スロウトレイン

松たか子(スロウトレイン)
松たか子(スロウトレイン) ©TBS

2025年1月2日に「新春スペシャルドラマ」としてTBS系列で放送。主演は松たか子。

スロウトレインのあらすじ

渋谷葉子と妹・都子、弟の潮が両親と祖母の二十三回忌を終えて江ノ電に乗っていると、都子が「今度、韓国の釜山に引っ越す…」とサラッと爆弾発言をして葉子と潮(2人は鎌倉の実家に住んでいる)を驚かせる。葉子は都子からなぜ韓国に行くのか聞こうとするが、都子はどうせ話しても説教されるだけだと話そうとしない。また、葉子は前に担当していた人気作家の百目鬼見から、最近恋をしているのか?マッチングアプリを使ってみろとアドバイスされていた。都子は葉子が出張したタイミングを見計らって週末に実家に帰ってくるが、出張は嘘で、クローゼットから葉子が出てきた。潮は週末は1人で過ごすと思っていたので恋人を呼んでいた。その人物はなんと…。

一体この台詞の何が人を涙ぐませるのか(スロウトレインの感想)

2024年末・2025年始は 野木亜紀子アワーでもあった。
年末に「 海に眠るダイヤモンド」が大団円を迎え、年明けに本作を見たので、くだらないドラマを観ることの時間の無駄をつくづく感じてしまった。

本作はTBSを定年退職する 土井裕泰の最後の企画とのことで、野木は「 松たか子に当て書きする日が来るとは!」と意外な呟きをXに投稿しているとの記事を読んだ。土井は「 カルテット」のチーフプロデューサーでもあるのだが、松たか子は 坂元裕二と野木をつなぐ女優になるようなのだ。

野木自身は本作を「 コタキ兄弟と四苦八苦」に近いものと位置づけるが(本作には 古舘寛治も出ている)、観る側にとっては、今や野木作品は、長い 新垣結衣時代から「 アンナチュラル」「 フェイクニュース」を経て、「海の中の…」で3人の女優をみごとに描き、そして松たか子に至って、より大きな物語へ変容しているように思う。まあ、 逃げ恥的な社会と人生の齟齬も抜け目なく(というかごく普通に)背景に織り込む手際の良さも健在ではあるのだが(このへんは主に 星野源が担う)。

松たか子が演じるのは鎌倉在住の編集者である。両親と祖母を亡くした妹弟に母権をふるう長姉でもあるのだが、妹( 多部未華子)は急に韓国に行くと言い出し、弟( 松坂桃李)はいつのまにか担当作家の星野源と恋人関係になっていた。人生の転機にある妹と弟が、結婚しない姉に忖度して先に進められずにいて…というストーリーは、ドラマとしてはごくありふれたものだが、脚本は、妹弟や周辺人物( 池谷のぶえが良い)との関係の中で思いあぐねる松の心情を細やかに描く。

江ノ電に揺られながら、「ゴールはわからなくても次の駅は見えています。次は、腰越。その次は鎌倉高校前。その次は七里ヶ浜。次は稲村ヶ崎、極楽寺、長谷、和田塚、鎌倉。」と松が幼い妹弟に言い聞かせる回想シーンが終盤にあり、一体この台詞の何が人を涙ぐませるのだろうか、といささか狼狽しながら考えてしまった。

松は美しい「盆石」を取材して企画本を編集しているのだが、このあたりは「海の中の…」で 神木隆之介が自らぎやまん作りに没頭するのと通底している。

スロウトレインのキャスト

 渋谷葉子(フリー編集者で渋谷家の長女) – 松たか子
 渋谷都子(葉子の妹) – 多部未華子(22年前: 毎田暖乃
 渋谷潮(葉子と都子の弟で江ノ電の保線員) – 松坂桃李(22年前: 高木波瑠
周辺人物
 百目鬼見(人気作家) – 星野源
 オ・ユンス(飲食系投資会社で働く青年) – チュ・ジョンヒョク
 目黒時生(葉子の元彼) – 井浦新
 矢作カンナ(日々茶書房の編集者) – 松本穂香
 二階堂克己(重鎮作家) – リリー・フランキー
 浅井道枝(日々茶書房の編集者) – 池谷のぶえ
 保坂颯太(江ノ電の保線員) – 倉悠貴
 谷(二階堂行きつけのバーのマスター) – 古舘寛治
 日々茶書房 社長 – 菅原大吉
 エイジ、B作、シーマン(葉子がアプリ「会い活」でマッチングして会った男性たち) – 飯塚悟志(東京03)、 有田久徳宇野祥平
 永島(盆石の家元) – 永島三奈子(勝野玄瑛)
 江波、荒木、伊藤、宇野(盆石の生徒たち) – ””大西多摩恵水木薫枝元萌
 男性(百目鬼見を取材するスタッフ) – 遊屋慎太郎
 竹芝、店員(「TOKYO Konoha Sabou」の後任店長と店員) – 野田美弘藤田宏樹
 老夫婦(潮が洗濯物を拾ったことを憶えていて礼を言う老夫婦) – 古川がん吉田幸矢
 ジフン、スンヒョク(オ・ユンスの先輩) – 남지우(Nam Ji Woo)、 이진성(Lee Jin Sung)

スロウトレインのスタッフ

脚本 – 野木亜紀子
音楽 – 長岡亮介
プロデューサー – 小牧桜
スーパーバイジングプロデューサー – 那須田淳
協力プロデューサー – 韓哲益田千愛
演出 – 土井裕泰
製作著作 – TBS

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