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謎の極限状況!予想不能の結末へ(トランス・ワールドの感想)
ほぼ4人しか登場しない極限状況を描いたサスペンス映画で、みごとな脚本を俳優たちがうまく演じている傑作と言える。
森の中にある小屋に3人の男女がたどり着く。
一人は車がガス欠した人妻 キャサリン・ウォーターストン、
二人目は車が溝に落ちて立ち往生したスコット・イーストウッド(クリント・イーストウッドのオトシダネである)、
そして三人目はアバズレのサラ・パクストン。
3人はそれぞれ幸せとは言い難い人生を歩んでいた。
森は空間が歪んでいるのか、どんなに歩いてもなぜか小屋に戻ってきてしまう。食料が尽きかけるが、3人は防空壕を発見し、ドイツ語のラベルの缶詰で飢えをしのぐ。と言ってもたかだか3日ほどしか経過しないのでサバイバルというわけでもない。3人は互いに牽制しながらも次第に打ち解けていく。
終盤になり、ドイツ軍の兵士が4人目として現れ、物語は一気にクライマックスを迎える。
ここからはネタバレになるので未見の人は読まない方がいい(私はアマプラの紹介文を読んでしまったことを後悔しながら観た)。
まず3人が認識している小屋の場所がまちまちである(キャサリンはニューハンプシャーだと言い、スコットはサウスダコタだと言い、サラはウィスコンシンだと言う)。そして、キャサリンは1962年、スコットは2011年、サラは1984年から来たことも判明する(これらにはすべて伏線があった)。
実はスコットはサラの息子、サラはキャサリンの娘で、そこは第二次大戦末期のドイツの森なのだった。
その地で空爆に遭って死んだキャサリンの父親を助け、それぞれの運命を変えることこそ3人がここに呼び寄せられた理由らしい。三人はドイツ兵を助けようとするが、言葉が通じないので撃ち合いになっってしまう。
ということで、タイムリープ物のありがちなハッピーエンドでは終わらず、不幸が解消され、スコットは消滅し、一気にエピローグになる。
映画は、サラがニューハンプシャーのグロサリーに押し込み強盗を行うプロローグから始まるのだが、店主は「面白い人生だな。どん詰まりに向かっているのに気づいていない」とサラに毒づく。
この「どん詰まり」が、タイトルのnowhereである。
トランス・ワールド 巷の感想
巷の評価はおおむね好評である。
- 「シンプルな舞台設定なのに、どんどん引き込まれる」 森と小屋だけのシンプルな背景ながら、ストーリー展開に緊張感がある
- 「短い尺でまとまりが良く、無駄がない」 90分程度の上映時間でコンパクトに話がまとまっており、だれることがない
- 「会話劇中心だが、テンポが良くて飽きない」 大きなアクションはないが、登場人物同士の会話が興味深く、退屈しない
- 「徐々に明かされる謎の構成が巧み」 序盤に置かれた伏線が中盤以降に効いてきて、観ていて気持ちよい
- 「低予算とは思えないほど見ごたえがある」 派手な演出はないが、脚本と演技で見せる力が強い
- 「終盤に向けての展開が秀逸で、見終わった後に余韻が残る」 結末について具体的には語れないが、満足度の高いラストという意見多数
- 「“じわじわくるタイプ”のSFドラマ」 ド派手なSFではなく、静かな感動や緊張を楽しむタイプの作品として評価
トランス・ワールド あらすじ
コンビニ強盗で店員を殺害したジョディは、森の中の小屋でサマンサとトムと出会う。サマンサは行方不明の夫を探しており、トムは車の事故で立ち往生していた。不思議なことに、森から脱出しようとしても同じ小屋に戻ってくる「パックマン」のような現象が起きている。状況がさらに複雑になるのは、ドイツ兵のハンスが現れ3人を拘束したときだ。彼らはこの不思議な場所に閉じ込められた理由と、そこから脱出する方法を見つけられるのだろうか。この謎めいた状況の真相は――?
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トランス・ワールド キャスト
トランス・ワールド スタッフ
脚本 –ショーン・クリステンセン、
ジェイソン・ドラン
製作 -ジャック・ヘラー、ダラス・ソニアー
製作総指揮 -ショーン・クリステンセン、ジェイソン・ドラン
音楽 -ダーレン・モルゼ
撮影 -トーマス・M・ハーティング
配給 -ライオンズゲート
公開 -2011年10月22日(スクリームフェスト映画祭)
上映時間 -89分