速水の活躍を見て二軍でくさる飛雄馬に、川上監督は「馬鹿正直こそ尊い」と諭す。吹っ切れた飛雄馬は初月給を手にし、父には革ジャン、姉にはバッグ、伴には万年筆、たあ坊にはグラブを贈る。一徹はプロ球界に迫る地鳴りを感じ、本当の試練はこれからだと予感する。
花形のタイガース入団が発表された。

藤本監督は満面の笑み
(わたしは巨人の星でしかプロ野球を知らないので、この藤本定義という人を知らないのだが、川上哲治はこの人の教え子とのこと(巨人での?)。オールスターで川上が江夏を連続登板させたので、阪神ベンチに呼んで川上に説教したという。)
藤村富美男の背番号であった欠番10を花形におくる(このヒトも知らないのだが、初代ミスタータイガースである由)
このミスタータイガースというものの定義はよくわからない。
例えば掛布は、引退後に日テレに出演することが多くなったため、もはやミスタータイガースではないという声もあるというww
…それはともかくとして―――
「星に甲子園での借りを返すのが僕のプロ入りの動機です」
と語る花形に、記者陣は不満の声をあげる。
「星はまだ多摩川でくすぶってるぜ?」
「それがかえっておそろしい。
冬の青麦のように、あるいは雪をはじく青竹のように、踏まれれば踏まれるほど強く成長する男です!」
なんで「あるいは」と言い直すのか、意味がわからんww
東映二軍との今年最後のオープン戦で投げることになった飛雄馬。
(東映フライヤーズというのは、のちの日ハムのこと。松竹など映画会社が野球チームを持っていた時代があったのである)
そこに、牧場がたまたまスケッチをしに訪れ、「星君の初登板が見られるなんてツイている!」と喜んでいる。
(なぜ急に牧場君が現れたかは、今回の最後でわかる仕掛けになっている)
マウンドに立った飛雄馬、たちまち藤村二軍監督の視線に射すくめられる。


「速い、じつに速い…しかし、わしには致命的な欠陥が見える…」
と藤村は不気味なこと言う。
7回までノーヒットノーランに抑えた飛雄馬を封じるため、藤村がバッターに何やら耳打ちすると、いきなり外野フライの当たり。
「合わせていけとアドバイスしたのか?」
と思った飛雄馬だったが、次の打者は外野でポテンヒット、三人目、四人目も外野フライ。
そして9回はライトフライ、センターフライ、最後のバッターはホームランぎりぎりをセンターアウト。

かくして飛雄馬はみごと勝利投手となった
「今日はお前の独り舞台だったぞ」と仲間たちから褒められた飛雄馬だったが、一徹の存在をおぼえていた藤村監督の表情は、しかし暗かった。

「あの子も悲劇の豪速球投手になりかねんぞ…」
かなり不吉なシーン
そこへタクシーで到着した一徹。
試合が終わっているのに藤村が棒立ちしているのを見て、なぜか不吉な予感におそわれる。
牧場から今日のスコアブックを見せてもらい、ハッとして手がわなわなと…


ガーン
不吉な予感はやはり正しかった。
さらに、東映が外野に飛ばし始める直前に藤村監督が耳打ちしたと聞いて、

しまったあ!
「野球にかけてはずいぶん冷静だったはずのこのわしが、これまで気づかなかったとは!」

「飛雄馬はこの事実に気づかず、それどころか初勝利に酔いしれているだろう…喜べ、これが最初で最後の勝利かもしれん…」
一徹の眼には花形や左門の姿が浮かぶ。
そして今度は基地外のように笑い出して、

ふっあっはっはっは、とんだお笑い草だ、茶番だ!
「飛雄馬が俺の手を離れようとしているそのときになって、致命的な欠陥が暴露されようとは、とんだお笑い草だ!」


遅い、遅すぎる…!
一徹、狂気の一人百面相である。
てゆか、このショックの演出はすごく長いね…
飛雄馬よ、あとは自分で克服していくのみ、それができるかできないか、いずれにせよ、その致命的な欠陥はお前に一生つきまとうであろう…
この“欠陥”とは、飛雄馬の球質の軽さ、のことである。
ショックの演出が長いのも道理で、この宿命的な「欠陥」を克服するため、これから飛雄馬は魔球を生み出し続けねばならなかったと言われる。
いわば今後の展開すべてにかかわるショック描写なのである。
実際には球質に重いも軽いもない、というのが今の定説であるが、それにしても梶原一騎の大ハッタリ展開のひとつであろう。
正月、帰省した飛雄馬は、普段しない神頼みをするほど憔悴した一徹の姿に驚く。一徹は飛雄馬に投手としての死が迫っていると苦悩し、「前のめりに死ね」と諭すが、飛雄馬は真意を測りかねつつも、ただならぬ危機と愛を感じ取る。(第63話|限りなき前進の誓い)


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