台風で試合が中止となり、星雲高校野球部は虹ヶ丘高校の体育館で練習することに。元女子校の虹ヶ丘では女子生徒が多く、野球部は弱小。生徒会長の小谷陽子の計らいで練習場所が提供され、野球部キャプテンの梶は星雲に対して強い対抗心を抱く。飛雄馬に挑戦し勝負を求める梶と、台風の強風の中での対決となり、ヒットを打つ。飛雄馬と陽子から「チームプレイの大切さ」を諭され、梶は仲間と共に成長する決意をする。
熊本農林との試合を明日に控え、闘志を燃やす飛雄馬だったが、「何をぼんやりしてるんだ?」と伴に言われてしまう。
そこへ激励にいくよ!と牧場君が電話をかけてきた。
だが、不慣れな大阪の道に迷ってたどりついたのは、左門の熊本農林の寄宿先だった・・・
ユニフォームを干す選手の姿を思わず写生していると、オイコラ、こんなとこでなんばしちょる!と中に連れ込まれてしまう牧場君。
牧場君のスケッチは実写
主将左門は、宿の人が止めるのも構わず薪割り中だった
これがまた、音なしの薪割りである。
…スパッ、カラン…
さらに、「そこらへんに散らばっとる薪ばこっちへ投げんしゃい」と命じ、空中でこれをやってみせる。
男は自分の宣伝ばせんと言いますたい、
このパフォーマンスはスパイだから見せたとです!
と威張る左門に、牧場は必死に漫画家志望であることを主張する。
――わかりもうした、
この左門豊作の弾丸ライナーの影にどげなおそろしか秘密があるか、聞かせますたい
って、結局自慢しいじゃねーかww
…数時間後、顔色も悪く、ようやく星雲の寄宿先にたどりついた牧場は、左門のおそろしさを星に語って聞かせるのだった。
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水呑み百姓の六人兄弟の長男として育った左門
貧しさから祈りをこめて豊作という名を付けられる
小4のとき父親が過労で逝去、
母親もあとを追うように病死
兄弟は遠い親戚に引き取られ、何かにつけていじめられる継子となった。
このキャラはちょっと「はだしのゲン」ちっく
来る日も来る日も草むしりで左門の手は青く染まり、食事もろくに与えられず…
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と、ここまで聞いて、「やめろっ、やめてくれっ」と話を遮る伴である。
「そうだ、野球に関係あるとも思えないし…」と飛雄馬(同じような貧乏暮らしだから、あまり感心していない)
「ところが、大ありなんだ」と牧場君は言って・・・
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…左門は猛勉をして、電気代がないのでひどい近眼に
近眼と、暗いところで本を読むのとは無関係らしいケドね
中学で野球に出会った左門は、いきなり二階建て校舎を越えるホームランを打った。
日々の草むしりが手首を鍛え、薪割りが強靭な足腰を育て、野球に最適な体になっていたのである。
こうなったら、わしの苦しみば全部野球で吐き出そうたい!
中学生の野球大会で豪快なホームランを打ち、やがて各高校から月謝をただにするからうちに来てくれと誘いが来るようになった。
月謝がただになっても、左門の働きを当てにする強欲な親戚は承諾しなかったが…
兄ちゃんの分は俺たちが働くからと、弟妹たちが頼み込んでようやく進学できたのだった。
そして猛練習に励んだ左門、さして強くない熊本農林を引き連れて甲子園へ。
しかし優勝などといった甘い夢ははなから見ておらず、その狙いはネット裏の各球団スカウトたちにあった。
…って、イヤな男だね(^_^;)
故郷で重労働に耐えて働いている弟たち、病気を隠してまで働いている妹たちのために…
虐げられてきた者たちの執念ばい!
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ということで、飛雄馬たちをかき乱すだけかき乱して帰っていった牧場君であった。
ビンボパワー炸裂の左門の話にすっかり圧倒された飛雄馬たち。
しかし俺だって父ちゃんにしごかれて、根性でここまできたんだ!
となぜか布団の中で対抗心を燃やす飛雄馬だった。
そのころ東京でも一徹と明子が枕を並べていた…
その夜、飛雄馬は悪夢を見た。
「四肢にまとわりつく左門の弟妹」という有名なシーンである
*
さて翌日、花形紅洋高校はひと足早く決勝進出した。
熊本農林対星雲は、準決勝戦で勝ったほうが花形と対決ということになる。
勝負の予感に、晴天の空も一転、かき曇った。
左門に初打席がついに回ったのは2回表(つまり1回は三者凡退)。
さあ執念と根性のぶつかり合いです!と実況が盛り上げる。
キラーン
しかし、ふりかぶった飛雄馬の手足に、また左門の弟妹たちが…!
いかん、俺の後ろにだって父ちゃんがいるんだ!
ギュイーン!と気をもたせ、守護霊対決の行方は次回へ…
飛雄馬は強敵・左門と対決。田舎の弟妹のために頑張っている左門の事情を知って飛雄馬は動揺し、涙でコントロールを乱す。8回、雨の中で左門の最後の打席。飛雄馬はダイビングキャッチと空手チョップで折れたバットを受け止め勝利。しかし左門との対決後、迫力を失った投球に周囲は違和感を覚える。9回裏、星雲高校はサヨナラ勝ち。左門は飛雄馬の執念を認め去っていく。(第38話|涙のストライク)