記憶以上に暗い画面設計に驚く(エイリアンの感想)
実はkindle unlimitedに「ウィリアム・ギブスン エイリアン3」というノベルがあって、3日ぐらいかけてそれを読んでみた。さらにペ・ドゥナの「静かなる海」をたまたま観た。
というところで、シリーズをひとつ最初から見直してみようと思い立った。
それで観直してみたが、リドリー・スコット版は、記憶していた以上に、何が映っているのかわからないのであった。
これはVOD配信だからというわけではなく、4KUHD版でもかなり暗いという評価である。
79年の映画(!)だから仕方ない面もあるだろうが、やはりお化け映画にする気満々だったのだと思う。
貨物船ノストロモ号は暗くて汚くて、乗員は全員ブルーカラーの口ばかりの荒くれ男たち。
その中で、長身のシガニー・ウィーバー (「エイリアン4」で、ゴリラ男ロン・パールマンも「デカい女は好きだぜ」と言っている)は、最初からうるさく規約にこだわるたちで、フェイスハガーに顔を覆われたジョン・ハートを検疫すべきだと主張する。
(その直後のハートの胸をチェストバスターが食い破るシーンは、役者たちに詳細が知らされておらず、貝や羊の臓物が噴き出すシーンに全員が驚愕したそうだ。ヴェロニカ・カートライトは腰を抜かし、素の叫び声を上げている)
まだ30歳で美しく、まさに新しいタイプのヒロインだった(元々はノストロモ号の乗務員は全員男という設定だった)。
エイリアン 見どころ
SFホラーの金字塔として知られる本作には、さまざまな伝説的な見どころがある。
- 見どころ1.新しいジャンルを誕生させたこと
本作は「SF」と「ホラー」を本格的に融合させた先駆的作品である。舞台は宇宙船というSF設定でありながら、その実、「幽霊屋敷」でもある。「モンスターに1人ずつ襲われていく」というのはスラッシャー映画の構造であった。 - 見どころ2. “悪夢の芸術家”H.R.ギーガーにエイリアンをデザインさせた理由
エイリアンのビジュアルはスイスの画家H.R.ギーガーが担当している。作品集『ネクロノミコン』を見たリドリー・スコットが強く感銘を受け、デザインを依頼した。フェイスハガー、チェストバスター、成体の“ゼノモーフ”など、すべてがギーガーの耽美的・性的なビジュアルが元になっている。 - 見どころ4. 女性を主人公にすえたこと自体が革命
シガニー・ウィーバーが演じたエレン・リプリーは、当初は性別が決まっていなかった。オーディションをした後で、監督と製作陣は「女性が生き残る」という新鮮さに可能性を見出し、キャスティングを決定している。「女性ヒーロー像」は以降のSFアクションに多大な影響を与えることになる。 - 見どころ5. タイトルロゴのこだわり
冒頭で「A」「L」「I」「E」「N」の文字が少しずつ現れるタイトル演出は、観客の緊張感を高める意図がある。“空白”の恐怖を視覚的に伝える、リドリー・スコットらしいミニマリズムである。 - 見どころ6. セットは「本物のように」密閉されていた
ノストロモ号内部のセットは実際に壁で囲まれており、クルーは本当に狭い通路を行き来しなければならなかった。撮影スタッフも移動するのが困難なほどで、俳優たちは本当に閉所恐怖症のような不安感に苛まれることに。 - 見どころ7. アッシュの「ミルク」シーンの意図
アッシュ(イアン・ホルム)が人造人間であることが発覚するシーンでは、白い液体=ミルクやパスタ、マヨネーズなどを使って不気味さを演出された。人間と見分けがつかない存在が「不自然な白い体液」を迸らせることで、より不安感を煽った。 - 見どころ8. タイトル候補は『Star Beast(スター・ビースト)』
脚本家ダン・オバノンが当初用意していたタイトルは『Star Beast』だったという。しかし「Alien(異質な存在)」の方が簡潔で不気味だということになって変更された。結果、SF映画史に残るブランドとなったのである。
エイリアンのあらすじ
西暦2122年、宇宙貨物船ノストロモ号は謎の信号を受信し、小惑星に着陸。副長ケインが異星の宇宙船で「フェイスハガー」と呼ばれる生物に襲われ昏睡状態になる。通信士リプリーは信号が警告だと解読するが、科学主任アッシュの判断でケインは船内に運ばれる。
回復したケインの胸から突如「チェストバスター」が出現し、急速に成長したエイリアンが乗組員を次々と殺害。リプリーはアッシュが会社のアンドロイドで、「生きたエイリアンの捕獲」という秘密任務を持っていたことを発見する。
残された乗組員3人は本船自爆と脱出を計画するが、エイリアンがランバートとパーカーを殺害。リプリーは猫のジョーンズと共に辛うじて脱出艇で逃げるが、そこにもエイリアンが潜んでいた…。
エイリアンを観るには?
エイリアンのキャスト
エレン・リプリー – シガニー・ウィーバー
ジョーン・ランバート – ヴェロニカ・カートライト
サミュエル・ブレット – ハリー・ディーン・スタントン
ギルバート・ケイン – ジョン・ハート
アッシュ – イアン・ホルム
エイリアンのスタッフ
脚本 – ダン・オバノン
原案 – ダン・オバノン、ロナルド・シャセット
製作 – ゴードン・キャロル、デヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル
製作総指揮 – ロナルド・シャセット
音楽 – ジェリー・ゴールドスミス
撮影 – デレク・ヴァンリント
編集 – テリー・ローリングス、ピーター・ウェザリー、デヴィッド・クロウザー(ディレクターズ・カット版)
公開 – アメリカ 1979年5月25日、日本 1979年7月21日
上映時間 – 117分(劇場公開版)/116分(ディレクターズ・カット版)
『エイリアン』は、SFホラー映画史に残る不朽の名作です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。