『名前をなくした女神』ってどんなドラマ?
「ママ友」は、友達ですか——?
小学校のお受験、嫉妬、虚栄心、裏切り……。「ママ友」の世界に渦巻く女たちのリアルな葛藤と愛憎を描いた衝撃作!
子どもが幼稚園に入園したことをきっかけに知り合った5人の「ママ友」たちが、自身の欲望や葛藤、そして受験バトルを通じて追い詰められていく様をスリリングに描く。
「ようこそ、ママ友地獄へ——。」
放送当時、あまりにリアルな「ママ友トラブル」の描写が社会現象を巻き起こした伝説のドラマ。
全体のあらすじ
ハウスメーカーを退職し、専業主婦となった秋山侑子(杏)は、息子の健太を近所の「ひまわり幼稚園」に入園させる。そこで出会ったのは、それぞれに悩みを抱える4人のママ友たちだった。一見、協力し合っているように見えるママ友コミュニティだったが、その実態は「夫の職業・学歴」「家庭の裕福さ」、そして「名門小学校への受験」をめぐる苛烈なマウンティングと嫉妬の渦だった。
良かれと思って取った行動が裏目に出たり、ちょっとした掛け違いから孤立させられたり、裏切りや嫌がらせ(SNSでの誹謗中傷やデマの流布など)がエスカレートしていく。
「〇〇ちゃんのママ」と呼ばれることで自分の名前を奪われ、狂気に呑み込まれていく母親たち。侑子は子どもを守り、自分を見失わずに乗り越えることができるのか——。
キャスト
秋山 侑子〈28〉 – 杏
安野 ちひろ〈28〉 – 尾野真千子
進藤 真央 – 倉科カナ
沢田 利華子 – りょう
本宮 レイナ – 木村佳乃
■秋山家
秋山 拓水 – つるの剛士
秋山 健太 – 藤本哉汰
■安野家
安野 英孝 – 高橋一生
安野 爽 – 長島暉実
■進藤家
進藤 陸 – 五十嵐隼士
進藤 羅羅 – 谷花音
■沢田家
沢田 圭 – KEIJI
沢田 海斗 – 内田淳貴
沢田 空斗 – 今井悠貴
■本宮家
本宮 功治 – 平山浩行
本宮 彩香 – 小林星蘭
本宮 奈津恵 – 山本道子
■深沢家
深沢 雅美 – 安達祐実
深沢 翔 – 溝口怜冴
深沢 尚樹 – 趙珉和
■木島家
木島 なのは – 春日香音
木島 弥生 – 笠木泉
■岸本家
岸本 涼羽 – 笹原尚季
岸本 ゆかり – 春木みさよ
■ひまわりの子幼稚園
結城 広己 – 萩原聖人
京香 – 米澤史織
青木 恵那 – 行木瀬声
矢崎 里子 – 秋本祐希
矢崎 鞠 – 中山凛香
■東郷チャイルドスクール
東郷 百合子 – 夏木マリ
相原 – 水橋研二
■その他
ユキ – 葵
加藤 弓恵 – 中島ひろ子
加藤 美也 – 小泉彩
あらすじ詳細と感想
ようこそ、ママ友地獄へ|純粋なサスペンスとして期待
社会現象を極端な形で表現して視聴者をオドかすのは連続テレビドラマの常道で、さらにいえば、オドかすことによって、その社会現象をイメージとして広く定着させるというマッチポンプな役割も果たしている。
「不倫」にせよ、「セレブ」にせよ、「DQN」にせよ、「イジメ」にせよ、流行事象の多くはそうした歪みによって作り上げられたイメージだが、そのイメージにもとづいて動くマスな層が存在するのだから(存在しないことすらある)、えてして、イメージはイメージでなくなるのである。
「ママ友」は「お受験」「公園デビュー」とともに好まれるモチーフだが、ミムラのひたむきさが感動的だった「斉藤さん」(2008年冬ドラマ)以来、あまりとりあげられなかった背景には、急速な少子化の影響があるだろう。
そればかりか、社会情勢はいっそう厳しいものになっており(冒頭で、やり手であったはずの杏はあっさりとリストラされている)、本作に登場する夫(30代正社員で妻子持ち、自宅は自己所有)は、全員、多くの人にとって現実味がないほどの“勝ち組”といえる。
倉科カナとその夫・五十嵐隼士は高校中退のDQN夫婦という設定だが、トラック運転手である五十嵐が、駐車場まで7駅も電車で“通勤”しなくてはならないとはいえ、“セレブ”そのものである木村佳乃と同じ億ションの低層階(ワンルームとはいえ、5千万はくだらないはずだ)に住み、結婚して娘と3人暮らしを享受できるのは、途方もない成功者なのではないだろうか。
テレビドラマを作ることには、今や、従来通りの世界を無自覚に描いただけで、反動的なまでにズレてしまうという困難さがあるように思う。
したがって、こうした設定はしょせん荒唐無稽なものに過ぎない。
公園に佇む子供とその母親たちを高いところから見下ろして、実はそこにあるのは平和な幸せなどではなく、嫉妬や見栄、嘘、裏切りが横行する“地獄”なのだとオドかすのは、一見、扇動的なやり口のように見えるが、じつはこのドラマは単純なサスペンスである。
ここで毎週展開されるのは、入り組んだ人間関係を背景に毎週発生する事件の黒幕を探すゲームになるだろう。
たとえば安達祐実を自殺に追い込んだのは誰か。
「ひまわりの子幼稚園【くもぐみ】保護者と園児リスト」を作成しているのは誰か。
そして初回冒頭で子供の手を引いていた女は誰か。
わたしの予想では黒幕はもちろん、りょうである。
サスペンス好きとしては、見逃せないドラマになりそうである。
身も凍る再会|不幸属性の尾野真千子
安達祐実は死んでいなかった!
昏睡状態ということなので、クライマックスか最終回で意識を取り戻し、それがストーリーの舵を切るきっかけになるのかと予想したが、安達の夫は妻子を連れて引っ越すことにしたと話していた。
この夫は安達が自殺した理由を知っている口ぶりだったが、杏はそこに気づかずスルーしてしまったので、ひどくもどかしかった。
やっぱり、クライマックスで完治した安達が戻ってきて杏を救うのかもしれない。
第2話では、尾野真千子を中心に、それぞれの家庭の問題が描写された。
家庭と言っても、ぶっちゃけ、夫との関係である。
感心したのは、尾野真千子が夫・高橋一生のDVに苦しんでいるという設定。その実態は巧妙で、身体的な暴力をともなうのではなく、言葉と態度で徹底的に妻を管理しようとする、発見されにくいタイプのDVである。
発見されにくいということは社会問題として表面化しにくいということで、テレビドラマで扱うことにはいささかの決断を要しただろう。
朝ママに渡した10枚の100円玉が夜4枚になっているのはなぜだろうね、と、初回でもこの夫は聞えよがしに子供に聞いていて(尾野が使った600円は、ママ友の集まりの会費である。杏を誘いながら、600円かかるけどいいかと尾野は念を押していた)、銀行員のくせにずいぶんせこい男だと思ったが、妻の財布のレシートなどを管理しようとするのは典型的なDVの1タイプである上に、通勤途中のバスの中で女子高生に痴漢を働く歪んだ性癖をもっている。
正直、痴漢のくだりは要らないんじゃないの、と思ったが…



