コードネーム:プリンスの感想
ミシシッピー州ポントトックなる片田舎(クライマックスで娘に故郷を聞いたブルース・ウィリスが「……どこ?」と不審げに聞き返すのがおかしい)の自動車整備士ジェイソン・パトリックは、ある日娘の大学から学費滞納通知を受け取り、娘を問いただそうとするが電話はつながらない。
大学のあるニューオーリンズに飛んでみてわかったのは、娘がとうに大学をやめてヤク中になったらしいことだった。
という出だしはまあまあ期待させるし、娘の友達ジェシカ・ロウンズ(「新ビバリーヒルズ高校白書」のヒロインで、ピープル誌の「世界で最も美しい女性」に選ばれている)を相棒にして娘探しに車を走らせるところまでは引き込まれたが、そこから先は「一般市民だと思ったら最強の男でした」になり、93分の上映時間が長く感じるほど退屈になる。
何しろ、敵の弾は全然当たらないのにジェイソンの弾は百発百中なのだ。
タイトルの所以として、ハドリアヌスの長城の内側で権勢を誇ったというスコットランドの王子のことが語られるのだが、今ひとつ意味がわからない。
(ハドリアヌスの長城はローマ帝国最北端の鉄壁の境界線であり、その内側は「帝国の支配が及ぶ領域」であった。ジェイソン・パトリックもまた裏社会で“絶対に侵されない領域”を持つ恐るべき殺し屋だったからプリンスと呼ばれた、という譬えばなしなのだが、すごくわかりづらい。なんで実在もしていないスコットランドの王子が出てくるのか?)
一方、娘を囮にジェイソンをおびき寄せているのは地域のボスであるブルース・ウィリスだが、実はかつてジェイソンに妻子を爆死させられており、どう見ても非は主人公にある。
ウィリスの右腕はRAIN(ピ)だが、これも恰好だけで実はチョロくてがっかり。
ぼやきながらジェイソンを匿う旧友ジョン・キューザックだけがいい味だった。
コードネーム:プリンスのあらすじ
かつて裏社会で「プリンス」と呼ばれ恐れられていた凄腕の暗殺者ポールは、犯罪組織のボスであるオマーの暗殺に失敗したことをきっかけに足を洗い、現在は田舎で自動車整備工をしながら静かに暮らしていた。ところが、ある日一人暮らしをしている娘ベスが消息不明になってしまい、娘を探すためにポールは故郷ニューオリンズへと戻る。一方、ポールによって誤って妻子を殺されたオマーは、彼が町に戻ったことを知り、その命を奪おうと画策する。ポールは過去の仲間たちの協力を得ながら愛する娘を取り戻すため奔走する。
コードネーム:プリンスを観るには?
コードネーム:プリンス キャスト
アンジェラ – ジェシカ・ロウンズ
ベス – ジーア・マンテーニャ
オマー – ブルース・ウィリス
マーク – RAIN (ピ)
サム – ジョン・キューザック
ファーマシー – 50セント
ライリー – ドン・ハーヴェイ
ウィルソン – ジェッセ・プルエット
レイチェル – ディディ・コスティン
スーザン – ボニー・サマーヴィル
ジミー – ティム・フィールズ
フランク – ジョナサン・シェック
エディ – タイラー・ジョン・オルソン
キャンディス – タラ・ホルト
ミッチ – ジョナサン・カーキーク
コードネーム:プリンス 作品情報
脚本 – アンドレ・ファブリツィオ、ジェレミー・パスモア
製作 – ジョージ・ファーラ、ランドール・エミット、アダム・ゴールドワーム、パク・ホスン、フレッド・ソン
音楽 – ザ・ニュートン・ブラザーズ
撮影 – ヤロン・レヴィ
編集 – リック・シャイン
製作会社 – マンデート・ピクチャーズ、Aperture Entertainment、Emmett/Furla/Oasis Films
配給 – アメリカ:ライオンズゲート、日本:クロックワークス
公開 – アメリカ:2014年8月22日、日本:2015年1月12日
上映時間 – 93分

