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オール・ユー・ニード・イズ・キル

エミリー・ブラント(オール・ユー・ニード・イズ・キル) 映画
エミリー・ブラント(オール・ユー・ニード・イズ・キル)

原作ラノベは未読だが、近いと言われる#nrt小畑健 のコミック版は読んだ。いかにもラノベ的な鬱展開で、慎重なABテストの結果に単純化されたハリウッド版では採用されず、映画ではここまでかと思うほどストーリーラインがユニバーサル化されている。

ギタイ、アルファ、オメガといった異星生物が見た目からして戦争機械であるのと同様に、それと戦い続けるトム・クルーズもまたループする時間の中でビデオゲーム的なディシプリンのもとに無限に選択肢を増やし続ける戦争機械である。だが、原作から唯一受け継いだその設定が、映画的なサスペンスを生んでおり、これを買い付けた映画人の着眼には感心するものがある。
小畑健版では主人公は何回目のループなのかという記録をつけているが、トム・クルーズはそんなことはしないので、観客は今画面で起こっていることをトムが経験済みかどうかを把握できないことになっている。この瞬間、観客はヒロインの#エミリーブラント と同じ立場になり、言わば女性化することになる。たとえばヒチコック「断崖」のジョーン・フォンテインを見つめるのと同じことが起こっているのだ。

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