向かいのバズる家族の感想
これ、藤井道人監督だったのか…
あれっ、予約キャンセルするつもりで期待せずに見たら意外と面白い…脚本のマギーは役者としてもドラマ常連の曲者。あまり感心したことなかったが、少し乾いたタッチと、どうでもいいストーリー、内田理央(「海月姫」のまややで笑わせてくれた人)のビミョーな役作りなどのバランスがいい感じ。
脚本がちゃんとしているだけで、こんなにいい加減な話でも感動的に終わることができる。これほど感情移入と無縁なドラマも珍しい。
向かいのバズる家族の見どころ
本作はSNS社会に翻弄される一家を描いたコメディドラマですが、プロット展開が秀逸だった。
物語は、家族の誰もが個別にSNSで「バズり」、“家族の外の顔”と“家の中の顔”がズレていくというアイデアが核になっている。
娘・あかり(内田理央)は動画配信でプチバズり、母・緋奈子(高岡早紀)はSNSに耽溺、自己承認欲求の渦へ。父・篤史(小野武彦)はある“炎上案件”で話題になり、弟・薪人(那智)はゲーム実況で注目を浴びる。
「全員がバズるが、誰も気づいていない」という設定がプロット上の面白い緊張感を生んでいる。
プロットは基本的に小さなバズり → 予期しない炎上 → 家族の秘密の露呈というスパイラルをなしている。
- あかりが投稿した動画が拡散
- 家族は誰も気づかず、逆に母は自分のSNSに夢中
- 父の“過去の過ち”がネットに掘り返され、炎上
- 家族の中でSNSの存在が対立の火種になる
- それぞれの「外の顔」と「家族の顔」が乖離し、家の中が崩壊寸前に
という具合だ。この展開の面白さは、SNSが現代の“狂言回し”として機能している。
家族はそれぞれ「バズりの裏に隠している秘密」を抱えている。
あかりは自分の配信活動を隠し、母は不倫疑惑を含むSNS依存を隠し、父はかくしていた過去の問題が掘り返され、弟は実はゲーム実況者として学校で有名であるのが秘密。
この“秘密がいつバレるか”がプロットのドライブ感を支え、視聴者に「次に誰の秘密が暴かれるのか?」という期待を抱かせる構造になっている。
本作はコメディであると同時にサスペンス要素が混合している。
コメディ要素は、SNS文化を皮肉るユーモアであり、家族それぞれの“ネット人格”と“現実人格”のギャップがあるということ。
サスペンス要素は、バズった後の「炎上」「拡散」の怖さ、そして家族崩壊寸前の心理戦である。
バズることの光と影、SNSに取り憑かれた人間の自己承認欲求、オンラインの評判がオフラインの関係性を壊すという現代ならではのテーマが展開をリアルにしている。緩やかに家庭内の信頼をむしばんでいき、最終盤の家族再生につながる構成だ。
向かいのバズる家族 あらすじ
篝家は、カフェ店長のあかり、専業主婦の緋奈子、ドラマプロデューサーの篤史、就活生の薪人の4人家族。一見幸せそうだが、SNSに翻弄され、互いに無関心な状態だった。あかりの謝罪動画がSNSで拡散され、美人店長として有名になるが、彼女は秘密の顔を持ち、SNSの人気と現実のギャップに苦しむ。家族もSNSでの出来事がきっかけで、秘密や欲望が露わになり、SNSでのバズりが日常と家族関係を変えていく。自己顕示欲や承認欲求を満たすためにSNSにのめり込む中で、家族の絆は崩壊の危機を迎える。(250字)
向かいのバズる家族を観るには?
向かいのバズる家族 キャスト
皆戸涼太:白洲迅
篝緋奈子:高岡早紀
篝篤史:木下隆行
篝薪人:那智
篝清史:小野武彦
盛田桃:小川紗良
伊勢谷伸:永野宗典
丹羽和博:山中崇
鴇田夏生:藤井武美
種崎:森下能幸
油谷:小松利昌
菅野朱里:桜田ひより
穂村真斗:黒羽麻璃央
迫滝:前田公輝
菅野橙子:遠藤久美子
網野:大浦龍宇一
鍋島剛:笠松将