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罪の声

4.5
原菜乃華(罪の声) 映画
原菜乃華(罪の声)©「罪の声」製作委員会
『罪の声』は、実在の未解決事件をモチーフにした傑作ミステリー映画。まだ観ていない方は、Amazon Prime Videoで今すぐ視聴できます。

宇野祥平の痩せた体が語る時の重さ(罪の声の感想)

先日、和田勉版「阿修羅のごとく」を見るためにNHKオンデマンドに入ったので、見逃していた「未解決事件」のグリコ・森永事件編を確認したばかり。予備知識なしで録画した本作を再生したらご存じの内容で、どうも個人的に事件後40周年記念になってしまった。

「ギン萬事件」ということになっているが(ギンガ・萬堂)、事件は細部までグリコ・森永をトレースしている。テーラーを営む星野源が、当時企業に送られた子どもの音声が自分のものであると偶然知るところから始まり、特集記事のために文化部から駆り出されて事件を追う新聞記者の小栗旬と中盤で合流する。当時使われた子どもの声は3種類。他の二人の子どもは誰で、今何をしているのかという話である。

映画人になる夢を砕かれた少女を演じる原菜乃華のエピソードはごくストレートに泣かせるもので、もう一人の宇野翔平のやつれた身体(首をくくる寸前)が一気にテーマに重みを与えていた。

ラスト近く、宇野翔平が棄てた母親と再会し、長女の声を聞きたいと乞われた小栗旬が、原菜乃華の声の録音を聞かせるのだが、この皮肉がかなりドラマチックだった。

事件の真相は途中から蔑ろになるのだが、それでもイギリスロケによって一応の解決を見せる。ここで出てくるのがまた宇崎竜童なのだが、それに続いて梶芽衣子の全共闘回想が入り(たしかに宇崎も梶もその世代なのだ)、ややしらけた。この終盤の組み立て方は失敗だったのではないかと思う。

野木亜希子土井裕泰の「スロウトレイン」コンビ作品であり、「アンナチュラル」「MIU404」のキャストが目立つ。

映画 罪の声を観た人の感想

好意的な感想

  • 小栗旬と星野源のダブルメインキャストで重厚感たっぷり。全く境遇の異なる二人の行動が徐々に繋がっていき、そこに至るまでの事件の背景を紐解く様々な証言が綺麗に結び付く展開は圧巻
  • 起承転結がしっかりしていて途中間延びした感じもない
  • 終始引き込まれっぱなし、圧巻。ものすごく重く悲しく胸が苦しくなるけど、最後はお母さんと聡一郎の未来に光が差す結末で良かった

批判的な感想

これは批判的といえるかどうか。。。

  • 罪のない子供が利用されて、その後の人生が地獄のようになって可哀想すぎる
  • 関西を舞台にするのなら、主演は関西人を使って欲しい
  • 罪の声の見どころ

    2020年10月30日に映画が公開。監督は土井裕泰、主演は小栗旬。小栗と星野源の初共演作品。第44回日本アカデミー賞で優秀作品賞を含む多数の賞を受賞し、批評家からも高い評価を受けている。特に、実際の事件を題材にしながらも、フィクションとして巧みに再構築された脚本と、主演二人の演技力が評価された。
    原作は塩田武士のサスペンス小説(2016年講談社刊、2016年度週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位、第7回山田風太郎賞受賞)。

    罪の声のあらすじ

    平成終盤、大日新聞記者の阿久津英士は昭和最大の時効済み未解決事件を追う特別企画班に配属される。取材中、犯人グループが脅迫テープに使った3人の子どもの声が気になる。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也は父の遺品から古いカセットテープを発見。再生すると幼い頃の自己の声だが、それは事件の脅迫テープと同一のものだった。俊也は知らぬ間に事件に巻き込まれていたのだ。真相を追う阿久津と、無意識に事件に関わっていた俊也ら3人の子どもたちの人生が、35年の時を経て激しく交錯する。

    映画 罪の声を観るには?

    罪の声のキャスト

    阿久津英士:小栗旬
    曽根俊也:星野源(子ども時代:甘詩羽)
    水島洋介:松重豊
    鳥居雅夫:古舘寛治
    生島聡一郎:宇野祥平(子ども時代:石澤柊斗、中学生時代:杉田雷麟)
    生島千代子:篠原ゆき子
    生島望:原菜乃華
    生島秀樹:阿部亮平
    曽根光雄:尾上寛之
    林:水澤紳吾
    青木龍一:山口祥行
    立花幸男:堀内正美
    藤崎勝:木場勝己
    佐伯肇:橋本じゅん
    臼井浩司:桜木健一
    大島美津子:浅茅陽子
    天地幸子:高田聖子
    藤井清一:佐藤蛾次郎
    秋山宏昌:佐川満男
    山本志乃:宮下順子
    ニシダ(仮名):塩見三省
    須藤みち:正司照枝
    三谷浩二:沼田爆
    三谷晴美:岡本麗
    津村克己:若葉竜也
    葵(阿久津英士の姉):須藤理彩
    曽根亜美:市川実日子
    河村和信:火野正平
    曽根達雄:宇崎竜童(若き日の達雄:川口覚
    曽根真由美:梶芽衣子(若き日の真由美:阿部純子

    罪の声のスタッフ

    監督:土井裕泰
    原作:塩田武士『罪の声』(講談社文庫)
    脚本:野木亜紀子
    音楽:佐藤直紀
    主題歌:Uru「振り子」(ソニー・ミュージックレーベルズ)[17]
    プロデューサー:那須田淳渡辺信也進藤淳一
    撮影:山本英夫
    美術:磯見俊裕、露木恵美子
    照明:小野晃
    録音:加藤大和
    編集:穗垣順之助
    助監督:藤江儀全
    衣裳:宮本まさ江
    記録:加山くみ子
    制作担当:吉田智、間口彰
    キャスティング:おおずさわこ
    ラインプロデューサー:橋本靖
    宣伝プロデューサー:江上智彦
    配給:東宝
    制作会社:TBSスパークル、フイルムフェイス
    製作幹事:講談社、TBSテレビ、WOWOW
    製作:「罪の声」製作委員会(講談社、TBSテレビ、WOWOW、TBSスパークル、トライストーン・エンタテイメント、ジェイアール東日本企画、TCエンタテインメント、朝日新聞社、毎日新聞社)
    『罪の声』は、今なお日本社会に問いを投げかける深いテーマを持った作品です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。

    Amazon Prime Videoなら、手軽に視聴できます。

    罪の声の原作


    刊行たちまち、出版界が騒然!
    累計80万部突破!!
    「週刊文春」ミステリーベスト10 2016年 国内部門第1位
    第7回 山田風太郎賞受賞作
    第14回 本屋大賞 第3位
    第44回日本アカデミー賞12冠 映画原作
    昭和最大の未解決事件の〈真相〉に挑む。
    「これは、自分の声だ」
    京都でテーラーを営む曽根俊也。自宅で見つけた古いカセットテープを再生すると、幼いころの自分の声が。それはかつて、日本を震撼させた脅迫事件に使われた男児の声と、まったく同じものだった。一方、大日新聞の記者、阿久津英士も、この未解決事件を追い始め–。
    圧倒的リアリティで衝撃の「真実」を捉えた傑作。

    【ざっくり解説】グリコ・森永事件とは

    1984年3月に始まったグリコ・森永事件は、「かい人21面相」を名乗る犯人グループが江崎グリコ社長を拉致した後、江崎グリコ、丸大食品、森永製菓、ハウス食品、不二家、駿河屋など食品企業を次々と脅迫した事件。犯人は青酸入り菓子を店頭に置くなど社会不安を引き起こした。
    事件の特徴として、「かい人21面相」が挑戦状をマスコミに送り、犯行を公開したことから「劇場型犯罪」と名付けられた。犯人は、要求した身代金の受け渡しで指定場所を何度も変更し、結局、一度も現金を受け取らなかった。
    丸大食品脅迫事件では「キツネ目の男」、ハウス食品脅迫事件では不審車両の運転手が目撃されたが、いずれも取り逃がした。ハウス食品事件での失態を苦にした滋賀県警本部長が自殺した直後、犯人から「くいもんの会社いびるのもおやめや」との終息宣言が送られた。
    1984年5月、9月、1985年2月と青酸入り菓子が店頭に置かれるなど、社会不安が広がった。2000年2月13日に最後の事件も公訴時効が成立し、警察庁広域重要指定事件として初めて未解決となった。
    事件の捜査では延べ130万人以上の捜査員が投入され、12万5千人以上を捜査対象としたが、犯人の正体は不明のままである。

    グリコ・森永事件を追ったルポルタージュ作品

    キツネ目 グリコ森永事件全真相(岩瀬 達哉)


    147通にも及ぶ膨大な脅迫状、600点以上の遺留品、さらには目撃、尾行までされながら、ついに時効の彼方へと逃げ込んだ「グリコ森永事件」犯人グループ。
    その中心人物、かつ司令塔となったのが、「キツネ目の男」だった。
    グリコの江崎勝久社長を自宅から拉致して監禁、身代金を要求するという「実力行使」から、青酸入りの菓子と脅迫状の組み合わせによって裏取引し、企業からカネを奪おうとする「知能犯罪」、そしてメディアや世論を巻き込んだ劇場型のパフォーマンスまで、日本の犯罪史上に残る空前絶後の事件だ。
    しかし、犯人グループは、その「痕跡」を消しきれていなかった。
    当時、第一線で捜査にあたった刑事、捜査指揮した警察幹部、犯人グループと直接言葉を交わした被害者、脅迫状の的になった企業幹部など、徹底した取材で事件の真相をえぐり出す。
    「少なくとも6人いた」という犯人グループの、役割分担、構成にまで迫る!
    「キツネ目と仲間たち」の全貌が、闇の向こうから浮かび上がる――。

    未解決事件 グリコ・森永事件捜査員300人の証言(NHKスペシャル取材班)


    警察はなぜ敗れたのか。
    極秘捜査、キツネ目の男、子どもの声、大津サービスエリア……
    今なお謎に包まれた事件の「真相」に迫る!
    「かい人21面相」に翻弄された警察。無念の言葉
    「あと数秒早く赤にさえなっとったら。犯人にツキを与えてしもうた」
    ――犯人の車をギリギリまで追い詰めた元捜査員「誰が何を言おうとも、この似顔絵には自信がある」
    ――「キツネ目の男」の似顔絵を描いた元捜査員「元バーテンの話に、微物捜査のラインを絡ませれば……時効が立ちはだかった」
    ――滋賀県警の鑑識課に所属していた元捜査員
    その男が振り向いた時、捜査員を恐怖が襲った。サングラスの奥に光る釣り上がった目──キツネ目の男だった。「Fがいた!職質したい!」。しかし、捜査本部は尾行を指示。男は姿を消し、犯人逮捕の最後のチャンスは潰えた。日本列島を震撼させた空前の劇場型犯罪。
    警察はなぜ敗れたのか。元捜査関係者たちが初めて重い口を開く。NHKスペシャル取材班が総力をあげて迫る未解決の「真相」。

    二本の棘 兵庫県警捜査秘録(山下 征士)


    「兵庫県警には、”棘”が刺さったまま残っているんや。2本も。これは絶対に忘れてはならん」。
    先輩刑事が表現した”棘”とは、「114(グリコ森永事件)」「116(朝日新聞襲撃事件)」の2つの未解決事件のことである。その「2本の棘」は、警察退職後30年を経た今なお、著者の心の中に突き刺さり、後悔の念が強く残っている。なぜこの2事件は解決できなかったのか。また、捜査一課長として指揮を執り、執念の末に「少年A」の逮捕に至った背景とは。昭和・平成に起きた凶悪事件担当の元捜査一課長が初めて明かす事件の全て。

    グリコ・森永事件「最終報告」 真犯人(森下香枝)


    グリコ・森永事件の真犯人はいったい誰だったのか? 名古屋で起きたある強盗事件をきっかけに、一人のジャーナリストが、独自の人脈を駆使してグリコ・森永事件の真相に迫る。犯人は何度も現場に姿を現し、しかも犯行を告白していたのだ! 捜査陣もマスコミも投げ出し、闇に葬られた事件に光をあて最終回答を突きつける驚愕の書き下ろしルポルタージュ。
    今なお謎に包まれたグリコ・森永事件の謎を、まったく独自の視点で物語化した塩田武士の小説の映画化『罪の声』。ぜひ本編をチェックしてみてください。

    Amazon Prime Videoなら、手軽に視聴できます。

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