うぬぼれ刑事

戸田恵梨香(うぬぼれ刑事)
戸田恵梨香(うぬぼれ刑事)

2010年7月9日~9月17日に毎週金曜22:00-22:54にTBS系「金曜ドラマ」枠で放送。脚本は宮藤官九郎。主演は長瀬智也。恋愛体質でうぬぼれが強い刑事“うぬぼれ”が、自らが一目惚れした女性の罪の真相を突き止めていく一話完結の刑事ドラマ。宮藤官九郎が7年間の構想の果てに実現した初の「刑事物」。第29回向田邦子賞受賞。

うぬぼれ刑事のネタバレ感想

のっけから、西田敏行が書いた「うぬぼれ刑事」という自伝?が単行本化され、ドラマ化が進んでいるというメタなシチュエーションになっていて、クドカンワールドならでは。テンポの良さは一流、ドラマを知り抜いている印象である。クドカンは松岡、長瀬を好んで起用するので、TOKIOのイメージの半分くらいはクドカンがつくっている気がする。

毎回、生田斗真が「本城ダサメさん」と間違えられたり、捜査本部のホワイトボードに伊達みきおの写真が張られると、「ぅおぅ! 顔が『悪』という漢字に見える!」とドヨメキが走るなど、細かいギャグがこれでもかと詰め込まれていて、思わず腹をかかえる。

6話では、劇中ドラマ「うぬぼれ刑事」の監督(橋本じゅん)が考えた、ショーケンや松田優作をしのぐ殉職シーンが「餓死」というギャグがあった。
「犯人と結婚できるまでは断食すると誓ったうぬぼれ刑事が、とうとう突き止めた犯人の家で、炊飯器の炊きたてのご飯の中に顔を突っ込んで…餓死!」
バー「I AM I」の面々は「が、餓死って…『蛍の墓』じゃあるまいし…」とどよめくが、あれは終戦記念日近くにわざわざもってきたネタなのだろうか。

さて、このドラマは毎回「罪を犯した女」に長瀬が一目惚れするという話で、初回は加藤あいだった。

2話目は蒼井優。この人の笑顔は値千金。ただ悪女の演技は、もうひとつだと思った。

3話目は樋口可南子で、78年生まれの長瀬智也とは20歳違い。この人はこの10年ほど老け役というか、老夫に釣り合う妻ばかりを意識的にやっているのではないか。その上で、魚を思わせるしなやかな動きをするのだが、今回も長瀬とのベッドでの戯れのシーン、乱れた服装で息荒く玄関に立つギャグシーンなど、正しくドキドキさせてくれる。

4話目は戸田恵梨香で、やっぱりヤンキーキャラかと思わせる。ヤンキー=先輩に敬語づかい、ということで、それがなんだか萌える(「ライアーゲーム」の戸田がいいのは、敬語づかいだからだと思う)。

5話目は薬師丸ひろ子で、かつて玉置浩二夫人であったという今では信じられないような事実を思い出した。
角川映画「野性の証明」オーディションに選ばれたとき、角川春樹はなんとしても薬師丸に決めさせようと入念に根回しをしたというが、最終的に角川事務所を独立する際に確執が残ったともいう。玉置夫人である間は女優から遠ざかっており、青山真治の「レイクサイド・マーダーケース」で、椅子の背を床にガン!と叩きつける演技を見て、驚いた記憶がある。今囘も、長台詞の回し方は余裕で素晴らしかった。樋口可南子より年下だが、64年生まれなので、長瀬智也とは14歳違い。

6話の小雪は、「バカな女」という扱いなのだが、ぜんぜんバカのようには見えなくて、コント並みだった。バドミントンのペア名が「ハギシリ」というのもシャレがきつすぎる(オグシオが解散したのは2008年のことで、小椋久美子は今年はじめに現役を引退している)。

7話は小泉今日子。埠頭での、長瀬と小泉今日子のビミョーにヘンテコなダンスのコラボがあり、これは本作の中でも白眉と言っていい名シーンあった。振り付けがついていたらしいが、スタッフブログによれば、アドリブ満載だったとか。

8話は三田佳子だが、65どころか69歳である。さすがに無理があるので今回は西田敏行が一目惚れする設定。ほとんどギャグには参加せず。存在感だけで芝居をしていて「大物感」を示していた。この回はいきなり冒頭から長瀬のダンスがあり、階段4段ぬかしに爆笑w

9話は趣向を変え、光浦靖子。これはうぬぼれの母親竹下景子が現れ、西田敏行と結婚したときすでに妊娠していたという話から、坂東三津五郎(恋愛心理学のカリスマ教授という設定)が心についた火のほうが体についた火よりも火力が強いんです…と解説して、八百屋お七の話につながっていく。
天和二年、正仙院なる寺の小姓・生田庄之助が、大火で避難して来た八百屋の一家の末娘お七に恋慕し、人目を避けながらも深い契りを結ぶ仲になった。家に戻ってからも庄之助の事が忘れられず、また火事があれば庄之助の寺に泊まることができると考えたお七は放火を謀るが見つかって未遂に終わったという。お七は捕らえられ、市中引き回しの上、火刑に処せられた、というのがお七の話のあらましだが、記録はまったく残っていないという。
イケメン消防隊員に恋慕して…と思わせておいて、実は光浦の心に火を付けたのは坂東三津五郎というオチである。火をつけるときだけかけてしまうメガネ、燃えるダーツを投げての放火といった細部など、なかなか凝っており、光浦の「メガネ」をモチーフにしているのは鋭い。

10話は石田ゆり子。娘と友だち母娘の若作りママ、19歳で娘を生んだというので35歳ぐらい?という役柄なのだが、実際は40歳!という美魔女。今回はセーラー服シーンもあり、驚く。

11話は中島美嘉(元婚約者)に告白すると予想したのだが、うぬぼれとサダメ君が国定忠治スタイルで登場したり、うぬぼれ5のダンスシーンがクライマックスだったり、サービス満点の最終回で終わった。

このドラマの荒川良々は本当に面白かったなー
今回、「神無月」を左手で書いていることに気づいたが、左利き??

うぬぼれ刑事の板書

うぬぼれ刑事の板書(字は美術さんの作らしい)

さて、うぬぼれなどという名前があるはずもなく、本名は「小暮 己」であることが最終回に判明。これまでも婚姻届にはそう書いてあったそうなのだが、見えないように隠すのが大変だったとのこと。

うぬぼれ刑事のキャスト

主人公
 “うぬぼれ” / 小暮 己〈30〉 – 長瀬智也
 栗橋 誠 – 坂東三津五郎
 本城 サダメ〈26〉 – 生田斗真
 松岡 征士郎 – 要潤
 穴井 貴一〈38〉 – 矢作兼
バー「I am I」
 ゴロー – 少路勇介
 玲子ママ – 森下愛子
その他
 日暮 里恵〈27〉 – 中島美嘉
 冴木 優〈33〉 – 荒川良々
 町田警部 – 小松和重
 登戸 – ムロツヨシ
 婦警・小山 – 伊藤修子
 婦警・南 – 西慶子
 監督・田代 – 橋本じゅん
 女優 – 遠山景織子
 葉造〈59〉 – 西田敏行

うぬぼれ刑事のスタッフ

脚本 – 宮藤官九郎
音楽 – 仲西匡、市川淳、都啓一
演出 – 宮藤官九郎、吉田健土井裕泰金子文紀
主題歌 – TOKIO「NaNaNa (太陽なんていらねぇ)」(ジェイ・ストーム)
挿入歌 – 中島美嘉「一番綺麗な私を」(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)
音楽プロデューサー – 志田博英
プロデューサー – 磯山晶
製作 – TBS

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うぬぼれ刑事 PrimeVideo

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