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「ファイトクラブ」的どんでん返し映画(ピエロがお前を嘲笑うの感想)
トリーヌ・ディルホム演じる、金髪のユーロポールの捜査官が出てくるまで、ドイツ映画だと認識しておらず(実はトリーヌはデンマークの女優なのだが)、ドイツのサブカルチャーを描いた映画を観るのは「クリスチーネ・F」(1981)以来かもしれないと思う。
「ファイトクラブ」との類似性を指摘される、どんでん返し好きの人向けの映画で、結末から逆算された作り物感がある。
ツッコミどころがいろいろあるが、中でもハンナー・ヘルツシュプルングが演じるマリという女性の意味がよくわからない。この人のほうはドイツ人で、「バビロン・ベルリン」というワイマール共和国が舞台の面白そうな歴史スリラー(シーズン4まである)にもレギュラーで出ている。
この監督は、「ダーク」というドラマが面白そうだ。
ピエロがお前を嘲笑う 見どころ
ハッキングやサイバー犯罪の世界をスタイリッシュかつスリリングに描いた映画
- ハッカーの世界のリアルな描写とスピード感
主人公ベンヤミン(トム・シリング)が、ハッキングスキルを持つ仲間たちと「CLAY」というハッカー集団を結成し、大胆不敵なサイバー犯罪を仕掛けていく過程がスピーディーかつ臨場感たっぷりに描かれる。単なるコンピュータの操作だけでなく、人間心理を巧みに操る「ソーシャル・エンジニアリング」の手法も効果的に使われ、ハッキングのリアルな恐ろしさと面白さを伝える。 - 「Who Am I?」(私は誰?)というテーマの深掘り
ベンヤミンが抱える「自分とは何者なのか」という問いが、物語の根底に流れる。現実世界では冴えない孤独な若者だが、ネットの世界では天才ハッカーとして注目を浴びることで、彼は自身のアイデンティティを模索する。またハッカー集団のメンバーそれぞれも心の闇や葛藤を抱える。 - 予測不能な多重構造の物語
物語は、ベンヤミンが自首し、尋問室で女性捜査官にこれまでの経緯を語るという形式で進行。しかし彼の語る「真実」は何度も二転三転し、何が本当で何が嘘なのか、最後まで観客を翻弄する。騙し合いの連続と、どんでん返しに次ぐどんでん返しがこの映画の見どころ。 - ドイツ映画とは思えないスタイリッシュな映像
ハリウッド映画に引けを取らないほどスタイリッシュで洗練された映像。ハッキングの様子を視覚的に表現するCG、登場人物たちの心理を反映した映像演出が緊迫感を高める。 - 個性的なハッカー集団「CLAY」のメンバー
自信家でカリスマ性のあるリーダー・マックス(エリアス・エンバレク)、皮肉屋のシュテファン、そして物静かなパウルという、それぞれ異なる個性を持つハッカーたちが登場。
トリビア・撮影裏話など
- 監督・脚本を務めたバラン・ボー・オダーは、このアイデアを10年以上前から温めていた。サイバー犯罪というテーマが社会的に注目されるようになったタイミングで、ついに映画化が実現した
- 監督は、本作の脚本を執筆する際にフィンチャーの『ファイトクラブ』から強いインスピレーションを受けたと語っている。主人公の多重人格的な側面、現実と虚構が入り混じる構成に影響が見られる
- 登場するハッキング技術は、専門家の監修のもと、可能な限りリアルに再現された。一般的な知識のない観客にも分かりやすく、かつハッカーの視点から説得力のある描写となるよう工夫された
- 本作はドイツ国内で大ヒットし、独創的なストーリーと完成度の高さからすぐにハリウッドでのリメイクが決定。リメイク版は『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』の脚本家であるサム・エスメイルが監督を務め、アンジー・リーが主演を務めるという
- 音楽もスタイリッシュな雰囲気を盛り上げる。ハッキングシーンでのテンポの良いサウンドトラックが没入感を高める
ピエロがお前を嘲笑うの人物相関図
ピエロがお前を嘲笑う あらすじ
殺人事件への関与を疑われ国際指名手配されていた天才ハッカー・ベンヤミンが警察に出頭する。その自白によれば、きっかけは、想いを寄せる女性マリのために試験問題を入手しようとしたことだった。その後、野心家のマックスと出会った彼は、2人を中心にハッカー集団CLAY (クレイ)を結成。そして、遊び半分に手当たり次第にハッキングを繰り返し、世間の注目が高まっていくことでいつしか有頂天になっていく。
ピエロがお前を嘲笑うを観るには?
ピエロがお前を嘲笑うのキャスト
マックス – エリアス・ムバレク
シュテファン – ヴォータン・ヴィルケ・メーリング
パウル – アントニオ・モノー・Jr
マリ – ハンナー・ヘルツシュプルンク
マルティン・ボーマー – シュテファン・カンプヴィルト
ハンネ・リンドベルク – トリーヌ・ディルホム
ピエロがお前を嘲笑うのスタッフ
監督 – バラン・ボー・オダー
脚本 – バラン・ボー・オダー、ヤンチェ・フリーセ
製作 – クイリン・ベルク、マックス・ヴィーデマン
『ピエロがお前を嘲笑う』は、単なるサイバー・スリラーに留まらず、アイデンティティの探求という哲学的なテーマを、スタイリッシュな映像と予測不能な展開で描き出した、見応えのある作品です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。