1977年のドラマ1970年代のドラマドラマ

冬の運動会

4.5
いしだあゆみ(冬の運動会) 1977年のドラマ
いしだあゆみ(冬の運動会)
『冬の運動会』は、1977年1月27日〜3月31日にTBS「木下恵介・人間の歌シリーズ」で放送。全10回。脚本は向田邦子。2005年1月4日に日本テレビの3時間ドラマでリメイクされた。

冬の運動会の感想

1話だけ観て感想を書こうと思っていたら、ほぼ一気に最後まで観てしまった。名作である。向田邦子はやっぱりすごい。

1977年のドラマだが、主人公・根津甚八演じる菊男のキャラ設定は謎である。7年前の高校時代に万引きで補導されたトラウマがあり、親に出来損ない扱いされて世を拗ねている27歳のパラサイトなのだが、あまりにナイーブに過ぎ、度外れた世間知らずと言える。ちなみに実際の根津は30歳だった。

大戦で連隊長だった祖父(志村喬)は上場企業の会長で、一家は裕福であり、大企業の総務部長を務める木村功の父親ともども、菊男を早く就職させようと躍起なのだが、根津はなぜか渋谷ガード下近くの靴の修理屋に入りびたり、店主の大滝秀治赤木春恵を親父おふくろと呼んで庶民の暮らしを満喫している。息子のいない二人は喜んでいるのだが、そんなことある?

次に、志村喬(72歳)もまた愛人(藤田弓子、32歳)の長屋に入りびたっており、「北の国から」を口ずさみながら銭湯に通ったりしていることがわかる。そして、死んだ友人の妻子(市原悦子)のアパートに通う木村功も、ひそかにヨコシマな思いを隠している。つまりこの家の男たちは3人とも家庭の外に居場所をもっている。

そうなると、男たちの秘密がひとつずつ暴かれるのと並行して、一人で家を守る木村の妻・加藤治子(志村が死に木村が定年になったら骨董屋を開くのが夢)の怒りがいつ爆発するかというサスペンスを期待してしまうのだが、案に相違して、加藤は物分かりのいい母親の立場を最後まで崩さない余裕ぶりなのがすごい。

物語は、ハイヒールの修理で靴屋を訪ねたいしだあゆみと根津との出会いをきっかけに進行する。置き忘れたダンヒルのライターをいしだが取りに戻るも、なぜか店のガラス戸の前に佇み、新聞受けの穴から手を出して催促し、根津が無言でライターと飴玉を握らせる。その飴玉をいしだが口に入れる、というシーンは昭和ドラマ史に残るものであろう。

いしだあゆみ(冬の運動会)

いしだあゆみ(冬の運動会)

終盤、男たちは次々と居場所を失って傷つき、根津は無事に就職して、5人の家族(書き忘れたが大学生の妹がいる)が思い思いに時を過ごす団欒が戻ってくる。

役者はどれも素晴らしいのだが、中でも大滝秀治が良かった。

冬の運動会のあらすじ

北沢菊男は、元連隊長の祖父と厳格な父が支配する冷たい家庭で、高校時代の万引き事件を理由に家族から疎んじられ、劣等感を抱えて生きていた。
就職の内定を辞退した菊男は、町で修理専門の靴屋を営む老夫婦のもとへ出入りし、そこで本当の息子のように可愛がられ、心の安らぎを得る。さらに、靴屋に修理を依頼に来た日出子と出会い、二人で愛を育む。
家族はそんな菊男の行動を知り非難するが、その過程で祖父が隠していた愛人の存在など、男たちがみな「安らぎの場」を外に求めていたことに気付く。家族の抑圧から解放された菊男は、日出子と共に自分たちの人生を歩み始める。

冬の運動会を観るには?

冬の運動会 キャスト

北沢遼介 – 木村功
北沢あや子 – 加藤治子
北沢菊男 – 根津甚八
船久保公一 – 神有介
北沢直子 – 秋本圭子
船久保初江 – 市原悦子
津田光子 – 赤木春恵
江口加代 – 藤田弓子
徳丸優司 – 宮川明
宇野いち子 – 徳永葉子
江口修司 – 大和田進
佐久間エミ子 – 長窪真佐子
竹井保造 – 田崎潤
北沢健吉 – 志村喬
津田宅次 – 大滝秀治
竹森日出子 – いしだあゆみ

冬の運動会 スタッフ

脚本:向田邦子
音楽:木下忠司
プロデューサー:飯島敏宏
技術:島﨑孝雄
カメラ:河内和美
照明:倉本輝彦
音声:中島実
カラー調整:林泰雄
VTR:原田安朗
音響効果:下城義行
美術:石田道昭
美術制作:丸山俊史
化粧:ユミ・ビュアクス
大道具:大和創美株式会社
小道具:関西美工
衣裳:東京衣裳
持道具:京阪商会
制作担当:大橋克
演出補:森田光則
制作協力:東通
演出:服部晴治(第1話 – 第4話・第6話・第9話・最終話)、阿部祐三(第5話・第7話・第8話)
制作:TBS、木下恵介プロダクション

小説版

高校時代の万引きでエリート家庭から落ちこぼれ、靴修理店に入りびたっている菊男は、ふとしたことから謹厳な祖父や父の裏面を知る。
家族の本質を追求した感動の長篇。
解説 藤田弓子

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