NOPE/ノープの感想
「ゲット・アウト」が面白かったので、評価の良い本作を見ることに。主演は同じ俳優(ダニエル・カルーヤ)である。
映画の動物トレーナーである父親が空から降ってきたコインに頭蓋を貫かれて死亡、子供のOJとエムの兄妹が牧場を受け継ぐが、その空には「動かない雲」と見え隠れするUFOの姿が見てとれた。新米トレーナーとして撮影現場で軽んじられ、商売がうまくいかない兄妹は、UFOの動画で一攫千金を企むのだが、なんとそれは宇宙船などではなく、ひとつの巨大な人喰い生命体だったという話。
舞台はLA近郊とのことだが、ほとんど荒野である(テーマパーク「ジュピターズ・クレイム」は実在する)。本作はIMAXカメラで撮影されており中盤以降は壮大な背景を活かした前代未聞アクションであり、IMAXシアターでの鑑賞が推奨される。
エヴァの使徒にヒントを得たという生命体は、刻々と姿形を変えるので、ジーンジャケット(Gジャン)と命名される。CF撮影現場で、クロノフォトグラフ「動く馬」を世界最初の映画だと言い、自分たちはその黒人騎手の末裔だとプレゼンしたエムは、Gジャンをビデオカメラで撮影しようとするのだが、接近するとあらゆる電気回路が停止してしまうためうまくいかない。伝説的なドキュメンタリカメラマン、ホルストに撮影を依頼。ホルストは手回しのフィルムカメラで撮影するが、良い絵を撮ろうとして食われてしまう。最終的に、エムはテーマパークの井戸底のポラロイド(名前がありそうだがわからない)でGジャンの撮影に成功する。つまり本作はIMAXで撮られた映画の初源をめぐる物語なのである。
もちろんそれだけではなく、ラストカットで馬に乗ったOJがクリント・イーストウッドのような勇姿を見せ、ウェスタン風のエンドクレジットに変わったりする「西部劇」のテーマや、見ること/見られること(Gジャンは目を合わせると襲ってくるし、トラヴィス事件がモチーフのチンパンジーの暴走エピソードも視線が原因になっている)のテーマも強調される。その他、「未知との遭遇」をはじめさまざまな映画へのオマージュなども盛り込まれており、これでもかとばかりに様々なものをぶちこんでくる密度には驚かされる。
NOPE/ノープのあらすじ
田舎町で牧場を営む兄妹オーティスとジェイドは、亡き父の死をきっかけに、雲の中に潜む「巨大な飛行物体」の存在に気づく。その正体は、生物を捕食し、電気を遮断する謎の生命体だった。最悪の事態に直面した二人は、逃げるのではなく、その決定的瞬間を撮影して「バズり動画」で一獲千金を狙うという危険な賭けに出る。見つめれば喰われるという危険の中、彼らはハイテクカメラと奇策を武器に、空の怪物との命懸けの対決に挑む。
NOPE/ノープを観るには?
NOPE/ノープ キャスト
エム(OJの妹) – キキ・パーマー
リッキー・“ジュープ”・パク(テーマパークの経営者) – スティーヴン・ユァン
エンジェル・トーレス(家電量販店の技術係) – ブランドン・ペレア
アントレス・ホルスト(撮影監督) – マイケル・ウィンコット
アンバー・パク(ジュープの妻) – レン・シュミット
オーティス・ヘイウッド・Sr.(OJとエムの父) – キース・デイヴィッド
ボニー・クレイトン(女優) – ドナ・ミルズ
ネシー(エンジェルの同僚) – バービー・フェレイラ
バスター(CFスタッフ) – エディ・ジェイミソン
フィン・バックマン(CF監督) – オズ・パーキンス
ライダー・マイブリッジ(TMZの記者) – デヴォン・グレイ
メアリー・ジョー・エリオット(シットコムの女優) – ソフィア・コト
トム・ローガン(シットコムの男優) – アンドリュー・パトリック・ラルストン
フィリス・メイベリー(シットコムの女優) – ジェニファー・ラフルール

