2011年制作のアメリカ合衆国のSF・スリラー映画。原題は「Enter Nowhere。主演は、スコット・イーストウッド、サラ・パクストン、キャサリン・ウォーターストン。監督は、ジャック・ヘラー。2015年に『The Haunting of Black Wood』のタイトルで再公開された。
トランス・ワールドのあらすじ
コンビニ強盗で店員を殺害したジョディは、森の中の小屋でサマンサとトムと出会う。サマンサは行方不明の夫を探しており、トムは車の事故で立ち往生していた。不思議なことに、森から脱出しようとしても同じ小屋に戻ってくる「パックマン」のような現象が起きている。状況がさらに複雑になるのは、ドイツ兵のハンスが現れ3人を拘束したときだ。彼らはこの不思議な場所に閉じ込められた理由と、そこから脱出する方法を見つけられるのだろうか。この謎めいた状況の真相は――?
トランス・ワールドの感想
ほぼ4人しか登場しない極限状況を描いたサスペンス映画で、みごとな脚本を俳優たちがうまく演じている傑作と言える。
森の中にある小屋に3人の男女がたどり着く。一人は車がガス欠した人妻 キャサリン・ウォーターストン、二人目は車が溝に落ちて立ち往生した スコット・イーストウッド(クリント・イーストウッドの婚外子である)、三人目はアバズレの サラ・パクストン。3人はそれぞれ幸せとは言い難い人生を歩んでいた。
森は空間が歪んでいるのか、どんなに歩いてもなぜか小屋に戻ってきてしまう。食料が尽きかけるが、3人は防空壕を発見し、ドイツ語のラベルの缶詰で飢えをしのぐ。と言ってもたかだか3日ほどしか経過しないのでサバイバルというわけでもない。3人は互いに牽制しながらも次第に打ち解けていく。
終盤になり、ドイツ軍の兵士が4人目として現れ、物語は一気にクライマックスを迎える。ここからはネタバレになるので未見の人は読まない方がいい(私はアマプラの紹介文を読んでしまったことを後悔しながら観た)。
まず3人が認識している小屋の場所がまちまちである(キャサリンはニューハンプシャーだと言い、スコットはサウスダコタだと言い、サラはウィスコンシンだと言う)。そして、キャサリンは1962年、スコットは2011年、サラは1984年から来たことも判明する(これらにはすべて伏線があった)。実はスコットはサラの息子、サラはキャサリンの娘で、そこは第二次大戦末期のドイツの森なのだった。
その地で空爆に遭って死んだキャサリンの父親を助け、それぞれの運命を変えることこそ3人がここに呼び寄せられた理由らしいのだが、ありがちなハッピーエンドでは終わらず、不幸が解消されたことでスコットは消滅してしまう。
映画は、サラがニューハンプシャーのグロサリーに押し込み強盗を行うプロローグから始まるのだが、店主は「面白い人生だな。どん詰まりに向かっているのに気づいていない」とサラに毒づく。この「どん詰まり」が、タイトルのnowhereである。
トランス・ワールドのキャスト
ジョディ – サラ・パクストン
サマンサ – キャサリン・ウォーターストン
トム – スコット・イーストウッド
ハンス – ショーン・サイポス
ケビン – クリストファー・デナム
店員 – ジェシーJ.ペレス
トランス・ワールドのスタッフ
監督 – ジャック・ヘラー
脚本 – ショーン・クリステンセン、
製作 – ジャック・ヘラー、ダラス・ソニアー
製作総指揮 – ショーン・クリステンセン、ジェイソン・ドラン
音楽 – ダーレン・モルゼ
撮影 – トーマス・M・ハーティング
配給 – ライオンズゲート
公開 – 2011年10月22日(スクリームフェスト映画祭)
上映時間 – 89分
トランス・ワールドを観るには?
トランス・ワールドを観た人の感想
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誰かが幸せになった分は、他の誰かが埋め合わせをしなければいけないのだな、と感じさせられました。
『トランス・ワールド』 伏線について考察(couch) -
これは散りばめられた謎と構造を楽しむ系の映画。
トランス・ワールド(2011年/アメリカ) ネタバレあり感想 シチュエーション自体の謎は明かされないのになんかスッキリ観れる映画。(鳥ジョギング) -
地味だけど、かなり好きな映画ですねー。
最後まで良かったので、自分的にはおススメの作品です。
トランス・ワールド ※ネタバレ注意(みち太郎8の映画ブログ)