湊かなえの連作短編集(『オールスイリ』『オール讀物』2010年~2012年掲載、2013年1月30日文藝春秋刊)のうち、「みかんの花」「海の星」「雲の糸」の3編を原作として、2016年9月28日の21時~23時18分に『ドラマスペシャル 湊かなえサスペンス 望郷』と題するオムニバスドラマとしてテレビ東京系列にて放送。
望郷の原作
日本推理作家協会賞受賞! 都会から離れた島に生まれ、育った人々。 島を憎み、愛し、島を離れ、でも心は島にひきずられたまま―― 閉ざされた“世界”を舞台に、複雑な心模様を鮮やかに描く湊さんの連作短編(全六編)。 収録作「海の星」が日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞、選考委員の北村薫氏は、 「鮮やかな逆転がありながら、小説の効果のための意外性のため無理に組み立てられた物語ではない。筋の運びを支える魚料理などの扱いもいい。(中略)――ほとんど名人の技である」と絶賛。 自身も“島”で生きてきた湊さんが「自分にしか書けない物語を書いた」と言い切る会心作。島に生まれ育った私たちが抱える故郷への愛と憎しみ…屈折した心が生む六つの事件。望郷の原作を読んだ人の感想
-
どの言葉がよくて、どの言葉がいけないのか、
どの言葉が人を傷つけて、どの言葉なら人を傷つけないのか。
言葉は知らないうちにナイフになる――湊かなえ『望郷』の感想・レビュー(ダイドウジボード) -
島も本土も抱えている問題はそんなに変わらないんだなと思った。それぞれの環境に合わせて少し形を変えているだけだ。僕たちは本質的に学ばなければいけない。その本質はどこにでも存在している。
望郷(湊かなえ)を読んだ感想(本を読むこと-読書から何かを学ぶためのブログ-) -
瀬戸内に生まれ育った島人達のちょっと刺激強めの人間関係。
【望郷】湊かなえ 読書記録(短文1分強)(ゴーシュ)
オムニバスドラマ 望郷
あらすじ
全国で唯一残る一島一市だった白綱島市が対岸の市に吸収合併されることに。島で暮らす主婦の富田美里(広末涼子)は閉幕式会場で、演壇の小説家の桂木笙子(水野美紀)を見つめていた。20年前、島を捨て東京へ行ったきり一度も帰ってこなかった憎き姉。作家として成功した笙子は都会的な服装に身を包み、望郷の思いを込めた文章をセンチメンタルに読み上げていた。式が終わり会場を出たところで、美里は笙子の同級生だった宮下邦和(水橋研二)に呼び止められた。そこに笙子も現れ、美里は嫌悪感をあらわにするが、笙子はまったく悪びれない。ともに邦和の車に乗せてもらい、母と美里の夫、娘の待つ家に向かった。
美里は想いを馳せる――。20年前のあの夏、父を事故で亡くし家族三人で必死に生きてきた富田家に、都会から来た若い男・奥寺健一(田中圭)が爽やかな風を運んできた。美里は健一とある約束を交わしたが、それは守られず、姉の笙子を憎むことに。20年の月日が経ち、母の安江(倍賞美津子)は認知症を患った。美里はある疑念を抱く。そして笙子は驚くべき事実を語り始めた…。
感想
書店の平棚で「湊かなえ 原点回帰」という帯コピーが躍っているのが一瞬視界に入り、そうだよねえ、やっぱりここで稼いでおかないと、と思ったのだったが、熱心な読者でもない私も、榮倉奈々の「Nのために」は欠かさずに見ていたから、温暖な瀬戸内海の島でのドロドロ暮らしに対するこの作家のルサンチマンをよく知っている。
本作はその島を舞台にした3話のオムニバスで(原作は6話ある)、風来坊と駆け落ちして島を捨てた水野真紀、行方不明の家長を諦めずに捜索し続ける母子家庭に心を寄せる椎名桔平、成功したミュージシャンとして嫌々帰郷した濱田岳などが登場する(写真のヒロスエ は水野真紀の妹)。いずれも15年、20年と止められていた時間が動き出す話で、まさに作家の恨み節が全開している感がある。
キャスト
みかんの花
富田美里 – 広末涼子(15歳時:山口まゆ)
桂木(富田)笙子 – 水野美紀
宮下邦和 – 水橋研二
奥寺健一 – 田中圭
宮田達也 – 中村靖日
富田美香子 – 田辺桃子
富田安江 – 倍賞美津子
市長 – 森喜行
海の星
浜崎洋平 – 伊藤淳史(少年期:加藤清史郎)
浜崎友美 – 紺野まひる
浜崎太一 – 五十嵐陽向
真野美咲 – 平山あや(少女期:平祐奈)
浜崎秀夫 – 橋本じゅん
浜崎佳子 – 若村麻由美
真野幸作 – 椎名桔平
洋平の大叔父 – モト冬樹
雲の糸
黒崎ヒロタカ(磯貝宏高) – 濱田岳(回想:吉田騎士)
磯貝律子 – 麻生祐未
磯貝亜矢 – 内山理名(少女期:井頭愛海)
的場裕也 – 大野拓朗
的場社長 – 西岡徳馬
真知子 – 渚あき
渚社長 – 河西健司
寺井文孝、ホリベン、道脇広行、前田海嘉、山崎まさよしほか
スタッフ
脚本 – 浅野妙子(みかんの花)、大島里美(海の星)、小寺和久(雲の糸)
監督 – 新城毅彦(みかんの花)、中前勇児(海の星)、藤井道人(雲の糸)
主題歌 – 山崎まさよし 「光源」
ギター指導 – 松下昇平
ロケ協力 – 因島観光協会、おのみちフィルムコミッション、土生商船 ほか
技術協力 – バル・エンタープライズ
美術協力 – KHKアート、京映アーツ
ポスプロ – ザ・チューブ
CG – キュー・テック
プロデューサー – 阿部真士・田辺勇人(テレビ東京)、平部隆明・鈴木俊明・大健裕介(ホリプロ)
チーフプロデューサー – 中川順平(テレビ東京)
制作協力 – ホリプロ
製作著作 – テレビ東京
オムニバスドラマ 望郷を観た人の感想
-
それぞれ物語性はけっこう入れ込まれていたのだが、やはり、3話の濱田岳さんのなりきった演技は引き込まれたなぁ。
湊かなえサスペンス『望郷』 感想 涙な真実は後から。(SpringStar★) -
静かに隠されている犯罪と白綱島ののどかで美しい自然環境の中のさびれゆく田舎描写とのギャップが、なんとも居心地の悪さを強調しているようで、この気持ち悪さがまた湊かなえさんの小説なのだと思うのでした。
湊かなえ「望郷」より「みかんの花」原作小説の結末と感想(その結末が知りたい!) -
どれも湊かなえさんならではのなんとも心が締め付けられる感じの内容でしたので、ここにその感情を吐き出して自分はスッキリしておこうと思います。
湊かなえ原作のドラマ望郷の感想。「雲の糸」がスッキリしなかった。加藤清史郎君は大きくなった。(GoodDaysLabo)