ゾンビが来たから人生見つめ直した件の感想
ファーストインプレッション
こちらも劇団関係の櫻井智也という人の脚本。
石橋菜津美という女優はほとんど知らないけど、結構いい感じ。土村芳もいい味を出している。
何年か前までは、TX深夜に発掘してホクホクしていたようなドラマをNHKが作っているわけだが、「カメラを止めるな!」を意識しているのか。先が楽しみ。
最終回まで観て
正直、今季いちばん楽しみにしていたのは本作。尾崎乏しいを演じているのが作者の櫻井氏かと思ってみていたが、そういうわけではないのね。最終回は少し弱く、もう少し感動的にしても良かった。
そして私は土村芳と相楽樹の区別がついていないことがわかった(どちらも朝ドラの助演女優だが、活躍著しい土村に比べ、相楽は少し伸び悩んでいる)。
ゾンビが来たから人生見つめ直した件の見どころ
ゾンビドラマというジャンルを借りながら、「生きることの意味」を問う異色作。
通常のゾンビドラマはサバイバルや恐怖が中心だが、主人公・亜蘭(石橋菜津美)は、どこか人生に倦んでいるアラサー女性。ゾンビが街を襲う異常事態にも、「まぁいいか」と淡々と受け止める。
つまりゾンビは単に「死の象徴」であり、その中で 平凡な日々を生きる人間たちの葛藤に焦点を当てている。ゾンビものなのに、怖さよりもリアルな“生”を描いているところがユニークである。
アラサー女性3人のリアルな生き様が面白い。
亜蘭(石橋菜津美)は冴えない日々に無気力であり、柚木(瀧内公美):理想に執着しすぎて現実が見えていない。美佐(根本真陽)は流されやすく承認欲求が強い。
この3人は、ゾンビ襲来という非日常の中で、それぞれの価値観や人生観をさらけ出し、ぶつかり合いながら変化していく。
ゾンビが来てもなお「人生どうする?」と悩む姿は、現代の私たちそのものと言える。
コメディかと思えば、急にシリアスで哲学的になったり、ゾンビから逃げる緊迫感と、どこか脱力したユーモアが同居していたり、NHKらしい落ち着いた映像美が、ゾンビの生々しさを際立たせている。“ゾンビもの”の固定観念を裏切る構成と言える。
劇伴の使い方も、不穏さとポップさを行き来していて、絶妙である。
タイトル通り、「ゾンビ=死」に直面することで、登場人物たちは初めて「私は何のために生きているのか」と自問するはめになる。無気力な亜蘭が「生きたい」と考え始め、愛に執着する柚木は「誰のための人生か」と考え、美佐は「他人の評価ではなく自分」を見つめ直す。これらの変化が、ゾンビの恐怖以上に胸を打つのです。
ゾンビが来たから人生見つめ直した件 あらすじ
小池みずほ、君島柚木、近藤美佐江は、とある地方都市で一つ屋根の下で暮らすアラサー女子。ある朝、テレビでは近所の山中の施設が炎上したというニュースが流れるが、3人は意に介さない。しかしその後、街ではゾンビのようなものが発生し、彼らに噛まれた住人がゾンビ化するという事態が生じていた。その様子に気づかないみずほは別居中の夫・小池智明と離婚に向けた話し合いをするためにファミレスに向かうが、その途中に寄ったコンビニでゾンビの襲撃に遭う。さらに、そのコンビニに智明と美佐江が一緒に逃げ込んできたことから、みずほは智明の不倫相手が美佐江だと気づく。
街がゾンビに襲撃される様子がテレビに放映されず、外部から封鎖され無政府状態となった街で、みずほ達は「ゾンビに〇〇をやってみた」というタイトルの動画を見つけ、この街を訪れて起死回生を狙うYouTuber・尾崎乏しいの姿を見て、みずほは自らが生きる意味に気づくことになる。
ゾンビが来たから人生見つめ直した件を観るには?
ゾンビが来たから人生見つめ直した件 キャスト
君島柚木(スナックの店員) – 土村芳
近藤美佐江(地元建設会社の事務員) – 瀧内公美
小池智明(みずほの夫) – 大東駿介
神田くん(コンビニ店員) – 渡辺大知
広野正一(柚木の彼氏) – 山口祥行
松田夢(広野の娘) – 根本真陽
増田薫(みずほの妹) – 片山友希
尾崎乏しい(ユーチューバー) – 川島潤哉
謎のピザ屋(なぞのぴざや) – 阿部亮平
スナックのママ – 葛城ユキ
増田陽子(みずほの母) – 原日出子
増田光男(みずほの父) – 岩松了