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1991年12月14日公開の映画。脚本は三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ、監督は中原俊。三谷幸喜が自ら主宰する劇団・東京サンシャインボーイズのために書き下ろし、1990年7月30日に東京・シアターサンモールで初演、『しんげき』(白水社)1991年7月号(No.461)に掲載された同作の映画化。
12人の優しい日本人のあらすじ
美しい女性が夫殺害で裁かれた裁判、初め「無罪」と判断した12人の陪審員だったが、一人の陪審員が話し合いを提案し、審議を続けるうち、感情ではなく証拠に基づいて議論が展開。一時は「有罪」に傾く意見も出たが、詳細な検証により被告に不利と思われた状況が実は無罪の証拠だと判明した。また議論を始めた陪審員が個人的な家庭問題を投影していたことも露呈。最終的に全員が証拠に基づいた「無罪」で一致し、満足して解散した。
12人の優しい日本人の感想
テレビの映画番組というものは子どものときからあって、というか、昔のほうが始終放映していたような気がする。
ドーム球場などなかったから野球はよく雨天中止になって、変な未公開映画もずいぶん見たものだ。
夜9時からの映画放送には、おちょぼ口の荻昌弘や、オットセイおじさんや、サヨナラサヨナラの男などによる、見たくもない「解説」がついていた。もちろんCFもあって、そこでオーソン・ウェルズの巨体を見ることができたものの、日曜ロードショーのエンディングテーマはいかにも週末の終わりを宣言しているようで、「笑点」のテーマと並んでものがなしく、つまりそれらは映画以前にやはりテレビなのだった。
何を言いたいかというと、家族や、電話や、クリーニング屋の類によって簡単に中断されるような、テレビ画面で映画を見ることは絶対的に貧しいということである。中断しても一時停止しておけばすぐに再生を再開できるとか、プロジェクタの大画面とドルビー5.1chスピーカーで見るとか、他者に邪魔されない書斎にこもるといった環境を整備したところで変わらない貧しさを思えば、いっそありのままのテレビ的なるものを受け入れ、CFに切り刻まれる画面を横目で見ながら断想にふけるほうがまだ建設的なのではないか。
土曜の午下がりに「12人の優しい日本人」をDVDで見て、週末の中途半端な退屈さをやりすごす自堕落さは、やはりテレビ画面にこそふさわしい。
鼻血を流す中村まり子を正面からとらえた切り返しショットなどは不必要に浮いていた。
舞台であればおそらく、陪審員1号を中心に鈍角に開いた形で配置されるのであろう会議テーブルが、ぴったりと左右から密着され、あたかもその密着ぐあいを証明するかのように天津甘栗の袋がテーブルの中央に投げ出されている。
つまり、これは、12対0とか11対1とか7対5という「数の映画」ではなく、テーブルを囲む「視線の映画」であるとを期待させられる。
しかし結局は、左右に開いたテーブルを不均衡に右往左往する登場人物を長回しの中で撮るばかりであった。
陪審員1号を挟んで11人が両翼に着席する場合に左右の不均衡をつくりだす12人目としてのトヨエツ(今よりだいぶ若くて不良っぽいのがよい)の演出は、やはりいかにも舞台的であって、けして映画的ではないのである。
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12人の優しい日本人のキャスト
陪審員2号(精密機械製造会社従業員) – 相島一之
陪審員3号(喫茶店店主) – 上田耕一
陪審員4号(元信用金庫職員) – 二瓶鮫一
陪審員5号(商社庶務係) – 中村まり子
陪審員6号(医薬品会社セールスマン) – 大河内浩
陪審員7号(職人) – 梶原善
陪審員8号(主婦) – 山下容莉枝
陪審員9号(歯科医) – 村松克己
陪審員10号(クリーニング店経営者) – 林美智子
陪審員11号(役者) – 豊川悦司
陪審員12号(大手スーパー課長補佐) – 加藤善博
守衛 – 久保晶
ピザ屋の配達員 – 近藤芳正
12人の優しい日本人のスタッフ
原作:三谷幸喜
脚本:三谷幸喜、東京サンシャインボーイズ
製作者:岡田裕
企画:成田尚哉、じんのひろあき
プロデューサー:笹岡幸三郎、垂水保貴
撮影監督:高間賢治
キャメラオペレーター:戸沢潤一
編集:冨田功、冨田伸子
美術:稲垣尚夫
録音:志満順一
照明:磯貝幸男
フォルテピアノ演奏:エリザベータ・ステファンスカ(モーツァルト作曲《ピアノソナタK.545》》)
助監督:上山勝、島野伸一
音響効果:渡部健一
スタジオ:にっかつ撮影所
MA:東京テレビセンター
現像:東京現像所
製作:ニュー・センチュリー・プロデューサーズ、サントリー、日本テレビ放送網
配給:アルゴプロジェクト
12人の優しい日本人を観るには?
12人の優しい日本人を観た人の感想
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このように『12人の優しい日本人』は、情報分析のSTEPが描かれている。
『12人の優しい日本人』にみる情報分析のSTEP(Lawrence) -
私たちもまた、日常の中で「正義」を振りかざす時、知らず知らずに「偏見」を混ぜ込んでしまっているのではないか。その問い掛けがもっとストレートに伝わる演出だったならば、この作品はより深く、視聴者の心に残ったのじゃないかと。
未怜の映画備忘録 -
三谷幸喜の脚本もですが、舞台出身の俳優たちの演技もすごいのです。ちょっとした目線、しぐさ、セリフの強弱で、本当にこういう人いるよなあ、と思わせます。
わかりあえないという希望『12人の優しい日本人』(有賀 薫)