シナントロープ 感想
ファーストインプレッション
「わにとかげぎす」(2017)を思わせる油断ならない脚本を書いているのは此元和津也という人で、「セトウツミ」の原作者であり、「オッドタクシー」も書いた人だから、安心して面白がっていても大丈夫そうだ。脚本も書ける漫画家(もしくはその逆)という韓国メディア的な才人なのだろう。
ドラマは都内杉並のバーガーショップで働く男女8人の青春群像劇ということになっていて、第1話では店に現れた目出し帽の強盗を8人が協力して取り押さえるアクションシーンから始まる。ここは79ものカットに分かれているとのことで、なかなか楽しめるものだった。
警察の取り調べ後に8人は解散するのだが、後半は、分散した主要4人のキャストの会話シークエンスが並行して描写されていた。こちらもなかなかセンスを感じさせるものだった。
このへん、コザの高校生たちを描いた堤幸彦の「ゲート・オン・ザ・ホライズン~GOTH~」がひどく退屈だったのと対照的に感じる。今年の春ドラマだった当作を私は1、2話しか見なかったのだが、「瞬間記憶をもつ主人公」という設定が共通しているのは、偶然にしても皮肉だ。
水上恒司と坂東龍汰は焼肉屋で謎の組織バーミンについて情報を交換。帰途でゾンビと遭遇する。一方、山田杏奈は影山由佳の部屋に泊めてもらうことになるが、それは殺人予告を受けていたからであった。
その合間に、マンションを見張る二人組、もう一人の目出し帽男などのエピソードが挟まっており、展開への期待が高まる。「他人を圧倒的な力でねじ伏せようとする奴は許せない」というセリフが、前半と後半で一度ずつ繰り返されたので、山田の殺害予告も、染谷翔太率いる暴力的な集団(?)「バーミン」と関係してくるのだろう。ベラルーシ人の主人公が高校生にボコられる話だという「笑い者の風船」というコミック(「セトウツミ」に出てくる)も伏線だ。
シナントロープ あらすじ
さえない大学生・都成(水上恒司)が働くバーガーショップ“シナントロープ”に、ある日、怪しい目出し帽の男が現れる。ホール係の都成と木場(坂東龍汰)が怖気づいて接客を押しつけ合っていると、どんな相手にも物怖じしない水町(山田杏奈)が何事もないかのように冷静に対応。意外にも男は普通に注文をするが、その直後、もう1人の目出し帽の男が店に乱入し、レジ係の志沢(萩原護)に拳銃を突きつけて「金を出せ」と脅し始める――。
シナントロープを観るには?
シナントロープ キャスト
都成剣之介 – 水上恒司
水町ことみ – 山田杏奈
木場幹太 – 坂東龍汰
里見奈々(お嬢様大学生) – 影山優佳
田丸哲也(漫画家志望) – 望月歩
室田環那(メンヘラ女子) – 鳴海唯
志沢匠(新人) – 萩原護
塚田竜馬(ミュージシャン志望) – 高橋侃
加藤(オーナー) – 黒田大輔
■バーミン
折田浩平 – 染谷将太
龍二 – 遠藤雄弥
久太郎 – アフロ
睦美 – 森田想
■その他
おじさん – 山本浩司
若い男 – 栗原颯人
和服女 – 中村映里子
インカアジサシ – 綾田俊樹