NHK総合「土曜ドラマ」枠で2016年9月24日~10月15日の毎週土曜21時-22時13分に放送(全4回)。主演は尾野真千子。原案は夏目鏡子『漱石の思い出』。平成29年度(第72回)文化庁芸術祭テレビ部門ドラマの部参加作品。
夏目漱石の妻の原案
名作「坊ちゃん」に描かれる松山でのいろいろな出来事、夏目家の親戚のこと、熊本での婚礼の様子から微に入り細を穿って語られる文豪・夏目漱石の日常生活。お見合いで出会ってから死別するまでを共に過した鏡子夫人なければ、垣間見ることのできなかった人間・漱石の赤裸々な姿を浮き彫りにする。鏡子が漱石と生活を共にした二十年間、一日も欠かさず漱石が狂気の沙汰を演じたわけではない。周期的に訪れた狂気の時のほうが遥かに短いのである。しかも自分は小説家だから、常軌を逸しても許されるのだとか、ものを書けないイライラを家族にぶつけてもよいのだという傲慢さや身勝手さを、漱石という人は微塵も有していない。(解説・半藤未利子より)
夏目漱石の妻の原案を読んだ人の感想
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稼ぎに追いつく貧乏なしといったところか。お金に苦しめられていないでも、漱石は遺作「明暗」やその一作前「道草」で、お金の工面や何らかの面倒に、せびる親族者などのことを執拗に書いている。
題:松岡譲筆録 夏目鏡子述「漱石の思い出」を読んで(歩く魚) -
漱石は幼い頃生まれて間もなく養子に出されたり、また呼び戻されたりと人生の始まりに際して何とも複雑な経験をしているのは実に興味深い。
モバイルおやじ@curbのブログ -
結婚前の松山行きから始まり、漱石の葬儀の後までが語られており、知られざる文豪の姿を垣間見ることができて興味深い。
積ん読の部屋♪
ドラマ 夏目漱石の妻
あらすじ
裕福な家庭に育った19歳の中根鏡子(尾野真千子)は、高級官僚の父・重一(舘ひろし)にすすめられ、夏目金之助(漱石の本名・長谷川博己)と見合いをする。金之助に一目ぼれする鏡子、一方金之助は鏡子の屈託の無い笑顔に魅了され二人は結婚、金之助が高校の教師として赴任した熊本で新婚生活を始める。家庭のぬくもりを知らない気難し屋の漱石に寄りそい頑張る鏡子。しかし失敗を繰り返しとんでもない事件を起こしてしまう。
初回を観て
漱石が抱えるオブセッションの描写は予想したよりもずっと重苦しく、4回の短期連ドラとはいえなかなか辛くなりそう。
オノマチは自由にやっているが、次回は英留学とのことで思いやられる。
キャスト
中根鏡子 → 夏目鏡子(金之助の妻) – 尾野真千子
夏目金之助(漱石) – 長谷川博己
夏目家
山田房子(鏡子の従妹) – 黒島結菜(幼少期:安藤美優)
夏目筆子(長女) – 五戸みう
夏目恒子(次女) – 根本真陽
夏目栄子(三女) – 南郷蘭奏
夏目愛子(四女) – 長谷川愛鈴
テル(女中) – 猫背椿(1・2話)
ヒサ(女中) – 川俣しのぶ(2・3・4話)
中根家
中根重一(鏡子の父) – 舘ひろし
中根カツ(鏡子の母) – 唐木ちえみ(1・2話)
中根倫(鏡子の弟) – 中島広稀(1・2・4話)
中根時子(鏡子の妹) – 秋月三佳(1・2・4話)
中根梅子(鏡子の妹) – 田辺桃子(1・2・4話)
たか(婆や) – 角替和枝(1話)
作家
正岡子規(俳人) – 加藤虎ノ介(1・2話)
高浜虚子(俳人) – 須田邦裕(2・4話)
大塚楠緒子(小説家) – 壇蜜(4話)
漱石門下生
小宮豊隆 – 柄本時生(3・4話)
鈴木三重吉 – 黒木真二(3・4話)
野間真綱 – 永井慎一(3・4話)
野村伝四 – 前田駿輔(3・4話)
野上豊一郎 – 東将司(3・4話)
松根東洋城 – 西地修哉(4話)
寺田寅彦 – 菊地真之(4話)
医師
呉秀三(帝大医学部教授) – 国広富之(2話)
尼子四郎(夏目家主治医) – 田中要次(2話)
杉本東造(金之助の主治医) – 田中隆三(4話)
森成麒造 – 赤星昇一郎(3話)
坂元三郎(さかもと さぶろう) – 有山尚宏(4話)
その他
荒井伴男(足尾銅山元坑夫) – 満島真之介(3・4話)
長谷川貞一郎(熊本第五高等学校教授) – 野間口徹(1話)
俣野義郎(書生) – 松尾諭(1話)
正岡律(子規の妹) – 大後寿々花(1・2話)
秦茂子(按摩師) – 梅沢昌代(2・4話)
榎本好次(代言人) – 梶原善(3話)
書店の客 – 九十九一(3話)
警官 – あべかつのり(3話)
熊本第五高等学校教授 – 服部桂吾(1話)
夏目直克(金之助の実父) – 本田博太郎(3話)
夏目直矩(金之助の実兄) – 津田寛治(3話)
塩原昌之助(金之助の養父) – 竹中直人(3話)
スタッフ
原案 – 『漱石の思い出』夏目鏡子(述)、松岡譲(筆録)
作 – 池端俊策、岩本真耶
演出 – 柴田岳志、榎戸崇泰(NHKエンタープライズ)
音楽 – 清水靖晃
挿入曲 – シューベルト「ピアノソナタ第21番」田部京子(ピアノ演奏)
制作統括 – 吉永証(NHKエンタープライズ)、中村高志
制作 – NHKエンタープライズ
制作・著作 – NHK
ドラマ 夏目漱石の妻を観た人の感想
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医師から漱石の言動は精神の病のためだと言われた時の鏡子さんの台詞がすごいです。
葉音 -
このドラマは金之助と鏡子が出ずっぱりなので、この二人が下手な俳優だったら目も当てられない惨劇だったと思います。長谷川博己も尾野真千子も、さすがの上手さです。
うさるの厨二病な読書日記 -
尾野は、漱石の言う「立派な悪妻」の喜怒哀楽を全身で見事に表現。長谷川と対峙する場面だけでも、このドラマを見る価値は十分にある。
長谷川博己&尾野真千子の“夫婦”が秀逸な「夏目漱石の妻」(碓井広義ブログ)