クロサギの感想
2006年の山Pのドラマを、当時完結していなかった原作に沿って作り直した「リブート」版と称している(脚本も前作と同じ篠崎絵里子)。
あらためて見直してみると、前作の山Pの演技はかなりひどいのだが、コンゲーム物としては問題なくて、ドラマとして成立している。
クロサギを匿う黒幕詐欺師が山崎努から三浦友和へ、その助手が奥貫薫から中村ゆり様へ、主人公の仇敵が岸部シローから坂東彌十郎へとコンバートされていて、ま、このへんは大体同じ。
問題は黒島結菜が演じているヒロインが、2006年版では18歳の堀北真希だったということだ。黒島の演技は堀北をかなり参照しているように見えるのだが、堀北の不思議な眩しさが、2022年の美少女である黒島には決定的に欠けていることがわかる。
クロサギ 見どころ
詐欺師によって家族を失った青年が、自ら「詐欺師を騙す詐欺師=クロサギ」となって、悪徳詐欺師たち(シロサギやアカサギ)を次々と葬っていくダークヒーローサスペンス。2013年に完結した漫画シリーズ全体を原作とした「完全版」である(2006年版は漫画が連載中だったため、原作の途中でドラマ独自の結末を迎え、その後、映画版で物語が完結)。
総じて、山Pの2006年版のリメイクというよりは、「リブート」に近い位置づけで、物語の本筋は共通しつつも、時代背景や登場人物の性格、描かれる詐欺の種類などがアップデートされている。
配役的には、
- 主人公・黒崎高志郎:
2006年版:山下智久 → 2022年版:平野紫耀(King & Prince) - ヒロイン・吉川氷柱:
2006年版:堀北真希 → 2022年版:黒島結菜 - 詐欺師界のフィクサー・桂木敏夫:
2006年版:山崎努(レストランのオーナー) → 2022年版:三浦友和(甘味処の店主)
桂木の表の顔が異なっている点も、両作の雰囲気の違いに影響している - 刑事・神志名:
2006年版:哀川翔 → 2022年版:井之脇海
神志名の年齢設定が若返り、キャラクターの背景や黒崎との関係性も微妙に異なる
ただし、どちらも脚本は篠﨑絵里子。
- 平野紫耀の新たな魅力と演技
平野紫耀は冷徹で孤独な影を背負いながらも、内面に熱い正義感を秘めるクロサギ・黒崎を好演。詐欺師を騙すために様々な人物になりきる「変装」や、クールなアクションシーンも披露した。黒崎の葛藤や哀愁が伝わる。 - 現代社会を映すリアルな詐欺の手口
2006年版にはなかった、現代社会で横行する様々な詐欺の手口(架空投資詐欺、フィッシング詐欺、インフルエンサー詐欺など)が描かれている。 - 重厚な人間ドラマと葛藤
復讐のために生きる黒崎の孤独、詐欺師を許せないと考える氷柱の正義、そして黒崎を「生かしている」謎多きフィクサー桂木の思惑など、登場人物たちの複雑な関係性と心理が深く描かれる。勧善懲悪ではない、人間の業や社会の闇が浮き彫りに。 - 豪華なベテラン俳優陣の競演
フィクサー桂木を演じる三浦友和の重厚な存在感。また、警視庁捜査二課の刑事・神志名将を演じる井之脇海、氷柱の大学の教授・早瀬かの子を演じる中村ゆりなど、実力派俳優陣が脇を固めた。 - スピーディーな展開と爽快感
毎話異なる詐欺師をターゲットにし、黒崎が練り上げた計画で彼らを追い詰めていく過程は、スピーディーで痛快。見事な騙し返しが決まった時の爽快感はが魅力。
クロサギのあらすじ
15歳の時、詐欺被害に遭った父が起こした事件で家族を失った黒崎高志郎(平野紫耀)は、詐欺師への復讐を誓い、詐欺師のみを騙す「クロサギ」となる。表向きはアパートの大家を営み、父を騙した詐欺師・御木本(坂東彌十郎)を追い求め、詐欺師を喰い尽くすことを生きる目的としている。下町の甘味処「かつら」で詐欺師たちの情報を収集する黒崎は、店主であり詐欺師界のフィクサーである桂木敏夫(三浦友和)に飼われている。ある日、詐欺被害者・吉川辰樹(船越英一郎)の娘・氷柱(黒島結菜)と出会い、彼女が騙された手口から過去の記憶が蘇る。今回の詐欺師が御木本に繋がる手がかりになると直感した黒崎は、復讐に向けて動き始める。「あんたを騙したシロサギ、俺が喰ってやるよ」と宣言し、詐欺師たちとの戦いに挑む。
クロサギを観るには?
クロサギ キャスト
吉川氷柱(政和大学法学部3年生) – 黒島結菜
甘味処「桂」
桂木敏夫(詐欺師界のフィクサー) – 三浦友和
早瀬かの子(「桂」の店員) – 中村ゆり
東京中央署 知能犯係
神志名将(刑事) – 井之脇海
桃山哲次(警部補) – 宇野祥平
伊達はるか(巡査部長) – 冨手麻妙
詐欺師
白石陽一(詐欺師) – 山本耕史
榎木(白石の部下) – 木村文哉
御木本(大物詐欺師) – 坂東彌十郎
垣根(御木本の腹心の部下) – 金井勇太
宝条兼人(ひまわり銀行の執行役員) – 佐々木蔵之介
政和大学
三島ゆかり(氷柱の親友) – 永瀬莉子
鷹宮輝(法学部の助教) – 時任勇気
吉川家
吉川辰樹(氷柱の父) – 船越英���郎(特別出演)
吉川みどり(氷柱の母) – 相築あきこ
吉川敦(氷柱の弟) – 田中奏生
黒崎家
黒崎浩司(黒崎の亡き父) – 前川泰之
黒崎舞子(黒崎の亡き母) – 森下ひさえ
黒崎明日香(黒崎の亡き姉) – 鈴木たまよ
夕幻荘
天野正二郎(101号室の住人) – 津嘉山正種
楊(102号室の住人) – 真崎かれん
ブルーノ・ロドリゲス(103号室の住人) – フェルナンデス直行
その他
緒方(電気店店主) – 綾田俊樹
芳賀(「ハガーコーヒー」店主) – 伊藤麻実子
クロサギ スタッフ
脚本 – 篠﨑絵里子
音楽 – 木村秀彬
主題歌 – King & Prince「ツキヨミ」(Johnnys’ Universe)
アニメーションスタッフ
背景 – 美峰
動画検査 – 細谷尚平
色彩設定・色指定検査 – 水内歩
撮影・編集 – 中村慎太郎
制作統括 – 梶田浩司
アニメーションプロデューサー – 原川太一
詐欺犯罪監修 – 夏原武
法律監修 – 國松崇
金融監修 – 塚田正泰
警察監修 – 古谷謙一
画面制作 – 本田貴雄
和菓子監修 – 松戸淳一
茶道監修 – 石川恭子
和菓子協力 – 大極殿六角店 栖園
中国語監修 – 中藝 陶力
プロデューサー –武田梓、那須田淳
演出 –田中健太、石井康晴、平野俊一
製作著作 – TBS
クロサギの原作
「1千万円の出資で1億円の融資が受けられる」という言葉に乗せられ、財団法人理事長を名乗る新川に金を振り込んだ会社社長・丹羽里子。だが1億円の手形の決済日を前に、その財団事務所は丸ごと消滅!当然、手形は不渡りとなり、丹羽の会社はがけっぷちに立たされてしまう。ついには自殺まで考えた丹羽の前に、「職業、詐欺師!!」と言い放つ青年・黒崎が現れて…