当初、同監督の『エイリアン』(1979年)の前日譚として企画されたが、後にその見解の確定性を弱める発言がなされるようになった。撮影は2011年3月に開始された。フランス(2012年5月30日)、イギリス(同年6月1日)などで先行公開された後、アメリカでは20世紀フォックスの配給によって2012年6月8日に公開、日本では同年8月24日にPG12指定作品として公開された。
プロメテウスの感想
未見だったので連続視聴。
すっきりしない感満載なのだが、このシリーズの見どころは腹部をモチーフにしたエロである。本作でも医療ポッドを使ったセルフ堕胎シーンが凄まじい。正編でも繰り返し表現された、白いお腹を激しく変形させて食い破る異物感(もともとはオカルト映画で始まった描写だ)の絶望感は、パルプ時代の肌もあらわなSF美女の伝統である。
プロメテウスの見どころ
『エイリアン』シリーズの前日譚でありながら、リドリー・スコットが挑戦した哲学的SFの到達点ともいえる作品。
『エイリアン』シリーズの前日譚として、ゼノモーフ誕生の起源に触れつつも、完全には説明していない。あくまでも「神話の序章」であり、『コヴェナント』に引き継がれる哲学的テーマ(創造と破壊)が核となっている。
本作のテーマは、「我々はどこから来たのか? そしてなぜ作られたのか?」ということ。
人類は「エンジニア」と呼ばれる存在によって創造された可能性が示唆されるが、彼らの目的は不明である。
科学探査船プロメテウスの乗組員は、知的好奇心で神に近づこうとするが、その行為がやがて破滅的な結果を招くことになる。
人類が作ったアンドロイド・デヴィッド(マイケル・ファスベンダー)は、人間と同じように「なぜ自分は作られたのか」と問い、やがて自らの創造行為に走る。この構造は「創造の連鎖」のメタファーになっており、シリーズの神話性を高めるものだ。
つまり『プロメテウス』はSFホラーというより「科学と神話が交錯する叙事詩」なのである。
開幕の滝や宇宙空間、エンジニアの宇宙船(ホースシュー型)、内部の神殿空間など、全てが壮大かつ緻密。H・R・ギーガー風デザインが再解釈され、有機物と機械が融合する異様な美を提示している。
洞窟や宇宙船内の光と影の対比が、未知への恐怖と神秘性を強調し、特にブラックリキッドの不気味な光沢は、「進化と破壊」を視覚的に表している。
本作にはフェイスハガーやチェストバスターは登場しないが、胎内に異物が宿るショウの自動手術シーン、ブラックリキッドに汚染される生物など、リドリー・スコットらしい肉体変容の恐怖シーンが随所にある。
科学探査が「身体の侵略」に転じる瞬間、観客は『エイリアン』1作目の恐怖を思い出すだろう。
プロメテウス あらすじ
2089年、考古学者のエリザベス・ショウとチャーリー・ホロウェイは、古代遺跡から未知の惑星の存在を発見。ウェイランド社は調査チームを編成し、プロメテウス号で惑星LV-223へ向かう。乗組員は冷凍休眠から目覚め、惑星に到着。調査隊は人工構造物内でエンジニアの遺体や謎の容器を発見。デヴィッドは容器を持ち出し、中の黒い液体で実験。ホロウェイは液体に感染し、異変が起きる。ミルバーンとファイフィールドは構造物内で軟体生物に襲われ、ファイフィールドは変異。ホロウェイは焼死し、ショウは妊娠した異形の生命体を摘出。ウェイランド社長はエンジニアに会い、不老を乞うが、エンジニアは彼らを襲撃。ショウは宇宙船で脱出を図り、デヴィッドとエンジニアの母星へ向かう。一方、新たな生命体が誕生する。(250字)
プロメテウスを観るには?
プロメテウス キャスト
デヴィッド(アンドロイド) – マイケル・ファスベンダー
メレディス・ヴィッカーズ(監視役) – シャーリーズ・セロン
イドリス・ヤネック(船長) – イドリス・エルバ
ピーター・ウェイランド(ウェイランド社社長) – ガイ・ピアース
チャーリー・ホロウェイ(エリザベスの恋人) – ローガン・マーシャル=グリーン
ショーン・ファイフィールド(学者) – ショーン・ハリス
レイフ・ミルバーン(生物学者) – レイフ・スポール
エミュ・チャンス(副操縦士) – エミュ・エリオット
ベネディクト・ラヴェル(副操縦士) – ベネディクト・ウォン
ケイト・フォード(ウェイランド社社員) – ケイト・ディッキー
ショウの父親 – パトリック・ウィルソン
プロメテウス スタッフ
脚本 – デイモン・リンデロフ、ジョン・スペイツ
製作 – リドリー・スコット、トニー・スコット、デヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル
製作総指揮 – マイケル・コスティガン、マイケル・エレンバーグ、マーク・ハッファム、デイモン・リンデロフ
音楽 – マルク・ストライテンフェルト
撮影 – ダリウス・ウォルスキー
編集 – ピエトロ・スカリア
製作会社 – スコット・フリー・プロダクションズ、ブランディーワイン・プロダクションズ、デューン・エンターテインメント
配給 – 20世紀フォックス
公開 – アメリカ合衆国の旗 2012年6月8日
日本の旗 2012年8月24日
上映時間 – 124分