飛雄馬は最終試験で俊足・速水と対決することに。速水は飛雄馬のボロスパイクを指摘して動揺を誘うが、追い詰められた飛雄馬はとっさに禁じ手「魔送球」を投げ、速水の走塁を阻止。故意ではないと謝罪する飛雄馬に、川上監督は正式合格を告げる。伴と速水も補欠合格となり、飛雄馬はついに巨人軍への入団を果たした。
話を聞こうと走ってくる取材陣を振り払い、飛雄馬と伴はタクシーへ。
俺は電車賃しか…と口ごもる飛雄馬に、「ムードをこわすな、おれが奢る!」と伴。
タクシーからの町の眺めをもの珍しげに眺める飛雄馬である。
長屋に着くと、なぜかもうみんな知っていて、二人は万歳で出迎えられた。
というのも、いちはやく川上監督が来ていたのである。
(タクシーより速い??)

対峙する一徹と川上
緊張した面持ちの明子、お茶を出す手がふるえている。
すると飛雄馬は合格なのですな――と言った一徹、目がうるっとなる。
次の瞬間、「星君、この通りだ」と川上は頭を下げた。
「川上さん、手を上げてください」
「飛雄馬君ほどの投手をスカウトせずにテストしてすまない」と川上

「わしの本心は北条時頼だ、『鉢木』だ」
『鉢木』というのは、能の演目である。
佐野に住む貧しい老武士、佐野源左衛門の家に、ある雪の夜、旅の僧が一夜の宿を求める
薪がないので、源左衛門は丹精していた鉢植の木を薪にして精一杯のもてなしをする
源左衛門は、緩急あらばいち早く鎌倉に駆けつけ、命がけで戦う所存だと僧に語る
その後鎌倉からの召集に駆けつけた源左衛門は、あの僧が北条時頼だったことを知るのである
時頼は源左衛門に礼を言い、言葉に偽りがなかったのを誉めて恩賞を与えたとのことである
「飛雄馬君は、源左衛門なのだ」と川上。
「新人テストは、時頼の集合命令ということだったのですな」
一徹は感心して答える。
梶原一騎の比喩はわかったようでわかんねえな、鉢木は血染めのボールってこと??
「契約金はテスト生というだけでなく、できるだけなんとかするよ」
帰りしな、なにげなさそうに言って、川上は帰った。
軒下で盗み聞いていた飛雄馬は感涙して、
「俺には素晴らしい偉大な理解者がいたんだ」
「伴よ、俺はあの監督のためならすべてを投げ出してがんばるぞ」
飛雄馬がガラリと玄関を開けると、

正座して待つ一徹の姿がそこに
川上の土産だと言って渡したのは、なんと背番号16の巨人軍ユニフォームである。
川上の栄光を記念し永久欠番となるはずの16だ。
その場にいる全員が泣き始める。

母さん、どうだ立派だろう
そこへ長屋の皆から、酒樽と鯛の刺身が届く。

「この一徹、皆さんの人情が身にしみます」
「さあさあ、飛雄馬さん、記念の一杯を!」
飛雄馬が升酒を注ぐと、一徹はまず鼻の下にもっていき、

いいにおいじゃのう
「明子、すまんが塩をもってきてくれ」
升の角に塩を積み、さて口に近づけて…

「さあ、景気よくグーッと!」
しかし一徹、「やめとこう」と升を置くのだった
エエエエェェェェ(´Д`)ェェェェエエエエ 塩まで盛って…
「まだ早い、まだしょせん二軍に過ぎん。
お前はあの背番号に恥じん巨人の星になるのだ
そのときに心おきなく飲ませてもらおう」
長屋のみんなに向かって、「皆さんで飲んで、飛雄馬の門出を祝っていただきたい」
みんな大喜びで酒宴になる。

星親子と伴はジュースで乾杯
どうだ飛雄馬、巨人軍の選手として投げてみんかな?
ああやろう!とグローブを持って外に出る父子であった…
飛雄馬の入団に青雲の仲間が反発する中、伴はハワイ遠征へ。空港での見送りで花形は阪神、左門は大洋への入団を表明。二人は飛雄馬に冷徹な視線を向けるが、それはプロとしての宣戦布告だった。一軍候補の彼らに対し二軍スタートの自分を卑下する飛雄馬だが、川上監督の恩義に報いるため、彼らに負けじと闘志を燃やす。(第53話|花形・左門の入団決定)


