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登場人物3人の密室劇(デッド・カーム/戦慄の航海の感想)
ジョージ・ミラー製作のオーストラリア映画で、ニコール・キッドマン19歳の出世作である(本作を見たトム・クルーズがハリウッドに招いた)。
登場人物がほぼ3人だけで、しかも1人と2人に分かれてしまう海の上の密室劇なのだが、チャールズ・ウィリアムズという作家の原作があり、なんとオーソン・ウェルズも映画化を試みていたとか。
事故で息子を亡くした夫婦が悲しみを忘れるためにヨットの旅に出るが、沈みかけている謎の船からボートでやってきたアブない男にヨットを乗っ取られ、夫(海軍所属)は謎の船に閉じ込められてしまうという話。息子を亡くしたくだりはそっくり蛇足である。
キッドマンはカーリーヘアで、大半のシーンが半裸ということもあってシガニー・ウィーバーにそっくり。やたらと彼女の顔のクローズアップが多い映画である。
男(「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のビフの取り巻きだったビリー・ゼインである)の正体は詳らかにされないのだが、無料でクルージングができるというチラシに釣られて参加したらAV撮影の下働きで、こき使われて逆上して一行を皆殺しにしたというところか。
それだけでは船が沈みかけている理由も、その後の展開も説明できないのだが、とにかくキッドマンは男に犯され(ボディダブルなしだそうだ)、それから反撃ターンになり、夫を救うために大活躍する。
最後の方はビリー・ゼインが何度も復活するスリラー展開になり、それなりに飽きさせない映画だった。
デッド・カーム/戦慄の航海 見どころ
大海原を舞台に、夫婦と漂流してきた謎の男の3人だけという閉鎖空間で繰り広げられる、息詰まる心理戦とサバイバルを描いた映画。
- 究極の閉鎖空間スリラー
舞台は広大な太平洋の真ん中にあるヨットの上という、究極の閉鎖空間。助けを呼ぶことも逃げ出すこともできない状況で、夫婦のヨットに乗り込んできた謎の男によって、平穏なクルージングが一転、死の航海へと変わる。 - ニコール・キッドマンの若き日の熱演
ニコール・キッドマンが、息子を失った傷心を抱えながら、ヨットを乗っ取られ、夫を人質にとられた状態で、狂気の男と戦う妻レイを演じる。知恵と勇気を振り絞り、肉体的にも精神的にも追い詰められながらも、生き残ろうと必死に抗う姿は圧巻。この作品での演技がトム・クルーズの目に留まり、ハリウッド進出するきっかけになったと言われる。 - ビリー・ゼインの怪演
夫婦を恐怖に陥れる謎の男ヒューイを演じるのはビリー・ゼイン。常軌を逸した行動、不気味な笑顔、予測不能な言動が生理的な嫌悪感と恐怖を与える。大海原という美しい舞台を一瞬にして地獄に変えてしまう強烈なトリガーと言える。 - サム・ニールのベテランの安定感
夫ジョンを演じるサム・ニールは、朽ちかけた帆船に残され、妻を助けるために必死に奮闘する。限られたシーンでの登場ながらも、彼の持つ存在感と、愛する妻を救おうとする強い意志が希望の光となっている。 - 容赦ない展開と心理戦
映画は、息子を失った夫婦の悲しい過去から始まり、登場人物たちが極限状態に追い込まれていく。ヒューイの狂気と、レイの必死の抵抗が、息詰まる心理戦として展開され、最後まで画面に釘付けにする。
トリビア・撮影裏話など
- 本作は、ニコール・キッドマンがハリウッドに進出するきっかけとなった作品として有名。この映画での彼女の演技をトム・クルーズが絶賛し、後に共演作『デイズ・オブ・サンダー』を経て結婚に至ったと言われる
- 本作の成功により、監督のフィリップ・ノイスもハリウッドでのキャリアを確立し、『パトリオット・ゲーム』や『今そこにある危機』などの大作を手がけることになった
- 大海原のリアリティを追求するため、実際に太平洋のど真ん中で撮影され、ヨット上での閉鎖感や、孤独感がより生々しく表現された。ただし過酷な環境での撮影となった
- 原題の「Dead Calm」は「凪(なぎ)」、つまり風がなく海が静まり返っている状態。一見穏やかに見える海の状況が、逃げ場のない恐怖を象徴している皮肉なタイトル
- 夫婦の愛犬であるベンは可愛い存在ですが、時には思わぬ形で夫婦を窮地に陥れるなど、印象的な役割を果たした
デッド・カーム/戦慄の航海 あらすじ
ヨットでクルージングに出た夫婦の元へ、小型ボートに乗った若い男が漂着してくる。船が沈没し、自分が唯一の生存者だと語る男。だが、ヨットが無人と化した一隻の船と遭遇した時、男の態度は豹変し、その毒牙は若妻に向けられた……。
デッド・カーム/戦慄の航海を観るには?
デッド・カーム/戦慄の航海 キャスト
レイ・イングラム:ニコール・キッドマン
ジョン・イングラム:サム・ニール
ヒューイ・ワーリナー:ビリー・ゼイン
ラッセル・ベローズ:ロッド・マリナー
デッド・カーム/戦慄の航海 スタッフ
監督:フィリップ・ノイス
脚本:テリー・ヘイズ
原作:チャールズ・ウィリアムズ
製作:ジョージ・ミラー、ダグ・ミッチェル、テリー・ヘイズ
『デッド・カーム/戦慄の航海』は、ニコール・キッドマンの若き日の鬼気迫る演技と、究極の閉鎖空間で繰り広げられる心理戦が魅力の、息詰まる海洋サスペンスの傑作です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。