『血と骨』ってどんな映画?
梁石日の自伝的小説を原作に、大正から昭和にかけての激動期を背景に、大阪の猪飼野にやってきた一人の男の狂暴なまでの生への執着と、その家族の壮絶な生き様を描いた、全編に凄まじい熱量が横たわる映画。己の肉体と金だけを信じて生きる怪物の狂気と、それに振り回される周囲の人々の葛藤が描かれている。
監督・脚本を務めたのは『月はどっちに出ている』などで知られ、厳しい現実を生きる人々のエネルギーを容赦なく描き出す崔洋一。本作では共同脚本の鄭義信とともに、差別や貧困が渦巻く時代の生々しさを骨太な群像劇を描いた。演出陣は、熱気と暴力に満ちた蒲鉾工場の風景や、家族が衝突を繰り返す長屋の重苦しい空気を活かしている。
ビートたけしは、圧倒的な暴力と欲望で家族を支配する男の凄みと孤独を演じ、妻役の鈴木京香も、夫の理不尽な暴力に耐えながらも力強く家を支える女性の執念を演じた。そのほか、新井浩文や田畑智子、オダギリジョーなど実力派が、一人の男の影に怯えながらもそれぞれの道を模索する家族たちを描いた。
激動の時代に社会の底辺から這い上がろうとした在日外国人たちの「血と骨」にまつわるアイデンティティとは?
あらすじ
1920年代、金俊平(キム・ジュンピョン)は裸一貫で日本に渡り、腕の良さを活かして蒲鉾工場を立ち上げ、怪力と凶暴な性格で周囲を圧倒し、金への執念から高利貸しとしても財を成すが、その暴力性は家庭にも向けられ、妻や子供たちは常に恐怖と支配の中で生きることに。俊平は稼いだ金を独善的に使い込み、複数の愛人や家庭外の子供を次々と持つ。妻への凄惨な暴力と不貞、愛人たちの存在は家族の暮らしを根底から破綻させ、周囲の人間を次々と不幸に陥れていく。
キャスト
李英姫 – 鈴木京香
金正雄 – 新井浩文
金花子 – 田畑智子
朴武 – オダギリジョー
高信義 – 松重豊
趙永生 – 國村隼
金成貴 – 塩見三省
朴希範 – 寺島進
山梨清子 – 中村優子
鳥谷定子 – 濱田マリ
元山吉男 – 北村一輝
金春美 – 唯野未歩子
張賛明 – 柏原収史
金容洙 – 仁科貴
金泰洙 – 佐藤貢三
大谷早苗 – 中村麻美
鳥谷ゆき子 – 平岩紙
鄭烈 – 眞島秀和
朴鉄煥 – 朱源実
崔栄植 – 三浦誠己
玄昌休 – 斎藤歩
姜明美 – 洪仁順
朴英恵 – 向井理恵
大山 – 塩見三省
徳山 – 喜安浩平
木元 – 寺井健人
藤田 – 伊藤洋三郎
国本 – 飯島大介
酒屋の主人 – トミーズ雅
藤田の妻 – 岩崎幸子
警官 – 小林太樹
オープニングとエンディング、なぜに「ゴッドファーザー PART II」なのか。
「現場では崔洋一が金俊平だった」そうだ、わはは。
崔洋一は雲をつく大男で、原作の金俊平も大男だったらしい。そこまでの緊張感で役者を追いつめた映画を見られるというのは、なんとシアワセなことか。
映画は、あの忘れがたい「月はどっちに出ている」に比べると、同じ崔洋一とは思えないくらい流暢だと感じられたが、ときどき、それらしいシーンもあった。たとえば、愛人(中村優子)を荷台に乗せた俊平(たけし)の自転車が、あまり意味もなく、都電通りをぐるりと一周するシーン。この場所は映画を通じて何度も出てくるのだが(地平線が霞むほど街に何もない!)、なんともいい感じなのだ。
億単位の金(を含む一切合財)を政府に寄付して俊平は北へ渡ったと語り手は言っていたが、そのような金を持っているように見えなかったなあ。金を使う場面が一切ないのだから仕方ないか。
韓国では、当初、人々が北朝鮮の国旗を振りながら「金日成将軍万歳」と叫ぶ中、北朝鮮へ向かう張賛明(柏原収史)を大阪駅で見送るシーンがカットされて公開されたが、崔洋一はこれを認めず、再審議の結果、あらためてノーカットで輸入が推薦された。

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