悪い種子

1954年にウィリアム・マーチが発表した小説「The Bad Seed」（マーチの遺作、1955年に全米図書賞小説部門にノミネート。ブロードウェイミュージカル）を原作として、1956年にマーヴィン・ルロイ によって映画化。マーヴィン・ルロイ版はアカデミー賞にノミネートされ、リメイクもされた。イーライ・ロス監督のリメイクも計画されたが、没になった。2018年にテレビ映画がマッケナ・グレイス主演で作られ、2022年にその続編が放送された。

悪い種子のあらすじ

クリスティーン・ペンマークと夫のケネスの8歳の娘、ローダ・ペンマークは礼儀正しく賢い子で、読書、宿題、ピアノの練習をする一方で、他の子供たちからは距離をとられていた。父親の出張中、クロードは学校のピクニックで謎の溺死を遂げたが、ローダはそれに無関心だった。クロードは事故死だと思われていたが、顔には三日月型の跡が付いていた。クロードは書き方でメダルを取っており、ローダはそれを自分が取るはずだったと文句を言っていた。ローダは自分が最後にクロードを見たことについても嘘をついていた。
ローダは、親にペットの犬をせがんでもすぐに飽きて、犬は窓から転落したという。隣家の老クララ・ポストは自分が死んだらローダにスノーグローブをあげると約束していたが、まもなく転落事故でスノーグローブはローダの持ち物になった。ローダは先生や校務員に何度も嘘をついて退学処分になった。
調査報道ジャーナリストであるリチャード・ブラボーは、クリスティーンは養子で、連続殺人犯の家で見つかった唯一の生存者だったことを知らせる。クリスティーンの実の母はベッスィー・デンカーであり、電気椅子の刑で死んだ悪名高い連続殺人犯だった。
殺人者の「悪い種」の遺伝子を我が子に受け渡したことでクリスティーンは自分を責め、夫に手紙を書くが、投函はしなかった。
ペンマーク家のアパートの用務員リロイ・ジェサップは、ローダが意地悪な子だと知っていた。リロイは容赦なくローダをからかい、クロードが死んだのはローダのせいだと信じた。ローダは平然としていたが、滑り止めの付いた靴でクロードをたたいたとリロイが言う。クロードの顔に残った三日月型の跡はそのせいだった。ローダはリロイが秘密をばらすことをおそれ、マットレスに火をつけて中に閉じ込める。クリスティーンはこの殺人を目撃して震え上がった。
クリスティーンはローダと話し、ローダは最初は言い逃れようとしたが、ついに自分がクロード、リロイ、そしてクララ・ポストを殺したことを告白する。クリスティーンはローダに誰も殺させないため、死なせるために睡眠薬を与え、寝室でピストル自殺した。ローダは銃声を聞きつけた隣の人に助けられた。父親は、妻がノイローゼだったと思った。クリスティーンが投函しなかった手紙もその他の証拠も捨て、ローダはまた自由に殺人ができるようになった。

悪い種子の感想

種子には「たね」とルビが付くが、劇中のbad seedは「悪い血筋」と訳されている。つまり遺伝差別についての映画でもある。

ナンシー・ケリー（日本公開作がほとんどない）演じる母親は、自分が有名な女殺人鬼の娘であることにふと気がつき、8歳の娘（パティ・マコーマック）に犯罪者の血が遺伝していることに苦悩する。

成長したマコーマックも多くの映画に出ているが、日本公開作はほとんどない。ただしドラマはERやらクリミナルマインド、グレイズアナトミー、デスパレートな妻たち、スーパーナチュラル等でおなじみ。

本作はブロードウェイのヒット作の映画化であり、ケリーもマコーマックも劇場版からのキャストなので非の打ちどころのない演技（ややオーヴァー）である。ワンシーンワンショットが基本だが、複数キャメラでの切り返しもあり、映画としても飽きさせない工夫がある（130分で長めだが）。

ヘイズコードによってマコーマックが天罰を受ける結末が加えられ、エンドマークの後に人を食った役者紹介と、「この子ったら…！」とケリーがマコーミックの尻を叩くショットが付くことでも有名である（舞台版でも同じことをしたのだろうか？）

悪い種子のキャスト

クリスティーン・ペンマーク（ローダの母）：ナンシー・ケリー
ローダ・ペンマーク（クリスティーンとケネスの幼い娘）：パティ・マコーマック
リロイ（アパート清掃員）：ヘンリー・ジョーンズ
ホーテンス・デーグル(クロードの母親)：アイリーン・ヘッカート
モニカ（アパートの大家）：イヴリン・ヴァーデン
ケネス・ペンマーク（大佐・ローダの父・クリスティーンの夫）：ウィリアム・ホッパー
リチャード・ブラボー（クリスティーンの父・ローダの祖父）：ポール・フィックス
エモリー（モニカの兄）：ジェーシー・ホワイト
レジナルド・タスカー（犯罪学者）：ジョージ・クラーク
ファーン（ローダの小学校の先生）：ジョーン・クロイドン
ヘンリー・デーグル（ホーテンスの夫・クロードの父親）：フランク・キャディ

悪い種子のスタッフ

監督：マーヴィン・ルロイ
脚本：ジョン・リー・メイヒン

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悪い種子を観た人の感想

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