59〉 – 生瀬勝久
柿谷成実〈37〉 – 臼田あさ美
佐倉治子〈43〉 – 酒井若菜
土方昭彦〈54〉 – 阪田マサノブ
町田満美〈53〉 – 坂井真紀
スタッフ
原案 – ルイザ・メイ・オルコット『若草物語』
脚本 – 松島瑠璃子
音楽 – はらかなこ
主題歌 – いきものがかり「ドラマティックおいでよ」(Sony Music Labels Inc.)
演出 – 猪股隆一、瀬野尾一
プロデューサー – 森有紗、松山雅則
協力プロデューサー – 河野英裕
チーフプロデューサー – 松本京子
制作協力 – トータルメディアコミュニケーション
製作著作 – 日本テレビ
観た人の感想
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