『旋風の中に馬を進めろ』ってどんな映画?
ただ旅をしていただけの3人のカウボーイが、偶然立ち寄った場所が原因で「お尋ね者の強盗団」と誤認され、容赦ない自警団の執拗な死の追跡から逃げ惑う羽目になる。モンテ・ヘルマン監督と、脚本・製作・出演を兼任したジャック・ニコルソンの天才コンビが、理不尽な運命に翻弄される人間の極限の焦燥を描き出した、乾いた虚無感が胸を刺すアメリカン・ニューシネマの伝説的傑作ウエスタンだ。
見どころは、身に覚えのない悪夢に巻き込まれ、じわじわと退路を断たれていく男たちの剥き出しの心理。駅馬車強盗を追う自警団の追撃を逃れたウェス(ジャック・ニコルソン)と相棒のバーン(キャメロン・ミッチェル)は、砂漠の果てにある一軒の農家に命懸けで逃げ込む。そこには厳格な農場主エヴァン(ジョージ・ミッチェル)と妻(キャサリン・スクワイア)、そして娘のアビゲイル(ミリー・パーキンス)が暮らしていた。自警団の追跡の影が近づくなか、農場の人々を人質に取る形になってしまったウェスたちの心の嘘と、生き残るための冷酷な真実が交錯し、張り詰めた緊張感が密室に満ちていく。
さらに、自警団のメンバー(ジョン・ハケット)らの執念深い包囲網が迫り、誰を信じていいかも分からない孤立無援のなかで、銃撃のタイムリミットが刻一刻と近づく。
理不尽な誤解に屈して縛り首にされるのを待つか、それとも生き延びるために「本物の悪党(お尋ね者)」へと手を染めてでも、旋風のなかへ馬を進めて戦うか。照りつける荒野の真ん中で、極限状態に追い詰められた人間たちが最後に下す、あまりにも非情で切ない選択。
ハリウッドの黄金期西部劇を解体し、ジャック・ニコルソンが放つ剥き出しのリアルな演技と、乾いた銃声が人間の孤独を鮮烈にあぶり出す、映画史に隠れた一級のソリッド・サスペンススリラーだ。
あらすじ
カウボーイのウェス(ジャック・ニコルソン)は、相棒のバーン(キャメロン・ミッチェル)、そして若いエヴァン(トム・ファイラー)との旅の途中、ブラインド(ハリー・ディーン・スタントン)やインディアンのジョー(ルパート・クロス)らが率いる、本物の駅馬車強盗団の隠れ家に偶然居合わせてしまう。翌朝、強盗団を追ってきた冷酷な自警団が容赦ない銃撃を開始。ただの旅人だという弁明を聞き入れてもらえないままエヴァンが射殺され、激しいパニックのなか、ウェスとバーンは無実の罪を着せられたまま、地の果てまで続く絶望の逃亡を余儀なくされる。
キャスト
カットのひとつひとつが記憶に食い込んでくるような映画。
逃亡劇なのだが、なぜ追われなければならないのか、ほとんど意味がない。
モンテ・ヘルマンがカミュ的と言われるゆえんである。
さらに観念的な「銃撃」(こちらは謎めいた女の依頼で広大な暴くを横断する話)とあわせて1本分の予算で撮りあげられたとされ、ともにジャック・ニコルソンとミリー・パーキンスが主演し(ニコルソンは2本とも脚本も書いている)、スタッフもロケ地も同じユタ州である。




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