ザ・ガンマンの感想
ショーン・ペンの珍しいアクション映画で、マッチョというほどでもないのに、55歳でなぜそんな賭けに出たのかはわからない。
ペンが演じるのは、2016年のコンゴで治安維持部隊として活動しつつ、裏で反政府軍の雇われテロリストグループの狙撃者をしている男だ(だからこの題名)。
その年、大臣を暗殺したことから愛人(ジャスミン・トリンカ)を残してコンゴを脱出したペンは、8年後、今度は純粋にNGOとしてコンゴで井戸掘りをしている一貫性のない行動をしている。
あとのほうで「井戸掘りをしながら君を探していた」とトリンカに言うのだが、本当だろうか。
ある日、何者かに襲撃されたことから、ペンは8年前の事件と関係があると決めつけ、黒幕を探すためにロンドン、バロセロナと向かう。
その過程で「脳震盪後症候群」という、要はパンチドランカーのような爆弾が脳にあることが明かされる。
そのために記憶が怪しくなったり肝心な場面で意識が朦朧としてしまったりするというのだが、最後まで見ると、これらは余計な設定だということがわかる。
中盤まできて、ようやく人妻になっていたトリンカと再会するのだが、主人公はどうやらトリンカがコンゴとバロセロナで見せた〈裸ワイシャツ〉姿に執着していて、それが行動の原動力となっているふしがある。
かつての仲間が黒幕であることがわかり、クライマックスは闘牛場での死闘。
これはそれなりに見応えがあるのだが、バロセロナの闘牛は2012年に禁止になったはずなのに、悪者は牛に突かれて死んでしまう。
駆けつけたインターポールにペンもタイホされるのだが、ラストシーンでは、あっさり釈放されてコンゴでNGO活動をしているトリンカの前に現れている。病気はどうなったんだ。。。
主人公は悪者(民間軍事会社の経営者)をやっつけて愛人を守ったみたいな感じになっているけど、民主化直前の2006年のコンゴで大臣を暗殺して国を混乱させたことへの反省は微塵もない(それが井戸掘りというコトらしいのだが)のが結構気になる。
ザ・ガンマンのあらすじ
ジム・テリアは元特殊部隊兵士の暗殺者ガンマンの五十男。退役後は大企業に雇われ、表向きではコンゴ民主共和国で治安維持部隊として活動しつつも、裏では企業利益のために汚い仕事を請け負っていた。ジムは現地の病院で働くアニーと恋に落ちた。コンゴは内戦で崩壊の危機に瀕していたが、鉱山経営を行う大企業がコンゴで利益を上げ続けていた。コンゴの鉱業大臣はその大企業がコンゴの企業に対し公正ではない契約を結ばせていると批判した。利益の減少を怖れた大企業はジム等に大臣暗殺を命じる。作戦は、極秘裏に進めなければならず、また暗殺成功後コンゴを離れる手筈だったため、別れを告げることも出来ずアニーの前から姿を消す事に。
それから8年後、ジムは慈善団体の職員としてコンゴにやって来た。現地に井戸を立てようと尽力していたジムだったが突然何者かに襲撃される。
ザ・ガンマンを観るには?
ザ・ガンマン キャスト
アニー(現地の病院で働く女性) – ジャスミン・トリンカ
フェリックス(ジムの同僚) – ハビエル・バルデム
スタンリー(ジムの海兵隊時代の親友) – レイ・ウィンストン
コックス(ジムの仲間) – マーク・ライランス
ジャッキー・バーンズ – イドリス・エルバ
レーニンガー – ペーテル・フランツェーン
リード – ビリー・ビリンガム
ブライソン – ダニエル・アデボイエガ
ザ・ガンマン 作品情報
脚本 – ドン・マクファーソン、ピート・トラヴィス、ショーン・ペン
原作 – ジャン=パトリック・マンシェット『眠りなき狙撃者』(学習研究社)
製作 – アドリアン・ゲラ、ショーン・ペン、ピーター・マカリーズ、アンドリュー・ローナ、ジョエル・シルバー
製作総指揮 – スティーヴ・リチャーズ、アーロン・オーク、ピーター・マカリーズ
音楽 – マルコ・ベルトラミ
撮影 – フラビオ・マルティネス・ラビアーノ
編集 – フレデリック・トラヴァル
製作会社 – アントン・キャピタル・エンターテインメント、Canal+、ノストロモ・ピクチャーズ、シルバー・ピクチャーズ、TFI1フィルムズ・プロダクション
配給 – アメリカ:オープン・ロード・フィルムズ、日本:クロックワークス
公開 – アメリカ:2015年3月20日、日本:2016年2月6日
上映時間 – 115分

