テシス 次に私が殺される

アナ・トレント(テシス 次に私が殺される 配信)
アナ・トレント(テシス 次に私が殺される 配信)

1995年製作のスペイン映画。原題はTesis」。アレハンドロ・アメナーバル監督のデビュー品。偶然にも学内でスナッフフィルムを発見してしまった女学生の恐怖を描くサスペンス。アメナバルが23歳の時の作品で、当時のスペインの興行成績を塗り替えた。また、ゴヤ賞において最優秀作品賞を含む7部門を受賞した。日本では最初『殺人論文 次に私が殺される』のタイトルでビデオ発売され後に劇場公開された。DVDでは原題どおりの『テシス』と簡潔な題に改められた。

テシス 次に私が殺されるのあらすじ

1995年11月、マドリッドのマドリード・コンプルテンセ大学の学生のアンヘラは、卒業論文に「映像における暴力」を選んだ。調査のため暴力的な映像を見たいという彼女に、指導教授のフィゲロアはしぶしぶながら、残酷ビデオマニアでコレクターのチェマを紹介するが、お目当てのものはなかなか見つからない。そんな折、教授が学校のビデオ図書館から借りたビデオを鑑賞中、心臓発作で死ぬ。アンヘラはこっそり現場からビデオを持ち去る。意を決してチェマと一緒に中身を見ると、若い娘が惨殺され死体がバラバラにされる様が映っていた。チェマは、ビデオの娘は数年前行方不明になった大学の同級生だと断言。さらに使用されたカメラの機種を特定し、二人で犯人を割り出そうとする。

アナ・トレントの登場におもわずため息(テシス 次に私が殺されるの感想)

アメナーバル23歳の作。「オープン・ユア・アイズ」と同様ノリエガが怖い役で出ていて、日本ではどういうわけかノリエガより人気があるフェレ・マルティネスもどちらにも出ており、二人とも同じような役柄である。

だが、そんなことよりも「テシス」のヒロインのアナ・トレントはなんと「ミツバチのささやき」のあの少女アナなのであり、思わずため息が出てしまう。

アナとフェレが二人ともウォークマンをしたまま視線を合わせ、近づいていく場面(キャメラが切り返すたびに音楽もそれぞれが聴いているヘヴィメタとクラシックに切り替わる)は、「オープン…」で、ペネロペ・クルスとノリエガが似顔絵の描きっこをする場面に匹敵する名シーンであろう。この監督はこういうのが好きなのか。

さて「テシス」は、スナッフフィルムが題材なのだが、暴力シーンはほとんどないにもかかわらず、全編を通じてやたらとまがまがしい雰囲気が漂っている。

この題材を扱ったものとしてはアンソニー・ウォーラーのデビュー作「ミュート・ウィットネス 殺しの撮影現場」が思い起こされる。mute witness というヒチコックばりの設定が泣かせ、最後まで、というか厳密には真ん中ぐらいまでだが、画面から目を離せないサスペンス映画の醍醐味を味わうことができる。
この監督は「脅迫者~バッド・スパイラル~」(劇場公開時のタイトルは「バッド・スパイラル~運命の罠」)という忘れがたい冒頭シーンがある映画も撮っていて、演出のテンポ、カット、ともに驚嘆の思いで引き込まれる。
「脅迫者」では、フツー死なないはずのガブリエル・アンウォーがあっさり殺されてしまうのでびっくりし、誰にも感情移入させないように書かれた、サスペンスとしてはフシギな脚本で、「ミュート・ウィットネス」と同様に結末は最後まで読めず、110分もあるので(「ミュート…」と同じ90分台にすべきだったろう)、観る者を疲れさせてしまうのが難点。


テシス 次に私が殺されるのキャスト

アンヘラ – アナ・トレント
チェマ – フェレ・マルティネス
ボスコ – エドゥアルド・ノリエガ
カストロ – ザビエル・エロリアーガ
フィゲロア教授 – ミゲル・ピカソ
ヨランダ – ロザ・カンピージョ
セナ – ニエベス・エランス

テシス 次に私が殺されるのスタッフ

監督 – アレハンドロ・アメナーバル
脚本 – アレハンドロ・アメナーバル、マテオ・ヒル
製作 – ホセ・ルイス・クエルダ
音楽 – アレハンドロ・アメナーバル
撮影 – ハンス・バーマン
編集 – マリア・エレナ・サインツ・デ・ローサス
公開 – スペイン 1995年4月16日 日本の旗 1997年7月19日
上映時間 – 125分

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