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踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

2.5
小橋めぐみ(踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望) 映画
小橋めぐみ(踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望)
2012年9月7日公開。フジテレビ製作の連続テレビドラマ『踊る大捜査線』の劇場版第4作であり、15年に渡るシリーズ最終作。撮影終了後の同年5月16日に逝去した小林すすむの遺作でもある。
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踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望の感想

日曜の夕方にあれこれ迷った挙句にFODで見たのがこれ。2012年の映画だが初見。
中盤目を離していたので終盤に深津絵里がいなかった理由がわからないのだが、野添久美子巡査(小橋めぐみ)がちゃんと出ていることを確認できたのは良かった。

このシリーズはおびただしいキャストとエキストラの群衆劇であり、ロングの画面いっぱいの群衆の中をメインキャストが駆け抜ける仕組みになっている。ところがクライマックスシーンは倉庫内でのマル被との一騎打であり、さらにCGだった。最後まで群衆シーンのまま進んでほしかったと思う。

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 見どころ

1997年にテレビドラマとして登場し、“警察は現場で起きているんだ!”というセリフで社会現象を巻き起こしたシリーズの完結編として銘打たれた本作は、まずもってファンへの感謝とシリーズの幕引きを目的としているが、20年近く続いた人気シリーズの集大成にしては物足りないものであった。

過去作の「焼き直し」以上のものが見えないプロット

最大の欠点は、「シリーズ完結編でなければならない理由」が、ドラマや脚本の中からほとんど感じ取れないということだろう。
連続殺人事件、警察組織の内部闘争、新庁舎移転など、事件と設定はシリーズ的な文脈を踏襲しているが、そのどれもが既視感にまみれ、新しさも鋭さもない。とくに犯人像や動機設定の浅さは致命的で、かつて『踊る』が得意としていた「社会との接点」や「システム批判」も、形骸化している。
「希望」というタイトルにしては、あまりに物語の視野が狭く、何に対しての希望なのかがわからない映画だった。

青島刑事の“成長なき終幕”

織田裕二演じる青島俊作は、言うまでもなくシリーズの象徴なのだが、本作ではまるで観光案内人のように事件を歩き回るばかりで、かつての熱量や突破力は影を潜めている。
時間の経過とともにキャラクターの内面も変わるのは当然だが、ファイナルを迎えるならば、何らかの覚悟・決断・成長のようなものが描かれてしかるべきだった。
だが、青島は本作において「辞表を出すか否か」をめぐって葛藤し続けた挙句、曖昧なままフェードアウトしている。“成長”ではなく“停滞”であり、シリーズの看板キャラに対する締めくくりとしては物足りない。

バディドラマとしての熱が希薄

シリーズの魅力は、単なる警察ドラマではなく、人間関係──とくに青島と室井(柳葉敏郎)の“熱くもすれ違う友情”にあったはずだが、本作では、青島と室井の接点は最低限に抑えられ、感情のぶつかり合いもなく、淡々とストーリーが進行する。観“二人の関係性の変化”に対する期待は裏切られた。

キャストの“ファンサービス的消化”が前面に出すぎる

旧シリーズのレギュラー陣が勢揃いするファンサービスがあったが、結局「顔見せ」に終始し、一人ひとりの内面や関係性に深く踏み込んだものではなかった。
和久さん(いかりや長介)の“遺志”のようなものが語られる場面もあったが、ノスタルジー以上の意味を持たない。もはや作品そのものが“かつての名シーン”の亡霊に引きずられているだけだった。

1990年代後半の日本社会とリアルタイムで響き合い、「システムと現場のギャップ」を笑いと涙で描いた斬新さはもはや観られなかった。青島の「何も変わらない現場」への言及はシリーズ自体の限界を示していたのだろう。

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望のあらすじ

2012年12月21日、湾岸署は国際環境エネルギーサミットの警備で忙殺されていた。署長となった真下が統括し、刑事課を中心に署内体制を一本化。青島とすみれも各部署を転々としていた。サミット会場で誘拐事件が発生し、本庁交渉課の小池も駆けつけるが、被害者は射殺される。捜査一課刑事の犯行と判明し、異例の極秘捜査体制が敷かれる。湾岸署刑事課は誘導され、誤認逮捕と自白強要が行われる中、青島は上層部の不審な動きに気づく。第二の殺人事件では、被害者が6年前の誘拐殺人事件の被告だったことが判明。青島は冤罪を着せられ、辞職勧告を受ける。さらに真下の息子が誘拐される第三の事件が発生。青島は室井の命令で人質救出に奔走する。室井は集められた情報から事件の真相に近づいていく。

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踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望のキャスト

湾岸警察署
青島俊作 – 織田裕二
恩田すみれ – 深津絵里
真下正義 – ユースケ・サンタマリア
真下雪乃 – 水野美紀
緒方薫 – 甲本雅裕
篠原夏美 – 内田有紀
和久伸次郎 – 伊藤淳史
栗山孝治 – 川野直輝
王明才 – 滝藤賢一
森下孝治 – 遠山俊也
魚住二郎 – 佐戸井けん太
中西修 – 小林すすむ
スリーアミーゴス
神田総一朗 – 北村総一朗
秋山春海 – 斉藤暁
袴田健吾 – 小野武彦
野添久美子 – 小橋めぐみ
山路史子 – 笠木泉
婦警 – 川田希、広澤草、川隅奈保子、荻野友里、鄭亜美、東加奈子、平田薫、小松彩夏、神農幸、柊瑠美、山本真由美、小泉麻耶、川村紗也、谷麻紗美、水野綾子、一双麻希、丸山陽子、葉加瀬マイ、新生かな子、渡部彩、吉田エマ、茨木菜緒
立番警官 – 林和義
警視庁
鳥飼誠一 – 小栗旬
小池茂 – 小泉孝太郎
細川典文 – 貴山侑哉
倉橋大助 – ムロツヨシ
渡辺敬祐 – 石田剛太
久瀬智則 – 香取慎吾
警察庁
室井慎次 – 柳葉敏郎
新城賢太郎 – 筧利夫
沖田仁美 – 真矢みき
福田徹 – 山路和弘
安住武史 – 大和田伸也
池神静夫 – 津嘉山正種
警察行政人事院
横山邦一 – 大杉漣
その他
三井一郎 – 三上市朗
坂下始 – 北山雅康
日本科学未来館警備員 – 武野功雄
TVキャスター – 笠井信輔戸部洋子山﨑夕貴渡辺真理

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望のスタッフ

監督 – 本広克行
脚本 – 君塚良一
シリーズ音楽 – 松本晃彦
音楽 – 菅野祐悟
主題歌 – 織田裕二「Love Somebody CINEMA Version IV」
製作 – 亀山千広永田芳男
プロデューサー – 立松嗣章上原寿一安藤親広村上公一
協力プロデューサー – 石原隆高井一郎臼井裕詞金井卓也
ラインプロデューサー – 巣立恭平
撮影 – 川越一成
照明 – 加瀬弘行
美術監督 – 梅田正則
美術デザイン – 棈木陽次
録音 – 加来昭彦
編集 – 田口拓也
VFXスーパーバイザー – 石井教雄
選曲 – 藤村義孝
協賛 – NISSAN
Supportted by – NOTTV
制作プロダクション – ROBOT
製作 – フジテレビジョン、アイ・エヌ・ピー
配給 – 東宝

『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』は、シリーズに別れを告げるための「式典」的な映画です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。

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