高村薫の小説「照柿」を井上由美子の脚本で1995年にドラマ化。主人公は「マークスの山」でもおなじみの警視庁捜査一課の敏腕刑事・合田雄一郎。合田刑事に三浦友和、合田の幼なじみに野口五郎、2人の男を惑わせる運命の女に田中裕子。全6回。
照柿の原作
照柿の原作のあらすじ
ホステス殺害事件を追う合田雄一郎は、電車飛び込み事故に遭遇、轢死した女とホームで掴み合っていた男の妻・佐野美保子に一目惚れする。だが美保子は、幼なじみの野田達夫と逢引きを続ける関係だった。葡萄のような女の瞳は、合田を嫉妬に狂わせ、野田を猜疑に悩ませる。
照柿の原作を読んだ人の感想
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ドラマ照柿の感想
合田雄一郎ものの2作目で、1作目の「マークスの山」と3作目の「レディジョーカー」は上川達也(映画は中井貴一と徳重聡)だが、本作は三浦友和。
警視庁捜査一課の警部補だった合田は、本作で被疑者の自白強要をヤクザに依頼したり(100万も私財を投げ打っている)、捜査情報を悪用して友人を左遷させようとしたり、一目惚れした事件関係者(これが田中裕子)と昼下がりの名画座(大島渚の「少年」がかかっている)でよろしくやったりと問題行動を連発したかどで所轄大森署に左遷、「レディージョーカー」では一介の刑事のままなのだが、のちに猛勉して警視庁国際捜査課の警部に昇進する。本作はまさに「堕落の森」をさまよう趣で、これは三浦友和でなければできなかっただろう。
登場人物は三浦と田中、そして野口五郎で、三者とも意思疎通が頑なにすぎる人たちなので、めちゃくちゃ重苦しい。8月の猛暑、それも拝島の熱処理工場とか大阪とかロケ地も暑苦しく、画面はずっと鬱々としていた。全3回を見通すのは体力を要する。
田中裕子のファムファタルぶりは息をのむばかりで、三浦友和や野口五郎ならずとも身を滅ぼしかねない危険な演技。それにしても野口五郎は大変な熱演だった。あと、殺される画廊オーナーを癖のある藤田敏八が演じていた。
ドラマ照柿のキャスト
合田雄一郎 – 三浦 友和
佐野美保子 – 田中 裕子
野田達夫 – 野口 五郎
有澤三郎 – 大杉 漣
林警部 – 河原崎 建三
吾妻哲郎 – 頭師 孝雄
森義孝 – 長森 雅人
加納祐介 – 白竜
野田律子 – 黒田 福美
ドラマ照柿のスタッフ
演出:吉村芳之
撮影:横山義行
照明:堀武志
美術:稲葉寿一
脚本:井上由美子
技術:上原康雄
音声:谷島一樹
原作:高村薫
制作統括:木田幸紀
音響効果:平塚清