大奥(よしながふみ版)の感想
シーズン1は冨永愛の初回のみ見た後に放置してしまったので、先にシーズン2を視聴。
細かく史実を踏まえているので実に勉強になるコンテンツなのだが、NHKのファンミーティング(まで見てしまった)で演者たちがしみじみ語っていたように、原作に加えて脚本がうまく、KOHTA YAMAMOTOの劇伴が秀逸で、涙腺を崩壊させる。
鈴木杏の平賀源内も良かったが、私は愛希れいかの家定と瀧内公美の阿部正弘にツボってしまった。正直、瀧内公美のことを堺雅人のような半笑いが特徴的な人としか思っていなかったのだが、見直した。
家重を見たいので、今はシーズン1を頭から視聴中。
大奥(よしながふみ版)
謎の疫病「赤面疱瘡」によって男性が激減し、男女の役割が逆転した江戸時代を舞台に、将軍が女性となり、男性が「大奥」に集められるという斬新な設定のドラマ。
- 男女逆転という設定が紡ぐ新たな時代劇
女性が将軍となり、その子を産むための男性たちが大奥に集められるという、奇抜ながらも説得力のある設定。これまでの時代劇では描かれなかった視点から、権力、愛憎、差別、そして人間の生き様が深く掘り下げられる。女性がトップに立つことで、社会構造や倫理観がどう変化するのか、という壮大なシミュレーションとしても楽しめる。 - 「赤面疱瘡」という疫病がもたらす悲劇と社会変化
男性のみが罹患し、致死率が高い「赤面疱瘡」という架空の疫病が、物語の根幹をなす。この疫病によって社会が激変し、人々がどのように生き、愛し、苦悩するのかが描かれる。現代にも通じる普遍的なテーマ(死生観、差別、科学の進歩など)を提示している。 - 森下佳子脚本による原作の「再構築」と感動
『JIN-仁-』『義母と娘のブルース』などで知られる脚本家・森下佳子が、よしながふみの原作を巧みに再構成。原作の要となるエピソードや名セリフを大切にしつつ、登場人物たちの心情や人間関係をより深く掘り下げ、ドラマならではの感動的な展開を生み出した。よしながふみも「漫画をぎゅっと詰めて、ジェットコースターのような展開になっているので、すごい面白い」と絶賛。 - 豪華かつ実力派の俳優陣の熱演
シーズン1とシーズン2で、複数の将軍と時代が描かれるため、多くの実力派俳優が出演している。特に、冨永愛の吉宗の貫禄、斉藤由貴の静かに恐ろしい春日局、仲里依紗の奔放な綱吉と、彼女の全てを受け止める山本耕史の右衛門佐は大きな話題に。シーズン2では、医療の発展と命の尊厳、そして幕末の激動の時代が描かれ、特に仲間由紀恵演じる治済の「冷酷さ」は強烈だった。 - 重厚なテーマ性と普遍的な人間ドラマ
権力争い、愛憎劇、友情、家族の絆、そして性別や時代を超えた「愛」の形など、様々な人間ドラマが複雑に絡み合う。単なる時代劇やSF的な設定に留まらず、人間の本質や生き方について深く問いかけドラマである。
トリビア・撮影裏話など
- 原作者のよしながふみはドラマの出来栄えを高く評価し、脚本の森下佳子さんの構成力や、俳優陣の演技に感銘を受けたと語っている。自身の漫画が「乾いた世界」だと表現し、ドラマの俳優たちの「感情表現」によって、より胸に迫るものになったと感じているそう
- 各将軍や主要な登場人物のキャスティングが発表されるたびに話題に。冨永愛が演じた吉宗は、その存在感と迫力で「実写版」として最高のはまり役だと絶賛された。仲里依紗の綱吉も原作のイメージを損なうことなく、彼女ならではの魅力を加えている
- 男女逆転という設定を視覚的に表現するため、大奥の華やかながらもどこか男らしさを感じさせる衣装や美術セットには、細やかなこだわりが散りばめられた。当時の時代考証を踏まえつつ、ドラマ独自の美学が追求されている
- NHKの時代劇制作のノウハウと、現代的なテーマ(ジェンダー、疫病、差別など)を組み合わせることで、幅広い世代の視聴者に響く作品となり、普段時代劇を見ない層も取り込んだ
- 斉藤由貴演じる春日局は、声を荒らげない静かな演技が、かえって恐ろしさを感じさせたとよしながふみも言及しており、俳優たちの細やかな声の演技も作品の質を高めている
- KOHTA YAMAMOTOが手掛けた音楽は、ドラマの重厚な世界観と感動的なシーンを彩り、エンディングテーマも各シーズンの物語を締めくくる上で重要な役割を果たした
大奥(よしながふみ版) あらすじ
赤面疱瘡の流行で男子人口が激減した江戸時代、女子が社会を支え、将軍職も女性が継ぐようになる。大奥は美男3000人を囲う女人禁制の城となり、その歴史は八代将軍吉宗の時代を起点に『没日録』として記録される。三代家光から十四代家茂まで、各将軍の治世と大奥の権力闘争、赤面疱瘡の撲滅に向けた蘭学や人痘法の研究が描かれる。男子人口の回復に伴い、大奥は終焉を迎え、その歴史は焼却される。物語は明治時代、島津胤篤が津田梅子に語りかける場面で幕を閉じる。
大奥(よしながふみ版)を観るには?
大奥(よしながふみ版) キャスト
徳川吉宗 / 信 – 冨永愛
水野祐之進 / 進吉 – 中島裕翔
杉下 – 風間俊介
加納久通 / おみつ – 貫地谷しほり
藤波 – 片岡愛之助
信 – 白石聖
松島 – 橋本淳
御中臈のひとり。
柏木 – 井上祐貴
村瀬正資 – 吉宗編・綱吉編:石橋蓮司、家光編:岡山天音
水野の母 – 大西智子
副島 – 植木祥平
白河 – 佐々木陽平
垣添 – 山時聡真
御中臈 – 長森要、奥﨑海斗、土屋翔、重松直樹
御錠口 – 大越晴護
吉宗の侍女 – 宮下咲
間部詮房 – 国分佐智子
徳川家重 – 三浦透子
大岡忠相 – MEGUMI
小川笙船 – 片桐はいり
大岡忠光 – 岡本玲
龍 – 當真あみ
対馬守、和泉守、河内守 – 小柳友貴美、三浦純子、二木咲子
卯之吉 – 吉田庸
医師 – 山崎美貴
助手 – 江守沙矢
松平乗邑 – 黒沢あすか
徳川宗武 – 松風理咲
小夜姫 – 竹野谷咲
一平太 – 保坂凛駆
かよ – 橘芳奈
左近 – 内田裕大
徳川家治 – 高田夏帆(幼少期:落井実結子、15歳時:森山のえる)
堀田正亮 – 佐藤みゆき
西尾忠尚、本多正珍 – 渕野陽子、山本祐子
小姓 – 黒田和将
徳川家光 / 千恵 – 堀田真由
万里小路有功(までのこうじ ありこと) / お万 – 福士蒼汰
春日局 – 斉藤由貴
玉栄 / お玉 – 奥智哉
稲葉正勝 – 眞島秀和
角南重郷 – 田中幸太朗
和田正隆、勝田頼秀 – 佐藤祐基、水間ロン
松平信綱 – 山中聡
澤村伝右衛門 – 児玉純一
朽木稙綱 – 永井大
明慧 – 齊藤友暁
捨蔵 / お楽 – 濱尾ノリタカ
溝口左京 / お夏 – 押田岳
松平輝綱 – 富山えり子
中根正盛 – 西嶋陽一
千代姫 – 和田葵
家光の長女で、父は捨蔵 / お楽の方。後の4代将軍・徳川家綱。
■5代・徳川綱吉×右衛門佐 編
徳川綱吉 / 徳子 – 仲里依紗
右衛門佐 / 水無瀬継仁 – 山本耕史
桂昌院 – 竜雷太
柳沢吉保 / おもと – 倉科カナ
鷹司信平 – 本多力
伝兵衛 / お伝 – 徳重聡
秋本 – 中川大輔
お江、お美[注 2] – 渡辺江里子、木村美穂
松姫 – 戸簾愛、中村乙葉
牧野邦久 / 阿久里 – 吉沢悠
牧野成貞 – 内田慈
牧野貞安 – 三宅亮輔
市川団十郎 – 西川扇里治
隆光 – 山本學
大典侍 – 一色洋平
桂昌院が呼び寄せた公家出身の側室。
新典侍 – 神田穣
右衛門佐が呼び寄せた公家出身の側室。
上様の念者 – 池田航、織部典成
徳川光貞 – 飯島順子
大石内蔵助 – 福井博章
吉良上野介 – つかもと景子
瓦版 – 麻生子八咫
甲府の間者 – 松村龍之介
徳川綱教[注 3]、徳川頼職[注 3] – 君島光輝、坂上梨々愛
老中 – 潮田由香里、藤本沙紀、金谷真由美、氏家恵、比佐廉、安藤瞳
■医療編
青沼/ 吾作 – 村雨辰剛(幼少期:シャルパンティエ壱世)
平賀源内 – 鈴木杏
黒木良順 – 玉置玲央
田沼意次 – 松下奈緒(回想シーンの家重の小姓・龍は當真あみ)
徳川家治 – 高田夏帆
松平定信 – 安達祐実
伊兵衛 – 岡本圭人
一橋治済 – 仲間由紀恵
徳川家斉/ 竹千代 – 中村蒼
御台/ 広大院 – 蓮佛美沙子
五十宮 – 趙珉和
お志賀の方/ 滝沢 – 佐津川愛美
僖助 – 新名基浩
松方 – 前田公輝
武女 – 佐藤江梨子
黒木良春 – 阪田マサノブ
吉雄耕牛 – 飯田基祐
大通詞・蘭方医。吾作を弟子にしていた。
さた – 馬渕英里何
高岳 – 相島一之
患者 – 野呂佳代
吾作の兄 – Alex JD
御半下 – 長友郁真、川合諒
杉田玄白 – 小松和重
赤井、灰谷 – 玄覺悠子、山下容莉枝
右近将監、佐渡守 – 大島蓉子、ふせえり
お次 – 堀内敬子
平賀源内の兄 – 庄野崎謙
彦次郎 – 渡邉大器
お宇多の方 – 野村麻純
御中臈 – 大原万由子、横山祥子、七瀬葵、伊藤友惠
御錠口 – 染谷知里
るい – 中村映里子
吉野 – 行平あい佳
敬之助 – 北尾いくと
敬之介の乳母 – 小宮有紗
敦之助 – 馬場應吏
総姫 – 堂口環那
お志賀の侍女 – 水嶋凜
黒木青史郎 – 塚尾桜雅(少年期:上野山夢輝、青年期:島村龍乃介)
村の子供 – 尻引結馨
母 – 伊藤麻実子
隠密 – 稲村亜美
牧野、土井 – 中島亜梨沙、山野海
若者 – 東拓海
読売師 – 宝井小琴
阿部正寧 – 浜中文一
■幕末編
徳川家定/ 祥子 – 愛希れいか
瀧山 – 古川雄大
阿部正弘 – 瀧内公美
天璋院 / 胤篤 – 福士蒼汰
徳川家茂/ 福子 – 志田彩良
和宮親子内親王(かずのみや ちかこないしんのう)/ 静寛院宮 – 岸井ゆきの
徳川家慶 – 高嶋政伸
中澤/ 津村重三郎(つむら じゅうざぶろう) – 木村了
胤篤付きの御中臈・薩摩の隠密。
仲野 – 中川翼
瀧山の部屋子で、黒木源一郎の弟。
勝義邦 / 海舟(かつ よしくに / かいしゅう) – 味方良介
堀田正睦 – 高木渉
水野忠邦 – 長野里美
遠山金四郎 – 高島豪志
歌橋 – あめくみちこ
間部詮勝 – 木津誠之
阿部正宣 – キンタカオ
徳千代 – 後藤成貴
竹千代 – 福島永大
陰間茶屋の男 – 新原泰佑、奥村知史
瓦版 – 尾田直彪
井伊直弼 – 津田健次郎
一橋慶喜 – 大東駿介
徳川斉昭 – 吉見一豊
池谷 – 冨永章胤
内藤信親 – 水橋研二
絵島 – 三谷昌登[注 4]
老中 – ジャン・裕一
松之助 – 井上智之
庭田/ 観行院 – 平岩紙
土御門 – 山村紅葉
板倉勝静 – 坂東新悟
島津久光 – 阿部丈二
孝明帝 – 茂山逸平
橋本実麗 – 木原勝利
和宮 – 中嶋海央
瓦版 – 一龍齋貞介
能登/ 志摩 – 中村アン
亀之助 – 森田湊斗
三条実美 – 阿岐之将一
西郷隆盛 – 原田泰造
慶喜の側近 – 尾関伸次
黒木源一郎 – 宮野真守
黒木清史郎の長男で、仲野の兄。家定の臨終に立ち会った蘭方医。
津田梅子 – 宮崎莉里沙