黒い罠

ジャネット・リー(黒い罠)
ジャネット・リー(黒い罠)
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『黒い罠』(原題: Touch of Evil)は、1958年製作のアメリカ映画。オーソン・ウェルズ監督によるフィルム・ノワール。アメリカとメキシコの国境地帯を舞台に、メキシコ人麻薬捜査官が悪徳警官の不正捜査を追及する。公開当時は興行的にも批評的にも失敗したが、現在ではカルト映画としての地位を確立している。特に映画冒頭の長回しはよく知られている。

『黒い罠』ってどんな映画?

アメリカとメキシコの国境の町で巻き起こる爆破事件。歪んだ「正義」を執行するために証拠を捏造する伝説の警部と、法と真実のために孤高の闘いを挑む麻薬取締官の緊迫した心理戦を描く。映画史に燦然と輝く天才オーソン・ウェルズが監督・出演を兼任し、名カメラマンラッセル・メティによる伝説の長回し冒頭ショットを彩る。フィルム・ノワールの歴史的最高峰にして、権力の腐敗と人間の業を冷徹にあぶり出した珠玉の犯罪サスペンス映画だ。

見どころは、正義の名のもとに犯罪者を絶対悪として葬り去ろうとするクインランの狂気と、彼の罠によって追いつめられていくヴァルガス夫妻(チャールトン・ヘストンジャネット・リー)の逃げ場のないサスペンスだ。
ヴァルガスの告発を阻むため、クインランは地元の麻薬組織のボスであるグランディ(エイキム・タミロフ)や、その手下のパンチョ(バレンティン・デ・ヴァルガス)らと密かに結託。モーテルの奇妙な夜間勤務者(デニス・ウィーバー)の目を盗み、孤立したスーザンを拉致してドラッグ漬けにし、ヴァルガスのスキャンダルを捏造しようと冷酷な謀略を張り巡らせる。
地方検事やストリップクラブのオーナー、バーにいるストリッパー、バーテンダー、検死官(ジョゼフ・コットン)らが蠢く街の闇の中で、ヴァルガスはクインランを盲信する長年の相棒ピートや助手に真実を突きつけ、録音機を隠し持って国境の夜の闇へと潜入する。
法を無視してでも悪を滅ぼす偽りの正義に屈し、闇に呑み込まれるか。それとも、すべてを失うリスクを背負い、巨悪となった「伝説の警部」の罪を暴いて真実の法の光を取り戻すか。かつてクインランを愛した占い師の娼婦ターニャ(マレーネ・ディートリヒ)の冷ややかな視線が見守るなか、国境の川沿いでヴァルガスとピートが仕掛ける、命懸けの最終選択。光と影の強烈なコントラストと、人間の精神の腐敗をこれ以上ない緊張感で描き切った、全映画人がひれ伏す不朽のノワール・サスペンススリラーだ。

あらすじ

メキシコ政府の特別麻薬取締官ラモン・ミゲル・ヴァルガス(チャールトン・ヘストン)は、アメリカ人の新妻スーザン(ジャネット・リー)との新婚旅行中、国境の町で凄惨な自動車爆破事件に遭遇する。管轄違いながらも捜査に立ち会うヴァルガスだったが、そこでアメリカ側の捜査を仕切る巨漢のクインラン警部(オーソン・ウェルズ)と対立。クインランは自身の「直感」を盲信し、容疑者の青年サンチェス(ヴィクター・ミラン)の部屋からダイナマイトを“発見”するが、ヴァルガスはそのあまりにも手際の良すぎる捜査に激しい焦燥と疑惑を抱き、クインランが過去何年にもわたり証拠を捏造して嘘の有罪判決を勝ち取ってきたという恐るべき真実に辿り着く。

キャスト

ラモン・ミゲル・ヴァルガス - チャールトン・ヘストン
スーザン・ヴァルガス - ジャネット・リー
クインラン警部 - オーソン・ウェルズ
グランディ - エイキム・タミロフ
サンチェス - ヴィクター・ミラン
モーテルの夜間勤務者 - デニス・ウィーバー
パンチョ - バレンティン・デ・ヴァルガス
アル・シュワルツ - モート・ミルス
ターニャ - マレーネ・ディートリヒ
ピート - ジョゼフ・キャレイア
マーシャー - ジョアンナ・ムーア
アーデル地方検事 - レイ・コリンズ
ストリップクラブのオーナー - ザ・ザ・ガボール
検死官 - ジョゼフ・コットン
ハワード・フランク - ウィリアム・タネン
バーにいるストリッパー - エヴァ・ガボール
バーテンダー - キーナン・ウィン

感想

ラッセル・メティのキャメラが冴えわたる、完璧なるフィルム・ノワールの傑作。

冒頭の長回し(派手なのでこちらが注目されがちだが、中ほどにはもっと長くて複雑な室内の長回しもある)、骨折中のジャネット・リー、腹に詰め物までして巨漢を強調したウェルズ、クレジットに載せないよう望んだディートリッヒなど、様々な意味で伝説的な映画なのだが(「サイコ」を生んだとまで言われるのだ!)、ここではヘンリー・マンシーニの映画デビュー作であるということを記しておこう。このラテンジャズのノリは、非常に新しいものだったと思うからだ。

『黒い罠』を観るには?

『黒い罠』作品情報

監督 – オーソン・ウェルズ
脚本 – オーソン・ウェルズ
原作 – Whit Masterson『Badge of Evil』
製作 – アルバート・ザグスミス、リック・シュミドリン(修復版)
音楽 – ヘンリー・マンシーニ
撮影 – ラッセル・メティ
編集 – アーロン・ステル、ヴァージル・ヴォーゲル、ウォルター・マーチ(修復版)
配給 – ユニヴァーサル映画
公開 – アメリカ:1958年4月23日、日本:1958年7月29日、アメリカ:1998年9月11日(修復版)
上映時間 – 96分(劇場公開版)、109分(試写会版)、111分(修復版)

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