真山仁による小説。第一作は2015年に出版。テレビ朝日にて香川照之主演でテレビドラマ化され、2020年12月27日に放送。その前週(12月21日)に、第二作『十二歳の革命』が発売された。
当確師の感想
年末の2時間ドラマ。真山仁原作で「ハゲタカ」のようにシリーズ化できそうな内容だが、ドラマは香川照之チームの面子が弱いのが難点。黒川智花をもっとフィーチャーすれば良かったのではないか。
奥貫薫はいつもながら腹に一物ある奥様役が似合いすぎ、登場時からボスキャラ然としていてネタバレになっている。
当確師 見どころ
選挙コンサルタントという異色の主人公を軸に、政治の裏側や人間の業を描いた社会派エンターテインメント。
- 異色のヒーロー“当確師”の存在感
主人公・聖達磨(ひ唐沢寿明)は、どんな落選確実の候補者でも“当選”させてしまうと言われる、伝説の選挙コンサルタント。目的のためには手段を選ばない冷徹な策略家でありながら、どこか「正義」や「信念」の香りも漂わせる、非常に複雑な人物像。
唐沢寿明の演技は、軽妙さと冷徹さを巧みに織り交ぜており、“胡散臭いのに魅力的”というキャラクターをリアルに体現している。強烈なカリスマ性を持ちながら、内心に複雑な過去や信条を抱えた男という役どころが惹きつける。 - 選挙の裏側をエンタメとして描く切り口
ドラマの舞台は、市議会選挙。女性候補・黒松幸子(瀧本美織)が、地盤も後援会もない状態で、現職の市議会議長に挑むという無謀な選挙戦を描く。
この中で、聖が仕掛ける戦略は、SNS活用、スキャンダルの操作、対立候補の心理分析など、現代の選挙戦略をリアルに反映した内容が満載。視聴者は政治の舞台裏に足を踏み入れたような感覚を味わえる。 - 人間ドラマとしての“弱さと欲望”
単なる政治スリラーではなく、候補者たちや関係者の「人間としての弱さ」が丁寧に描かれている。
理想と現実の間で揺れる新人候補、利権と信念の狭間で揺れる現職議員、過去の傷を背負う当確師自身。
勝つか負けるかの勝負の世界においても、決して「勝てばすべて良し」とはならない。人の想いや過去が交錯する“人間のドラマ”としての側面が余韻を残す。 - 演出・構成の評価
前川洋一脚本+真山仁原作ということで、社会派ドラマ好きには鉄板の組み合わせ。構成もテンポよく、1本のテレビ映画としても高クオリティに仕上がっており、見応え十分。
選挙戦の“勝負”としての面白さ、候補者の“信念”に焦点を当てる脚本の丁寧さ、唐沢の“達磨”という名前に象徴されるキャラ造形の絶妙さが融合し、シリーズ化も期待された。
当確師あらすじ
聖達磨は、選挙コンサルタントとして99%の当選確率を誇る“当確師”。旧知の衆議院議員・大國克人から、静岡県の政令指定都市・高天市長選で現職の鏑木次郎の3選阻止を依頼される。7年前、聖は鏑木の選挙アドバイザーを務めたが、彼の姑息な手法に失望し、途中で降りた過去があった。大國の依頼に不審を抱きつつも、聖は対立候補として保育園経営者の黒松幸子を選ぶ。しかし、幸子は鏑木の妻・瑞穂の親友であり、市長選への擁立は困難と思われた。
当確師を観るには?
当確師 キャスト
主要人物
聖達磨 – 香川照之
聖達磨 – 香川照之
高天市市長選の関係者
黒松幸子 – 檀れい
鏑木次郎 – 高橋克実
鏑木瑞穂 – 奥貫薫
和田 – 矢島健一
大國克人 – 木場勝己
土山 – 村上航
篠原昌春 – 川島潤哉
桜井源治郎 – 信太昌之
岩木 – 少路勇介
聖事務所のスタッフ
関口健司 – 岡山天音
高月千香 – 黒川智花
碓氷俊哉 – 野間口徹
成平市市長選の関係者
友田泰 – 越村公一
林幸宏 – 井上肇
安田一輝 – 小松利昌
当確師 スタッフ
原作 – 真山仁 『当確師』 (中央公論新社刊)
脚本 – 羽原大介
演出 – 常廣丈太(テレビ朝日)
選曲 – 稲川壮
取材協力 – 渡瀬裕哉
技術協力 – アップサイド、サウンドライズ、フジ・メディア・テクノロジー
美術協力 – テレビ朝日クリエイト
ゼネラルプロデューサー – 三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー – 中川慎子(テレビ朝日)、中沢晋(オフィスクレッシェンド)
脚本 – 羽原大介
演出 – 常廣丈太(テレビ朝日)
選曲 – 稲川壮
取材協力 – 渡瀬裕哉
技術協力 – アップサイド、サウンドライズ、フジ・メディア・テクノロジー
美術協力 – テレビ朝日クリエイト
ゼネラルプロデューサー – 三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー – 中川慎子(テレビ朝日)、中沢晋(オフィスクレッシェンド)
『当確師』は、「選挙=政治劇」という硬いイメージを払拭しながら、人間ドラマと知的サスペンスの融合に成功した作品です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。
当確師の原作(真山仁)
当確師・聖達磨の元に、総理大臣をその座から引きずり下ろすため、選挙区で落として欲しいというとんでもない依頼が。総理には選挙区内の湖に、日米共同で研究所を作ろうとしているという噂があった。「里山を守って欲しい」と少年に詰め寄られた総理は失言から窮地に陥る。この少年ならば選挙に勝てるが、もちろん少年に被選挙権はない――。人気シリーズ第2弾!!