ドラマ2020年代のドラマ2020年のドラマ

微笑む人

3.5
尾野真千子、松坂桃李(微笑む人) ドラマ
尾野真千子、松坂桃李(微笑む人)
『ドラマスペシャル 微笑む人』は2020年3月1日にテレビ朝日系「日曜プライム」で放送。主演は松坂桃李。事件を追う役目を担う人物が女性小説家から週刊誌の女性記者に変更になっている。ドラマでは仁藤の事件はこの女性記者の目線で描かれている。

微笑む人の感想

3月放送の特番ドラマを今頃見終わったのでネタバレ全開で感想を書く。

原作は貫井徳郎で、主題は「不条理殺人を犯すにいたる語り手」といったところで、最後までそれを隠している。微笑みが伝染するかのような演出がキモで、黒沢清ならもっとうまく撮りそう。

倒立した構成なので、ストーリーラインは迂回し続ける。
「本の置き場がないから」という理由で松阪桃李が殺した妻が、大学時代の交際相手と同じ抄子という名であることから、尾野真千子(原作は小説家だがドラマではルポライター)は、松坂の小学校同窓の抄子という女がキャバ嬢をしており、その告白によって少年時代の事件が不条理殺人の動機を形成したのではないかという仮説でトップ記事を書く。

この一連のエピソードが丸々へたくそなミスリードになっているのだが、そんな変な名の女がそうそういるとも思えないし、案の定、くだんのキャバ嬢はじつは男で名を偽って告白したことがわかり、仮説は崩れ去る。

じつは松坂が抄の字にこだわる理由は、獄中で読むリドルストーリーとしての「春琴抄」にあるようなのだが、春琴を三味線の師匠だというありえない読み違えをしているので(現場で誰も気がつかないのか?)、そのへんもデタラメの可能性がある。

終盤、尾野が雇った探偵が逃げるように去るカットがあるのだが、それなら生瀬勝久の編集長とか、松坂の同僚の薬丸翔が尾野を見る目つきなどに伏線を張っておくとよかったのではないか。
夫殺しのシーンもひどく抑制的で、ちぐはぐした印象だ。

と書いていくと、失敗の原因はやはり脚本にあるような気がする。

微笑む人のあらすじ

大手銀行に勤め、妻と子供と共に幸せな家庭を築いた男性。そんな彼が、自分の妻と子供を殺害する。そして、彼はその動機を本の置き場所が欲しかったからと語る。以前から彼と知り合いだった週刊誌の記者は、事件の取材を開始する。

微笑む人を観るには?

微笑む人 キャスト

仁藤俊美(銀行員) – 松坂桃李
鴨井晶(週刊誌記者) – 尾野真千子
井上肇(週刊誌編集長) – 生瀬勝久
佐藤邦男(刑事) – 福田転球
滝沢孝一(拘置所刑務官) – 田中要次
梶原敬二郎(自殺した銀行マン) – 阿部亮平
保坂保(銀行員) – 薬丸翔
カスミ(キャバ嬢) – 佐藤乃莉
鴨井拓郎(晶の夫) – 小久保寿人

微笑む人 スタッフ

原作 – 貫井徳郎『微笑む人』(実業之日本社文庫 / 実業之日本社刊)
脚本 – 秦建日子
監督 – 落合正幸
脚本協力 – グティエレズえつこ
救急監修 – 永山政広
警察監修 – 古谷謙一
金融監修 – 宿輪純一
法務監修 – 加藤正明
スタントコーディネーター – 釼持誠
技術協力 – ビデオフォーカス、ジースタッフ
照明協力 – Kカンパニー
美術協力 – テレビ朝日クリエイト
ゼネラルプロデューサー – 横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー – 飯田サヤカ(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ)、木川康利(アズバーズ)
制作協力 – アズバーズ
製作著作 – テレビ朝日

微笑む人の原作(貫井徳郎)

エリート銀行員の仁藤俊実が、「本が増えて家が手狭になった」という理由で妻子を殺害。小説家の「私」は事件をノンフィクションにまとめるべく、周辺の人々への取材を始めた。「いい人」と評される仁藤だが、過去に遡るとその周辺で、不審な死を遂げている人物が他にもいることが判明し……。理解不能の事件の闇に挑んだ小説家が見た真実とは!? 戦慄のラストに驚愕必至! ミステリーの常識を超えた衝撃作! 解説/末國善己

タイトルとURLをコピーしました