すでに長くなりすぎているが、今回は東郷チャイルドスクールの模擬面接があり、3家族が順番に夏木マリの鑑定にさらされるという趣向だった。それは表向きで、じつは、さながら、それぞれの妻による夫の査問会なのである。
妻たちはそれぞれ夫の態度や言動を吟味し、とりあえずの合格点をつけたようだったが、家族に対する思いが合格でも、妻に対する思いはまた別。セックスレスの本宮家と、夫が不倫中の沢田家は、そういう意味で問題があるわけだが、平山広行は中島ひろ子が愛人ではないと先週明らかにしてしまっているので、セックスレスの理由は不明である。
ドラマ開始当初、健太君にずいぶん差をつけていた彩香ちゃんは、なぜか馬鹿になってしまい、切りそろえた前髪の下でカンニングを働いていた。彩香ちゃんはおそらく本番でカンニングをして、お受験に失敗するのだろう。哀れである。
さて、幼稚園ママ全員のケータイに一斉メール爆撃を実施した倉科カナは、その現場を目撃していた杏に責められ、フリーメールを盾に婉然と笑ってしらをきるのだが(じつは倉科のケータイには「メール送信完了」の表示が出ていたのだが)、「むなしくないの?」という言葉を投げつけられて、表情をくもらせる。そうなると倉科の悪事も、これで打ち止めとなったのだろうか。
ハギーは、一斉メールの犯人が倉科であることを知っていたようだったが、それをママ友たちにも木村佳乃にも告げずに去っていった。
倉科の悪事を知っているのはいつも杏だけである(なぜ、りょうにも誰にも言わないのか、不思議でならない)。
最後に、尾野真千子について書いておく。
尾野はようやく髪をまとめ、模擬面接に出席するところまで恢復した(夏木マリの質問に尾野はちゃんと答えられたのだろうか、気になるところだ)。爽君をはさんで夫婦は新婚のように視線をかわしあうまでになったが、麿顔の夫・高橋一生のセクハラ疑惑がやはり冤罪という流れになりそうなので、あのバスでの痴漢現場目撃事件をどう結論づけるつもりなのかと思う。
予告編で映ったカットから想像するに、次回は杏と尾野の和解があり、尾野は再生を迎えるようなのだが、たとえば安達祐実を自殺に追い込んだのは誰か。
「ひまわりの子幼稚園【ももぐみ】保護者と園児リスト」の伏線も回収してほしいものである。
嘘と裏切りの微笑|尾野真千子の再生に涙ぐむ
今週はなぜか録画予約に失敗してしまい、フジテレビオンデマンドのストリーミングで見るはめになった。無料の動画はあちこち転がっているのだが、ちょっと見てみて、画質の悪さは致命的だと気づき、315円を払うことにした。無料動画では、女優の表情がよくわからず、見ている意味がないのである。
今回は尾野真千子の再生の物語であって、とても感動的だった。来週で最終回を迎えることを惜しく思うほどであった。そーゆーコトは、1年に1回ぐらいしか感じないものである。
安達祐実は狂言回しの役を全うするとともに、尾野真千子再生の小さな伏線の役割もはたした。
「ひまわりの子幼稚園【ももぐみ】保護者と園児リスト」についても触れられたが、あそこまで綿密な調査資料を作成できる人間は一種のパラノイアである(ところで資料の1ページ目が本宮レイナなのは、なぜだろうか)。
かたくななまでに名前を呼ぶことを避けていた杏は、とうとう尾野を「ちひろさん」と呼んでいた。「ちひろちゃん」ではないというところが、失われた中学生の友情の再現ではなく、成人女性としての友情の始まりであるという、脚本家の小さな企みなのだろう。
それにしても、「私のことを忘れないでね」という手紙までもらったのにあっさり忘れた上に、名乗り出られても思い出さず、尾野を無視し続けた杏は、よほど尾野という人間を記憶から抹消したかったとしか思えない。本来、ドラマのこうした展開には理由があるはずなのだが…
尾野真千子の泣き顔の、独特の唇の歪みは、見ているとオロオロしてしまう。最初に見たときは、杏に裏切られた悔しさを表している演技なのかと思ったのだが、どうやら、泣き顔はこの顔になってしまうようだ。
さて、戦闘モードになったりょうのさしあたっての嫌がらせは、自分から投函しといてあげると申し出た願書を、投函しない、という悪意バレバレのものであった。悪意を隠さない最大級の戦闘モードである。これと比較されるべきは、メール爆弾を落とす現場を見られながら、しらを切り通した倉科カナであろう。
りょうは、本郷チャイルドスクールの事前注意事項説明会で、ひとりだけ受験票が届いておらず慌てふためく杏を嘲笑し、その場で悪意を言い渡すつもりでいたと思われる。
出鼻をくじかれてゆっくりと椅子の背にもたれかかったりょうの頭の中で、どのような計算がなされているかを考えると怖い。
りょうの杏に対する悪意がなぜここまで急速に膨れ上がったのか、という説明はまったくもって不足しているのだが、元からりょうがボスキャラであることはわかっていたので、視聴者にとっては、そのへんはどうでもいいのかもしれない。
りょうの戦闘モードのかっこいい演技は、そういった疑問を吹き飛ばしていた。
木村佳乃が危険性を指摘した受験番号がいよいよ届いたわけなので、最終回で、どのような攻撃が繰り出されるのか楽しみである。
一方、りょうの連れ子である空斗君が母親を見る目は冷静であり、おそらくりょうの戦斗モードを解いてドラマをエンディングに導くのは、この子だろう。
KEIJIが書いた離婚届は、りょうの反応を見るためのものであったらしく、年上妻との感情のすれ違いというやつで、こうした描写の歴史は映画などで古典的である。何かにつけてりょうがイニシアチブをとるスタイルである沢田家では、おそらくセックスでもりょうが主導権をとるのではないか。
倉科カナは、キャバクラでKEIJIから得た情報をもとに、りょうを嫉妬深いと評していたが、本当はもっと露骨な言葉が囁かれたのではないかという気がする。そうでないと、あそこまで嬉々として秘密めかして、倉科カナが杏に耳打ちする描写の意味がわからないのである。
倉科カナは、あれほどの大事件を起こして幼稚園教諭を追い出したというのに、今週は、キャバクラのバイトで寝不足なのを偽って仮病を決め込み、布団をかぶって寝ていたので、ほとんど活躍の場がなく、進藤家の動きは、五十嵐隼士が言い聞かせて、羅羅ちゃんが健太君と和解するという場面があったくらいだった。
この和解劇は、杏と尾野真千子の和解とうまく重ねられていた。進藤羅羅を演じる谷花音の可愛さは、このドラマ屈指だと思うのだが、それにしても羅羅ちゃんのチャイドル話は結局何ひとつ進まなかった。
羅羅ちゃんは自分だけがお受験できなかったことに不満の意を表明しており、倉科カナの感情に影響されての健太君をいじめるということしか、このドラマでは役割を果たすことができなかったのが残念である。
ハギーとの恋を経た木村佳乃には、もはや女王として君臨していた頃の威厳はなく、本郷チャイルドスクール塾長・夏木マリから娘のカンニング事件を聞かされて、あっさりと教育ママであった自分を反省してしまった。
平山広行は、ハギーが辞めてしまったことを知っても「ふーん」という感じだったが、妻と娘と川の字になって寝る良い父親になっていた。あとはセックスレスさえ解消されれば、この家庭は安泰である。



