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ペリカン文書

ジュリア・ロバーツ(ペリカン文書) 映画
ジュリア・ロバーツ(ペリカン文書)
ジョン・グリシャムの同名原作小説をもとに1993年、アメリカで製作されたリーガル・サスペンス。原題は「The Pelican Brief」。日本でのロードショーは1994年4月。ジュリア・ロバーツが若い法学生を演じ、出世作の一つとなった。
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法廷物でないことを初めて知る(ペリカン文書の感想)

90年代の法廷サスペンス流行を支えたグリシャムの小説は未読で、だからパクラ監督の「推定無罪」にも本作にも無関心で(本作は法廷物ではないのだが)、ついでにジュリアロバーツにも興味がなかった。

というわけで、本作を見て法廷物ではないことを初めて知ったのだが、ロバーツの書いた論文の内容が観客に明かされぬまま人がバタバタと死にはじめるのは別にいいとしても、法学部の学生が図書館でリサーチして1週間で書いた短いレポート(原題は「belief」)が、大統領の絶妙に痛いところを衝いていたという設定には無理があるように思う。本職の記者であるデンゼル・ワシントンは何をボヤボヤしておったのか。

ロバーツが調べたのは、実業家マーティスがルイジアナでの運河建設に反対するペリカン保護団体との裁判で不利になっているというところまで。だから環境保護派の判事と最高齢判事を暗殺した(後者は、最高裁を再編するため)に違いない、というのは単なる憶測である。ところがこの文書が指導教官(実は彼氏)→FBIの司法顧問→FBI長官→CIA長官→主席大統領補佐官→大統領と回し読みされることになって、マーティスの殺し屋たちが動き出す──という話なのだった。

気になったのは、冒頭のハードウィック裁判についてのディベート授業のシーン。1986年に自宅で男同士で行為に及んでいた男が逮捕された事件で、ロバーツは逮捕自体がプライバシーを侵しているから違憲だと主張する。指導教官は「州法は合憲だと判断した。なぜだ?」と問い、ロバーツは「バカだから(They are wrong.)」と答える。実際、2003年にソドミー法が撤廃されるまでこの判決は合憲だったのだが、このエピソードが本作にどう関係するのかがわからなかったので(午後ローの短縮版で見たのでカットされたに違いない)、誰か教えてほしい。

ペリカン文書 見どころ

政治と司法の闇に迫るサスペンスとして、今なお多くの映画ファンに支持される映画。リアルな描写と緊迫感あふれるストーリー展開が見どころ。

  • 見どころ1. 緊迫感あふれるストーリー展開
    法学生が書いた仮説が国家の陰謀を暴く鍵となり、命を狙われるというスリリングな展開。主人公と共に真相を追い求める緊張感を味わえる。
  • 見どころ2. ジュリア・ロバーツとデンゼル・ワシントンの共演
    当時人気絶頂だったジュリア・ロバーツとデンゼル・ワシントンの初共演作。
  • 見どころ3. 社会派サスペンスの名匠による演出
    『大統領の陰謀』などで知られるアラン・J・パクラ監督が、政治と司法の闇を鋭く描き出している。

トリビア

  • 原作では、ダービーとグレイの間にロマンスが描かれているが、映画では省略された。デンゼル・ワシントンがファン層への配慮からロマンスシーンを拒否したため。
  • 「ペリカン文書」というタイトルは、物語の舞台であるルイジアナ州の州鳥がペリカンであることから。劇中ではペリカンが生息する湿地帯の開発を巡る訴訟問題が重要な要素となっている。

ペリカン文書の原作のあらすじ

ワシントンD.C.で最高裁判事のローゼンバーグとジェンセンが殺害される事件が発生する。ローゼンバーグの弟子で、彼の下で事務官をしていたトーマス・キャラハンは、ニューオーリンズのテューレーン大学のロー・スクールで教授をしているが、ニュースを聞いてショックを受ける。キャラハンの生徒で恋人のダービー・ショウは、最高裁判事を殺害するための動機についてリサーチし、ある仮説に辿り着くが、あまりにも荒唐無稽な内容だったため、授業用のレポートとしてキャラハンに提出する。キャラハンは、ローゼンバーグの葬儀に出席するためにワシントンへ行き、そこで同窓のFBI法律顧問ヴァーヒークと再会する。キャラハンは「よく出来た仮説」としてヴァーヒークにレポートを手渡し、レポートは彼の手からFBI長官ヴォイルズに渡される。ヴォイルズは、FBIが警護を担当していた判事が殺害されたことで大統領首席補佐官のコールから非難され、その意趣返しとして「ペリカン文書」と名前がついたそのレポートをコールに見せ、「文書を参考にして捜査を進める」と伝える。数日後、キャラハンはダービーとの夕食直後、車が爆発して死亡し……。

ペリカン文書を観るには?

ペリカン文書のキャスト

ダービー・ショウ – ジュリア・ロバーツ
グレイ・グランサム – デンゼル・ワシントン
トーマス・キャラハン – サム・シェパード
ギャヴィン・ヴァーヒーク – ジョン・ハード
スミス・キーン – ジョン・リスゴー
フレッチャー・コール – トニー・ゴールドウィン
デントン・ヴォイルズ – ジェームズ・B・シッキング
ボブ・グミンスキー – ウィリアム・アザートン
ローゼンバーグ – ヒューム・クローニン
ルーパート – クリストファー・マレー
カーメル – スタンリー・トゥッチ
カーティス・モーガン / ガルシア – ジェイク・ウェバー

ペリカン文書のスタッフ

監督: アラン・J・パクラ
製作: ピーター・ジャン・ブルッグ
原作: ジョン・グリシャム「ペリカン文書」
配給: ワーナー・ブラザース

『ペリカン文書』は、政治と司法の闇に迫るサスペンスです。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。

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ペリカン文書の原作

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