『アシク・ケリブ』ってどんな映画?
貧しい吟遊詩人の青年が、富豪の娘との愛を実らせるため、千日間の過酷な旅に出る姿を描く。文豪レールモントフが採録したアゼルバイジャンの民話をベースに、脚本のギーヤ・バドリーゼが構成。鬼才セルゲイ・パラジャーノフ監督と共同監督のダヴィッド・アバシーゼが、独自の映像美で詩的に織り上げたファンタジー映画の傑作。
吟遊詩人(アシク)のケリブ(ユーリー・ムゴヤン)は、富豪の娘と愛し合うが、彼女の父親から貧しさを理由に結婚を反対される。ケリブは「千日間の旅に出て富を築いて戻る、もし一日でも遅れたら他の男と結婚していい」と約束し、異郷へと旅立つ。道中で様々な妨害や困難に直面しながらも、ケリブは自身の音楽を武器に、愛する人のもとへ帰るため旅を続ける。
見どころは、パラジャーノフの遺作にふさわしい、東洋的なエキゾチシズムと絵画的な映像世界。美術スタッフが手がけた鮮やかな衣装や絨毯、神秘的な小道具が静止画のような美しい構図の中に配置されている。音楽と象徴的なイメージの連鎖によって、ケリブの葛藤と情熱が台詞を超えた純粋な芸術として表現されていく。
約束の期日が迫るなか、ケリブが選ぶ最後の手段と、奇跡の逆転劇。民族音楽の調べに乗せて、一途な愛の旅路を絢爛豪華なヴィジュアルで描ききった、映画史に美しく輝く絵巻物のような名作。
あらすじ
ロシアの詩人ミハイル・レールモントフのおとぎ話をもとに、パラジャーノフ監督が描いた恋物語。貧しいながらも心やさしい吟遊詩人のアシク・ケリブ。彼は、富豪の娘マグリに結婚を申し込むが、彼女の父親に一蹴されてしまう。彼は1000の夜と1000の昼の後に帰ると彼女に約束し、様々な困難が待ち受ける旅へと出掛けるのだが……。
キャスト
脳髄にエーテルを流し込まれる
真に忘れがたい「ざくろの色」を15年ぐらい前に六本木の映画館で見て以来、パラジャーノフの名は遠まきに眺めるだけにしてきた。遠くから見るだけですぐわかる鮮やかさであり、近づくとアブナイ気がしたのである。
今回見たのはまったくたまたまなのだが、やっぱり脳髄にエーテルか何かを流し込まれるような心持ちがした。
どのシーンもたいてい出演者がキャメラのほうを向いていて、その芝居とキャメラとの距離が、なんとも異様である。
柘榴がまた使われていたが、パラジャーノフといえば、やはり柘榴なのだろうか。
この映画では舞台がほぼ屋外になっている。グルジアだろうか、自然も建造物も、ニポン人のぼくにはなんとも言えない不思議な遠い世界である。
この映画が遺作なのだそうだ。友人であったタルコフスキーに捧げられている。
『アシク・ケリブ』を観るには?
『アシク・ケリブ』作品情報
原作 – ミハイル・レールモントフ
原案 – セルゲイ・パラジャーノフ、ダヴィッド・アバシーゼ
脚本 – ギーヤ・バドリーゼ
撮影 – アルベルト・ヤヴリャン
美術 – ゲオルギー・メスヒシヴィリ、ショタ・ゴゴラシヴィリ、ニコライ・サンドゥケリ
音楽 – ヤヴァンシール・クリエフ
上映時間 – 74分



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