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動物界

3.5
ビリー・ブラン(動物界) 映画
ビリー・ブラン(動物界)
動物界(原題: Le regne animal)は、2023年に製作されたフランス・ベルギー合作のSFスリラー映画。人間がさまざまな動物に変異してしまう奇病が発生した近未来を舞台に家族の絆を描き、本国フランスで観客動員100万人を超えるスマッシュヒットを記録した。

動物界のネタバレ感想

スリラーとあるが、フランス映画らしいアート寄りの寓話的映画である。

車の渋滞につかまったフランソワとエミールの父子(この映画には運転席と助手席に座る二人のシーンが都度都度出てくる)。エミールは犬にポテチを食べさせており、添加物を気にするフランソワは苦い顔。そこに鳥人と化した「新生物」がヴァンの後部ドアを破って逃げ出す事件に遭遇する。人々は逃げ惑うが、パニックにはならない様子。

じつはこの社会では人間が新生物に変異する奇病が流行っており、ふたりが向かっている医療センターにいるエミールの母親ラナもまた何かに変貌しつつあるのだった。といってもゾンビのように即座に変異するわけでもなければ(1週間ほどかかる模様)、人々が次々と罹患するパンデミックでもない(原因不明なのである)。奇病発生からすでに2年が経過しており、フランスでは隔離政策がとられている(スウェーデンでは共存政策がとられているという)ということから、移民のメタファーであることが分かってくる。

変異が完成した新生物は言葉も喋れなくなり、凶暴化する個体もある。また変異は既存の動物に擬せられており、映画ではアリクイ少女、タコ人間、鳥人、トド人間、カメレオン人間、クマ人間などが登場する(完全にその動物になるのではなく、あくまでもハイブリッドである)。ほとんどショッカーの怪人だ。その他、カマキリなど昆虫系もありらしく、種や類を超えてメチャクチャであり、筋の通った説明はもはやありえず、神の意思によるものとしか言いようがない。というわけで、この辺は障碍者のメタファーになっているようだ。

フランソワたちは南仏の研究所に移送されるラナたちを追うが、その道すがら新生物たちが脱走したことを知る。料理人のフランソワは村で仕事を見つけ、エミールも転校し、時間を見つけては森に行き、脱走した妻を探すふたりの新生活が始まる。その後は、女性憲兵と知り合ったり、ADHDの同級生ニナと良い仲になったり、鳥人の変異を助けたり、エミールの変異が始まったり、まあいろいろあるのだが、村の人々やエミールの同級生たちは概して閉鎖的に描かれている。そうでない人もいるので(息子がオットセイになった人など)、そこに分断が生まれる。

クライマックスの舞台となるのは、町の聖ヨハネ祭である。これは新約聖書における預言者ヨハネの誕生日(6月24日)を祝うもので、ニナによれば、かつては焚き火で猫を焼いていたという。異端の排斥を風習化した祭りであり、動物が人間のための贄として扱われる。人と動物の分断である。オオカミ人間への変異を知られてしまったエミールは森に追い立てられ、銃で撃たれる。幻想的だが、人間対動物の戦争シーンも描かれる。

終盤、フランソワはもはや文字も書けなくなったエミールを森に送る。ここがまたドライブシーンで、フランソワは嫌っていたポテチをワシワシ食べてみせる。いいシーンだ。

動物界のあらすじ

人間が徐々に動物に突然変異する原因不明の奇病が蔓延している近未来。さまざまな種類の“新生物”には凶暴性があるため施設で隔離され、フランソワの妻ラナもそのひとりだった。ある日、新生物たちの移送中に事故が起こり、新生物たちが野に放たれてしまう。フランソワと16歳の息子エミールは行方不明となったラナを捜すが、次第にエミールの身体にも変化が起こり始める。

動物界を観るには?

動物界 作品情報

基本データ

原題 – Le regne animal
製作年 – 2023年
製作国 – フランス・ベルギー合作
配給 – キノフィルムズ
公開日 – 2024年11月8日
上映時間 – 128分
映倫区分 – PG12

キャスト

スタッフ

監督 – トマ・カイエ
製作 – ピエール・ガイヤール
脚本 – トマ・カイエ、ポリーヌ・ミュニエ
撮影 – ダビ・カイエ
美術 – ジュリア・ルメール
衣装 – アリアン・ダウラット
編集 – リリヤン・コルベイユ
音楽 – アンドレア・ラズロ・デ・シモーネ
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