巨人対大洋戦を二軍選手として見守る星飛雄馬は王貞治と長嶋茂雄に力の差を思い知らされ、さらに祝勝の裏で契約更改を恐れる左右太郎の現実を知る。豪速球への固執を捨てきれない飛雄馬は、翌日の打撃投手で完敗し、ONから「次は必ず打つ」と諭されてようやく悟る。
夜中に目覚めた飛雄馬は、左右太郎が出て行く支度をしているのを発見した。
「やっぱり俺は辞めさせてもらうよ、俺はこの世界に向いていないんだよ」
元気づけて考え直させようとする飛雄馬に、左右太郎は決意の理由を語り始める。

実は一軍で三連勝したこともある左右太郎
同室の斉藤が出て行く支度をしているのに声をかけると、
「クビだよ、クビ! お前の調子がいいから俺は要らないそうだ!」
そのショックから打たれるようになり、左右太郎はたちまちノックアウトされた。
バッターボックスに入る選手には生活がかかっていると思うと、腕から力がぬけていくんだ。
野球には、「楽しんでやる野球」と「苦しんでやる野球」がある――
涙を流す左右太郎に、「いい先輩なのに、プロの世界ではどうにもならない」と思う飛雄馬であった。
自分も涙ぐみながら見送り、振り返ると速水が立っていた。
「やっぱり辞めたか、あの男」
監督が、星と大内山なら、切るのは大内山と言っていたという。
俺が大内山さんをクビに追い込んだというのか(誰もそんなことは言っていない)
と思った飛雄馬は、翌日、監督に左右太郎を引き止めるよう求める。
しかし監督はひとこと、「思い上がりもいい加減にしろ!」
それでも罪悪感に苛まれて、夜は不貞寝する飛雄馬だった。
前回した反省をもう忘れたのか…
それを横目に速水は今夜もスイング練習である。
明けて休日、映画やデートなどに出かける選手たち。
どこか走っていく飛雄馬を見て、速水は練習と勘違いし、俺も休日返上だと上着を脱いだのだが、飛雄馬が向かったのは、左右太郎が出ている草野球の試合だった。

左右太郎はホームラン工業(株)で働いている
草野球で左右太郎は大活躍、「君のおかげで町内で鼻が高いよ」とホームラン工業の社長。
大内山を紹介したのは中尾二軍監督だったらしい。
飛雄馬はほっとしながら、
「しかし僕は先輩とは違う道、傷だらけの野球を目指します」
さよなら先輩、お元気で…(あっさり)
帰るなり、素振りする速水の前に現れた飛雄馬、速水にバットを放って、
「素振りをするなら二本にするがいい」
「何をっ、敵に塩を贈ったつもりか!」
「改めて言っておく、君と勝負だ!」

いや、二軍選手全員と勝負してやる!

なぜかバットが浮いている
昨日、大内山に会ってきましたと監督に報告した飛雄馬は、
「監督はあの会社を紹介したあげたんですね!」
「知らんぞ…お前にもどこか見つけてやろうか」
「ぼくは…1軍に行きます!」
「こいつぅ!」
ようやくのこと、場に溶けこんできた飛雄馬であった。
多摩川の現場で働く一徹が見守る中、帰国した伴が飛雄馬を訪ねる。飛雄馬は中尾監督の壮絶な千本ノックを受け、泥にまみれて必死に耐え抜いていた。その顔つきに飛雄馬の成長を見た一徹は、明子の握り飯と手紙を差し入れる。父の愛情を独り噛みしめる飛雄馬だった。(第59話|血みどろの千本ノック)


