映画1970年代の映画1975年の映画

アイガー・サンクション

3.5
ブレンダ・ヴィーナス(アイガー・サンクション) 映画
ブレンダ・ヴィーナス(アイガー・サンクション)
『アイガー・サンクション』(The Eiger Sanction)は、1975年に公開されたアメリカ合衆国の映画。原作はトレヴェニアンの同名小説、監督・主演はクリント・イーストウッド。数多くの登山シーンがあり、アイガー北壁に挑むくだりは、1936年に挑んだ4人の登山家とその顛末通り。

アイガー・サンクションの感想

イーストウッドは本作をドン・シーゲルに撮ってほしかったようだが、断られたので自ら監督。前半はモニュメントバレー、後半は本物のアイガーで、しかもスタントなしで撮影しており、当然CGなしである。しかし決死の撮影(スタントマンが転落して死亡している)は報われず興行は不振に終わり、イカッたイーストウッドはユニバーサルと決別してしまう。

登山中も軽口を欠かさないイーストウッドが女にモテすぎるのはいつも通りなのだが、実は覆面作家トレヴェニアンの原作からしてそうらしい(ジェームズ・ボンドを意識しているらしいのだが)。絵画収集狂の美術教授で、殺し屋で(絵を買う資金を稼ぐためらしい)、しかも登山家という突飛な主人公である。おまけに彼を雇っているCIAならぬCIIのボス「ドラゴン」は色素欠乏症で光を浴びられない変態だ。

そもそもアイガーに登るのは、「国際親善の一環としてアイガーに登山するチームの中に標的がいるらしい」という曖昧な設定のせい。諜報組織のくせに情報が不正確すぎるやろ。というか、下山してから殺したら??

ということで、おかしなところ、意味なくややこしいプロットは全部原作通りらしいのだが、映画としては、悪者役のジャック・キャシディがゲイ丸出しの諜報員(これも原作通り?)を演じているのが香ばしい。モニュメントバレーで置いてけぼりの刑になるのはギャグだろう。

なぜかジョージという男名で登場するエキゾチック美女ブレンダ・ヴィーナスは、ヘンリー・ミラーの愛人である。

アイガー・サンクションのあらすじ

凄腕暗殺者の大学教授ヘムロックは、諜報機関トップのドラゴンに脅されて情報漏洩事件の犯人暗殺を引き受ける。任務後に裏切られ、さらにもう一人の標的が恩人殺害に関わると知り、標的を追ってアイガー北壁に挑む。

アイガー・サンクションを観るには?

アイガー・サンクション キャスト

ジョナサン・ヘムロック(美術教授) – クリント・イーストウッド
ベン・ボウマン(登山家) – ジョージ・ケネディ
ジェマイマ・ブラウン(女エージェント) – ヴォネッタ・マッギー
マイルズ・メロー(ヘムロックの恩人を殺した男) – ジャック・キャシディ
ドラゴン(諜報機関のトップ) – セイヤー・デイヴィッド
カール・フレイタッグ(登山チームのリーダー) – ライナー・ショーン
ジョージ(登山スクールの教官) – ブレンダ・ヴィーナス
ポープ(諜報員) – グレゴリー・ウォルコット

アイガー・サンクション作品情報

監督 – クリント・イーストウッド
脚本 – ハル・ドレズナーウォーレン・B・マーフィロッド・ウィテカー
原作 – トレヴェニアン
製作 – ロバート・デイリー
製作総指揮 – デイヴィッド・ブラウン、リチャード・D・ザナック
音楽 – ジョン・ウィリアムズ
撮影 – フランク・スタンリー
編集 – フェリス・ウェブスター
配給 – アメリカ: ユニバーサル・ピクチャーズ、日本: CIC
公開 – アメリカ: 1975年5月21日、日本: 1975年11月1日
上映時間 – 128分

アイガー・サンクションの原作(トレヴェニアン)


すぐれた登山家にして大学教授、美術鑑定家、ジョナサン・ヘムロックは、パートタイムの殺し屋でもある。CIIのサンクション(報復暗殺)要員として莫大な報酬を得ている――サンクションの舞台はアイガー北壁、チームを組んだ登山隊のメンバーのなかに、対決しなければならない未知の目標がいる……。ソフィスティケートされた異色のスパイ・スリラーとして絶賛を浴びた大ベストセラー。

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