二軍の自由と厳しさを先輩・大内山から説かれた飛雄馬は、全力投球で視察に来たONを抑え込むが、打たせることが仕事の場でのKYな行動に周囲は冷ややかな反応。飛雄馬はそれを「実力への嫉妬」と誤解し一軍昇格を夢見て有頂天に。
1軍入りの夢を見ているところを左右太郎に起こされた飛雄馬は、時間がないと注意されたのに、まず新聞を見たりして、不遜な態度。
巨人の投手陣は火の車という記事を見て、自分の1軍入りは近いと良い気分になり、食堂に降りると、コーチが顔を覗かせたので、オッ、来た!と一気に期待を高める。
しかしコーチは、左右太郎のバッテインング投手ぶりをホメるONの伝言を伝えに来ただけだったのでガッカリ。
「ONの調子を狂わせようとしてたやつもいたっけね」という速水の皮肉も耳に入らない。
投球練習で「コントロールだけじゃダメだ!プラスアルファがなきゃ!」と怒られた飛雄馬は、クソッ!と馬鹿力で豪速球を投げる。
「違う、スピードでもない! バッターを威圧する何かがなきゃダメだ! グラウンド5周!」
くそっ、くそっ、と飛雄馬は納得がいかない。
ONをきりきり舞いさせたのがなんだか悪いことみたいじゃないか!
わだかまり満載の飛雄馬、夜の自主練でグラウンドまで来てしまい、多摩川べりに住むたあ坊と知り合う。

たあ坊と姉ちゃんのゆりっぺ
本当に巨人の選手?とたあ坊が疑うので、ONをきりきり舞いの話をすると、たあ坊は笑って、それなら二軍にいるわけないだろと鋭い指摘。
そう、そうなのだと考え込む飛雄馬。
俺にはホメてくれるやつが必要だ。脳裏に浮かぶのは伴の顔である。
そこで飛雄馬は筆を執る。

伴は飛雄馬の手紙を受け取った
そういう訳なのだ
ONを封じたこと
に。みんなから白い目で
いる オレは淋しい・・・・・・・
孤独だ・・・・ いかに野球の
とはいえ、お互いに他人の成
ねたむ人間だけにはなるまい
・・・・・・・・
ところで伴よ、ハワイの生活はどうですか・・・・・・オレは毎日が自分との斗いだ。ともすれば今の精神的な苦痛にたえられなくなりなりそうな気がする・・・・・。伴よ 早く帰ってきてくれ・・・君だけはすべて解ってくれている・・・・伴宙太殿
飛雄馬の悩みを読んで頭をひねるが、花形はその話を聞いて、すぐにぴんときたらしい。
かくして、今日も練習でへとへとの飛雄馬は伴からの返信を受け取る。

風呂を沸かしながら読む飛雄馬
手紙ありがとう も読み返した
まずON砲を 完封したこと
花形と左門 話してやったが
してた。来る日のプロでの対決
新たな斗志を燃やしたようだ。
ではないが俺も加えて わが高校
相変わらずハワイ球界で連戦
奴はこちらの女学生にもモテッパ
クショウ。ところで星よ お前の
少しあせりすぎてやしないか
友 伴宙太の第六感だ!! は
ばよいが・・・・? とにかく
飛雄馬殿 伴宙太より
追伸 このスケジュール 早く
遊んで、映画もジャ

ハワイでも女子高生にモテモテの花形(飛雄馬の想像)
伴の第六感では、「お前少し焦りすぎていないか?」とのこと。
たしかに焦ってる…と飛雄馬はうなずく。
翌日には二軍戦に選ばれなかったので、ますます腐る飛雄馬であった。
ピッチャーに選ばれたのは左右太郎、ピンチランナーとして速水が選ばれた。
悩みぬいた飛雄馬は、長屋に夜の自由時間に帰ってくる。
ちょっとしたスター気取りだなと一徹が皮肉る。

おあがんなさいという明子に、一徹「ならん」
飛雄馬の「ONきりきり舞い話」を聞いた一徹はひとこと、「国定忠治だな」

赤城の山も今宵限り…あの忠治じゃよ
にっこり笑って人を切る喧嘩剣法の忠治、
道場破りをしようと江戸の千葉周作道場に乗り込んだ
真剣での勝負を千葉に申し込み、
イザ!と長く睨みあい、さあ飛び込もうとしたとき、周作は勝負あったと止める
喚く忠治に道場の者らが説明するには、
先手だけはたしかにとったが、我々には先生がその方を真っ二つにするところがまざまざと見えた
聞いているうちに忠治は青くなり、千葉道場を去っていった
あいかわらず喩えがわかりづらいが、つまり先手をとったがONはカスリ傷なのだと言いたいらしい。
そんなことはない、かすりもしなかったのだと飛雄馬は必死に抗弁し、出ていってしまう。

去っていく飛雄馬を一瞬追う一徹
走っていく飛雄馬の背中を見ながら、わしにはあれしか言うことができなかった、許せ、みんな悩み傷つくのだ。
しかし相手がONとはさすがにでっかいわい…と、さしもの一徹も親ばかなのである。
巨人対大洋戦を二軍選手として見守る星飛雄馬は王貞治と長嶋茂雄に力の差を思い知らされ、さらに祝勝の裏で契約更改を恐れる左右太郎の現実を知る。豪速球への固執を捨てきれない飛雄馬は、翌日の打撃投手で完敗し、ONから「次は必ず打つ」と諭されてようやく悟る。(第57話|王・長嶋 涙の教訓)


