ハウス・オブ・ダイナマイトの感想
ミサイルが探知されてからシカゴに着弾するまでの19分間が、当事者たちを変えて3回繰り返される。
それぞれにはチャプタータイトルが付いていて、1幕目は「傾斜が水平に」(ミサイルが弾道に乗ったことを報告するフォートグリーリー基地の軍曹の台詞)、2幕目は「弾丸で弾丸を撃つ」(迎撃ミサイルの絶望的な精度を評する安保担当副補佐官の台詞)、3幕目は「爆薬が詰まった家」(核抑止の現状を揶揄する大統領の台詞)である。当事者は3幕合わせるとかなりの数にのぼり、「シン・ゴジラ」的な楽しみ方ができる。
監督はこの3幕構成を「羅生門」になぞらえているらしく、いずれのシークエンスも同じところで終わる。ミサイルがどのような被害を与えたのか、そもそもどこの国(?)のミサイルなのか、結局大統領は報復攻撃を指示したのか、ということはわからず、視点を変えることで明らかになる真実があるのかどうかは微妙なところで、やや消化不良気味ではある。
ただし、フィクションの世界ではさほど物珍しくもない終末論的シチュエーションを描いた映画としては、極限状況としての演出と、ほとんど死相に近づいていくかのようなキャストの絶望演技は圧巻であった。フォートグリーリーの司令官は恐怖と緊張のあまり屋外で嘔吐しているが、そんな描写はかつてなかったのではないかと思う。
ハウス・オブ・ダイナマイトのあらすじ
米軍レーダーが北太平洋上空の正体不明ICBMを探知。当初は北朝鮮の実験とみられたが、着弾まで18分の実際の脅威と判明し、迎撃も失敗。目標はシカゴで、米国はデフコン1へ。政府存続計画が発動され高官は避難、報復の是非を巡り国防総省や戦略軍、大統領側近らが対立する。大統領はPEOCへ移動しつつ判断を迫られ、国防長官はシカゴ在住の娘を救えず自殺。各地の要人が避難する一方、迎撃部隊の兵士たちは崩れ落ち、大統領は極限状況で最終決断に向き合う。
ハウス・オブ・ダイナマイトを観るには?
ハウス・オブ・ダイナマイト キャスト
オリヴィア・ウォーカー海軍大佐 – レベッカ・ファーガソン
ジェイク・バリントン(国家安全保障問題担当大統領副補佐官) – ガブリエル・バッソ
リード・ベイカー国防長官 – ジャレッド・ハリス
アンソニー・ブレイディ空軍大将(アメリカ戦略軍司令官) – トレイシー・レッツ
ダニエル・ゴンザレス少佐(フォート・グリーリー基地司令官) – アンソニー・ラモス
キャシー・ロジャース(連邦緊急事態管理庁の政府存続計画担当者) – モーゼス・イングラム
ロバート・リーヴス海軍少佐(報復戦略顧問兼大統領軍事顧問) – ジョナ・ハウアー=キング
アナ・パク(国家安全保障局の北朝鮮問題専門家) – グレタ・リー
マーク・ミラー海軍大将(シチュエーションルーム最高責任者) – ジェイソン・クラーク
ウィリアム・デイヴィス海軍先任上等兵曹(ウォーカー大佐の部下) – マラキ・ビーズリー
ケン・チョー(シークレットサービス特別捜査官の責任者) – ブライアン・ティー
リリー・バリントン(ジェイクの妻) – ブリタニー・オグラディ
スティーブン・カイル空軍少将(アメリカ戦略軍参謀) – ベンガ・アキナベ
アビー・ジャンシング(CNN記者) – ウィラ・フィッツジェラルド
アメリカ合衆国ファーストレディ – レネイ・エリース・ゴールズベリイ
ジョン・ジマー空軍大尉(B-2 スピリットパイロット) – カイル・アレン
キャロライン・ベイカー(国防長官の娘) – ケイトリン・デヴァー
アリ・ジョーンズ二等軍曹(フォート・グリーリー基地の兵士) – フランチェスカ・カルパニーニ
ダン・バック中尉(フォート・グリーリー基地の兵士) – アブバクル・アリ
本人役 – エンジェル・リース
ハウス・オブ・ダイナマイト 作品情報
脚本 – ノア・オッペンハイム
製作 – グレッグ・シャピロ、キャスリン・ビグロー、ノア・オッペンハイム
音楽 – フォルカー・ベルテルマン
撮影 – バリー・アクロイド
編集 – カーク・バクスター
製作会社 – ファースト・ライト・ピクチャーズ、プロローグ・エンターテインメント、キングスゲート・フィルムズ
配給 – Netflix
公開 – イタリア: 2025年9月2日(ヴェネツィア)、イギリス: 2025年10月3日、アメリカ: 2025年10月10日、日本: 2025年10月10日
上映時間 – 112分

