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魯山人のかまど

4.0
古川琴音(魯山人のかまど) ドラマ
古川琴音(魯山人のかまど)
『魯山人のかまど』は、NHK特集ドラマとしてBSP4Kで3月6日から毎週金曜夜8時15分~9時、NHK総合で3月31日〜4月24日の毎週火曜夜10時~10時45分に放送。日本の料理を美と捉え、芸術にまで高めた北大路魯山人の知られざる姿を描く。

『魯山人のかまど』ってどんなドラマ?

希代の芸術家、美食家として知られる北大路魯山人の波乱に満ちた生涯と、彼が追い求めた「食」と「美」の真髄を瑞々しく描き出す。中江裕司(脚本・演出)が丁寧に紡ぎ出した独自の映像世界に、中江裕司による情感豊かな音楽が寄り添う。至高の美食の数々が画面を彩り、五感を震わせる至高の伝記ヒューマンドラマだ。

魯山人のかまど類稀なる才能を持ちながらも、その妥協を許さない傲慢な性格から周囲と衝突を繰り返す天才・北大路魯山人(藤竜也)。ある日、彼の頑なな心と謎多き素顔に迫ろうと、熱意あふれる出版社の若手記者・田ノ上ヨネ子(古川琴音)が取材に訪れる。ヨネ子の真っ直ぐな視線を通して、魯山人が器に込めた情熱、そして彼を取り巻く時代を揺るがした文化人たちとの濃密な交流がひもとかれていく。

魯山人のかまど見どころは、画面の隅々にまで行き届いた「魯山人の美意識」。料理や器を「綺麗に映す」だけではなく、その背景にある日本の四季折々の風景や魯山人邸の佇まい、食材が生まれる自然の美しさが見事に調和している。料理監修・野崎洋光による、素材の持ち味を極限まで引き出した料理の数々は映像で観る美食そのものだ。登場人物たちの所作、器を扱う手つき、おもてなしの空間における立ち振る舞いといった「日本文化の精神性」が丁寧に描かれ、魯山人が生涯をかけて追い求めた「美」の説得力が五感に訴えかけてくる。

魯山人のかまど時の首相・吉田茂(柄本明)との緊迫したやり取り、世界的な彫刻家イサム・ノグチ(筒井道隆)とその妻・山口淑子(一青窈)夫妻との共鳴、来日したロックフェラー3世夫妻(サイモン・ペッグリサ・ステッグマイヤー)をもてなす息をのむような精神性も圧倒的である。

魯山人を支える松山(満島真之介)、浦田(中村優子)らとの関係など、孤高の天才が魂を削りながら突き進む姿が活写されている。
美の極致を追い求めるあまり、大切なものとすれ違いながらも己の道を貫く選択。最高峰の器と最高の料理が織りなす「一期一会」の瞬間を、芸術への深い敬意とともに優しく描ききった珠玉作だ。

あらすじ

晩年の魯山人のもとを、出版社の若手記者・ヨネ子が訪ねてくる。魯山人の傍若無人な態度に戸惑うヨネ子だが、回顧録を口述筆記するため、たびたび魯山人の住まいを訪ねることになる。吉田茂、イサム・ノグチ、ロックフェラー3世ら多くの有名人たちとの交流を目の当たりにする中、ヨネ子は、その物言いとは裏腹に、料理を美と捉え、一切の妥協を排し、究めようとする魯山人の姿勢に気づいていく。

キャスト

北大路魯山人 – 藤竜也
田ノ上ヨネ子(出版社の記者) – 古川琴音
吉田茂 – 柄本明
イサム・ノグチ – 筒井道隆
山口淑子 – 一青窈
ロックフェラー3世 – サイモン・ペッグ
ブランシェット – リサ・ステッグマイヤー
大河原角造 – 伊武雅刀
松山 – 満島真之介
浦田 – 平岡亮
春子 – 中村優子
大山(美術評論家) – 尾美としのり

感想

「美味しんぼ」を読んだことがある者なら驚くようなことは何もないのだが、藤竜也(84歳)は当たり役で(実物を目にした人はもはやほとんどいないので、魯山人本人にしか見えない)、この複雑な人物をよく演じていたと思う。

切り通しを抜けた先にある北鎌倉の魯山人邸は、笠間市に移築されたものを撮影したという。威張りくさった政治家を演じた伊武雅刀は「星岡茶寮」と言っていたが、美食倶楽部は永田町と大阪豊中にしかないので、これはおかしい。というか、このドラマは戦後まもなくの魯山人の晩年期を描いていると思しいので、茶寮はどちらもとっくに空襲で焼失しているのである(魯山人は戦前に便利堂の中村竹四郎から解雇を言い渡され、星岡茶寮から追放されている)。

ドラマでは陶器を持ち出す娘(藤野涼子)の姿も描かれていたが、魯山人は和子というこの娘を勘当し、自宅の敷居をまたがせなかった。好きだった柿を差し入れたのは創作だろうと思うが、「美味しんぼ」の読者なら、柿の甘さこそ日本の菓子の原点だという話を思い出すはずだ。

ドラマの最後では、ロックフェラー3世(なんとサイモン・ペッグである)からニューヨークに招待されていたが、実際にはヨーロッパも回ってピカソやシャガールにも会ったりしているので、旅費は現在の1億円ほどもかかり、その借金の返済のためにかなり苦労することになる。

その後、星岡窯は重鎮だった松島宏明という人が去り(満島真之介が演じていた松山か)、魯山人は作陶を諦めて書道に回帰するものの、個展を一度開いたきりで1959年に76歳で没するのである。食と料理、芸術論集、その他語録など膨大な出版物が刊行されたのはすべて死後のことである。

驚いたのは、山口淑子を演じた一青窈が「蘇州夜曲」と「ロンドンデリーの歌(ダニー・ボーイ)」を歌唱したシーンである。あれは素晴らしかった。

『魯山人のかまど』を観るには?

『魯山人のかまど』スタッフ

脚本・演出 – 中江裕司
音楽 – 大友良英
料理監修 – 野崎洋光
制作統括 – 中村芙美子(東京ビデオセンター)、 古田尚麿(NHKエデュケーショナル)、遠藤理史(NHK)
プロデューサー – 新井真理子三浦尚(NHKエデュケーショナル)

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