ゴーイングマイホーム

山口智子(ゴーイングマイホーム)
山口智子(ゴーイングマイホーム)

2012年10月9日~12月18日の毎週火曜22時-22時54分に関西テレビ・テレビマンユニオンの共同制作により、フジテレビ系で放送。是枝裕和が本作で初めて民放のテレビドラマおよび連続ドラマの監督・脚本を手がけ、同枠で初めてのプログレッシブカメラ制作となった。初回は2時間5分スペシャル。山口智子は『ロングバケーション』(1996年4月期)以来約16年ぶりの連続ドラマ出演、宮﨑あおいも『しあわせのシッポ』(2002年4月期、TBS系)以来約10年ぶりの民放ドラマ出演。夏八木勲の最後の出演テレビドラマでもある(2013年5月11日死去)。となる。
2013年1月23日開催のロッテルダム国際映画祭に正式招待され、全10話が一挙上映された。日本の連続ドラマが国際映画祭で全話上映されるのは異例のこと。

視聴率的な大敗に終わったのは、サッカー日本×ブラジル戦で2週目の放映が遅れたからではもちろんなく、是枝監督に、しょせんドラマに過ぎないドラマを撮るつもりが皆無だったからであり、完全に確信犯だったと言える。よくまあ企画が通ったものだと思うが、これもまた、滅びつつあるメディアであるテレビドラマの愉しみである、ということにしておこう。
スタッフリストを見てもわかる通り、完全に映画制作の布陣なのだが、映画としては10時間近い大作ということになる。おびただしい数役者が投入されたのはそのためだろう。
視聴率はどんどん下がっていくので、相当心臓が強くなくては撮り続けられなかったと思う。そういう意味でも映画監督でなければ作れなかったドラマと言える。

おびただしい数の癖のある役者が次から次へと登場するので、ドラマPR的に目玉であったはずの山口智子宮崎あおいの影は薄くなる。是枝監督はドキュメンタリーの人だからロングの絵が多いし、音楽で盛り上げることもしないので、尚更である。

映画としては豊かさに満ちていると思える場面が続くが、皮肉なことに、テレビという戦場では逆にそれが「薄さ」となってしまう。この差は、見る側が属する時間の速度にかかわる問題である。そのことに対する戦略を監督は持っていなかったように思う。
たとえばテレビドラマでは、最終回の1話前に視聴者の関心が頂点に達する構成がオーソドックスだが、9話の森のクーナ探しは、撮影の困難がしのばれるはするものの、やはりピントがずれてしまっていた。どうせなら、それまでに出てきた役者のほとんどを集めるぐらいのことができれば、また違ったかもしれないが…。

それにしても、途中からは、どのようなラストカットでこの物語を締めるのかということを楽しみにしていた。うっかり冬の夜のベランダに締め出されてしまった阿部寛の体を温めるために、山口智子が作ったシチュー(?)の真ん中に三角の赤いニンジンが載っている、という絵は最後まで見届けた満足感を与えてくれていた。

キャスト

主要人物
 坪井 良多 – 阿部寛
 坪井 沙江 – 山口智子
 坪井 萌江 – 蒔田彩珠
 下島 菜穂 – 宮﨑あおい
 鳥居 治 – 西田敏行
 下島 大地 – 大西利空
良多の家族
 坪井 栄輔 – 夏八木勲
 坪井 敏子 – 吉行和子
 伊藤 多希子 – YOU
 伊藤 晃 – 林凌雅
 伊藤 身和子 – SALA (現:咲蘭)
 辻 時子 – りりィ
 坪井 信輔 – 小野武彦
良多の仕事関係者
 真田 隼 – 新井浩文
 陽 – 伊藤洋三郎
 山岡 – 森岡龍
 真田 – 足立智充
 浅井 – 辰巳蒼生
 野島 – 池田成志
 池堀 慶二 – 丸山智己
沙江の仕事関係者
 若木 潤 – 菅野莉央
 井戸田 夏海 – 長田奈麻
 橘 – 村岡希美
長野の人々 / クーナ一家
 徳永 太郎 / クーナ息子 – 阿部サダヲ
 堤 千恵子 / クーナ妻 – 江口のりこ
 宮内 あこ / クーナ娘 – 石井杏子
 宮内 りこ / クーナ娘 – 石井梨子
 百瀬 一 / クーナ父 – 常田富士男
 フミヨ / クーナ母 – 芹川藍
 畠中 知二 / クーナ叔父1 – 中村靖日
 梶 鉄也 / クーナ叔父2 – 山中崇
その他
 山下 鎌作 – 清水章吾
 小林 悟 – バカリズム
 園田 千春 – 千葉雅子
 越野 きらり – 浜尚美
 加藤 珠璃亜 – 石井香帆
 坂上 紫苑 – 松本祐介
 チェン – テイ龍進
 周東 竜二 – 菅原大吉
 錦織 光成 – 古舘寛治
 矢野 良子 – 安藤聖
 山辺 – 越村公一
 野間 – ノゾエ征爾
 白石 – 螢雪次朗
 川嶋 – 渡辺憲吉
 鳥井 久実 – 天光眞弓
 平子 英樹 – 西山聡
 野口 雄治 – 和知龍範
 森谷 凛 – 大谷英子
 森谷 のん – 永島のん
ゲスト
 松谷 真乃 – 佐津川愛美
 山中 健太郎 – 宅間孝行
 小寺 絢子 – キムラ緑子
 澤村 ひとみ – 中村ゆり
 高田純次 – 本人
 中津 和哉 – 眞島秀和
 下島 惠 – 加瀬亮
 小林 琉花 – 川口春奈

スタッフ

監督・脚本・編集:是枝裕和
助監督:兼重淳
スクリプター:冨田美穂
キャスティング:田端利江
制作担当:早川徹
撮影:山崎裕
照明:尾下栄治
録音:弦巻裕、冨田和彦出助手:遠藤薫、森本晶一、武鑓加恵
監督助手:北原栄治、広瀬奈々子
撮影助手:髙橋直樹、井手口大騎ダグラス
照明助手:加瀬拓郎、後藤史兆、正木智恵
録音助手:川俣武史
装飾:松尾文子、布部雅人
小道具:塚本周作
持道具:一條のはら
装飾助手:大原清孝
スタイリスト:小林身和子
ヘアメイク:酒井夢月
ヘアメイク:小泉尚子
スタイリスト助手:宇田川尚美
衣装制作:川間多希子
ヘアメイク助手:中山知美、後藤麻里
音楽:ゴンチチ
劇中音楽:小田切大、たなかけん
主題歌:槇原敬之「四つ葉のクローバー」
音響効果:勝俣まさとし
フォーリーアーティスト:伊東晃
クーナデザイン:大塚いちお、河村杏奈
特殊造形:森田誠
オープニングタイトル:森本千絵、稲垣護
フードスタイリスト:飯島奈美
メディカルアドバイザー:マエカ
歯科医指導:上田重美
制作主任:熊谷悠、中円尾直子
制作進行:白取知子
制作応援:矢口将樹、古野修作
制作デスク:望野さやか、望月麻美技事務:杉山洋子
キャスティング助手:山下葉子
協力プロデューサー:安藤和久
プロデュース補:田中耕司大西隼岡村祥子
プロデューサー:豊福陽子熊谷喜一

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