大洋戦、飛雄馬は川上の敬遠指示に逆らい、進退を懸けて左門と対決するが痛打され、約束通り即座に二軍落ちに。台湾での快投も実は制球難への恐怖が招いた虚像だったと暴かれて自信は完全に崩壊、絶望の中、夜の二軍マウンドで立ち尽くす。
人目を避けて後楽園球場から去った飛雄馬。
血の涙を流す飛雄馬である(キャプチャ忘れた)
タクシーで帰ったはずなのに、今日の回想ではなぜか徒歩になっている。
街頭のテレビで流れる花形のヒーローインタビュー・・・って、あれ、なんで阪神の花形が? しかもユニフォームで?
「いや、星君は死なない!」
「は? というと?」
「星君は不死鳥だ、火の鳥だ!
たとえ火に落ち灰になろうとも、その灰の中から甦る、
いっそう手ごわい好敵手となって!」
ありがとう花形さん・・・しかし今の俺にはかえって惨めな気持ちにさせられるぜ
「再起不能さ…お先真っ暗っ…惨めな負け犬だぜっ…!」
と、なぜかカイジふうの飛雄馬なのだった。
翌朝──新聞スポーツ欄を眺める一徹。
そこへ駆け込んできた伴。
どうしてどいつもこいつもユニフォーム姿なのかww
飛雄馬が宿舎に戻ってこないという。
これが、あとあとまで直らない、飛雄馬の放浪癖である。

いくじなしめ…と一徹はがっかり
「星のヒョーロク玉! 逃げるなんて女の腐った奴のすることだ!」
と差別的な表現で憤る伴だが、
明子は怒るでもなく、涙ボロボロで弟をかばう。

「いつからこのうちは世間にありふれた、甘ったれたマイホームに成り下がったのですか!」と伴は言いつのる。
「このままじゃ、大学の入試にノコノコついていき、息子が不合格だからと家族全員がメソメソするそこらのマイホームと変わらないじゃないですか!」
ずいぶんと具体的なイメージについて語っているが、これが放送された時分、世間はニューファミリーブームであった(わからない人が大半だろうが、当時そういうブームがあったのである)。
東京では核家族化が進み、受験戦争が社会問題になりはじめていた。
「ライオンの子は大きくなりすぎた。親の力ではどうしようもないほどに・・・」
と、一徹は放心したままである。

そこへ牧場君がやってくる
「どうせ自分のおしゃべりの詫びを入れにきたのだろう!」と伴はなじる。
しかし牧場がポケットから出したのは、飛雄馬からのハガキだった。
チラリと見える牧場君の住所は「文京区本駒込1の17」
あのお屋敷は引き渡したのだろうが、相変わらず山の手に住んでいるなあ。
ハガキに綴られていたのは、けして牧場さんのせいじゃないから気にするな、という文面である。
飛雄馬の優しさに、その場の全員がしゅんとなる。
というか、実際は、呆れたというのに近いのではないだろうか。
「どうして誰も彼もメソメソものが好きなんだ! 伴宙太は断じて泣かん!」
伴は叫ぶと、
良い男よ、と一徹は評して、「そして飛雄馬も大丈夫なようだ」
「牧場君――君がいつか描くであろう作品に、強さというものを描くとき、
真の強さというものは優しさに秘められているということを覚えておきたまえ」
「絶望のどん底から牧場さんを思いやることができた飛雄馬は、大丈夫なのね」
と明子のまとめコメント。
「帰ってこい、飛雄馬!」と叫ぶ一徹。
「川上よ! わしの魔送球と飛雄馬の豪速球は試練の炎に死んだ。だが飛雄馬は死なん!やがて素晴らしい魔球を引っさげて炎の中からよみがえってくる!」
その頃──
飛雄馬は、またしても列車のボックス席で揺られていた。
脳裏に浮かぶのは花形、左門、伴、そして最後に明子の姿である。
突堤に座り込むうち、温かいものでも食わんかと漁師に声をかけられる。
漁師を手伝おうと網を担ごうとし、たちまちふらふらとなった。鉛の錘が付いていて、思ったより重いのである。
礼も言わず、無言で飯をかきこむ飛雄馬。
「俺の体はいくら食べてもだめなんだ、大きくならないんだ・・・網を担ぐ力もない…」
会話をしているのではなく、ひとりで呟いているのである。
しかし漁師は気を悪くした様子もなく、
「これを持つのはコツがあるんじゃよ」
飛雄馬ようやく相手を見て、
「そのコツはどうしてつかんだんですか?」
「それは、いろいろやってみたんじゃよ」(答えになってない)
飛雄馬は自嘲し、
「俺はグラウンドを出てから野球を捨てることだけを考えている…
いっそ山か海で狩人か漁師になろうと思っていたのに・・・」
原始人かww 小学生並みの人生観であるww
「…それなのに、今から漁師になっても、
このじいさんにさえかなわないとは、なんてこった・・・」
漁師を完全にナメているww
ふらふらと外へまろび出て、
「くそうっ、一体俺はどうすれば・・・坊主になれとでもいうのか!」
ついでに坊主の仕事もナメているww
夜空を仰いで巨人の星を探し、
「あの星は俺にはもう見えない、俺の前にあるのは真っ暗い闇だけだ!」
と支離滅裂な飛雄馬なのであった。
…翌朝、たどり着いたのは禅寺であった。
次の回の台詞にあるのだが、どうも鎌倉らしい。
座禅修行中の人々の中に、なんとか心を落ち着けた飛雄馬の姿もあった。
川上が言っていたことを思い出して、ここへ来たのである。
俺のは猿真似だ・・・と始める前から飛雄馬は自嘲している。
邪念を悟られて肩を打たれ、
「それにしてもよく打たれる、さっきから俺ばかり打たれる…」
相変わらずひがみっぽい飛雄馬なのである。
そこへ和尚がやってきて、飛雄馬ばかりピシピシと5回も6回も打つ。
打たれると痛いのは理の当然じゃ、しかし打たれまいとすればするほど五体に硬さがでて余計ガタガタする、また打たれる。
ちょうど投手と打者の関係のようだ・・・と飛雄馬はすぐ野球に結びつける。
こんな負け犬の逃亡者などいくらでも打ちすえるがいいさ、とヤケクソになった途端、ぴたりと打たれなくなる
「わかるかな…」と和尚。
「打たれまいと作った姿勢ほどもろいものはない。打たれて結構、いやもう一歩進んで打ってもらおう、この心境を得たとき、難しい禅でも何でも悩み苦しむ迷路におのずと道が開ける、いかがかのう」
飛雄馬、やにわに森に走っていき、
「俺の耳には自然の音までが大リーグボールと叫んでいるように思える!」
きっと完成させてみせる!
鎌倉から帰還した飛雄馬は伴を相手に狂気の特訓を開始。防備を固めた顔面直撃すら厭わぬ猛攻に伴は満身創痍になり、一度は良心の呵責に苛まれるが、宿敵・花形の挑発に火がついて友情という名の生贄を糧に特訓を再開。伴の命が尽きるのが先か、魔球完成が先か。(第72話|めかくしのバッター)












