ゲット・アウトの感想
黒人カメラマンのクリスは付き合いはじめて5ヶ月(クリスが4ヶ月だと思っているのも伏線か)の白人大学生ローズと、ローズの両親アーミテージ夫妻(ラブクラフト「ダンウィッチの怪」の教授と同姓)を訪れることに。
ということで主要な舞台はアーミテージ家に移る。ニューヨーク郊外のようで、実は、劇中のタナカ役で出演した大山泰彦氏(結構コワい台詞を与えられている)によれば、フェアホープというアラバマの高級避暑地で撮られたらしい。
道中、鹿をはねる不穏な演出を挟みつつ、アーミテージ家に着くと、夫妻がなぜか異様に黒人贔屓で気味が悪い。「白人のような喋り方」をする黒人のメイド(ベティ・ガブリエルという女優だが、この演技がかなり見もの)や庭師は得体が知れないし、ローズの弟はどこか残忍な目つきをしている。禁煙すべきだと言われたクリスは、拒んだはずなのにローズの母親に催眠療法をかけられてしまう。そして翌日、一族の懇親パーティなるものが開かれ、クリスの違和感は極限まで高まっていく。
クライマックスの手前(屋敷を去ることに決めたクリスが、さまざまな黒人とローズの2ショット写真をクローゼットで発見するあたり)までの行き詰まる展開は、目が離せない。
クリスから電話で状況を聞かされたTSA勤務の親友ロッドは、それは黒人を性奴隷化する秘密結社に違いない、「『アイズ・ワイド・シャット』の世界だよ!」とミスリードをかますのだが、最終的に、本当にキューブリックの映画と同じ秘密結社だということが判明したり、常習的に脳移植外科手術を行っていることがわかるのは、残念ながら少し興醒め。いわば、おびただしい伏線をこそ楽しむ映画であった。
親友ロッドが属するTSA(9.11後に設立された対テロ機関)という機関が物珍しかったのだが、よく考えたら、「セキュリティ・チェック」の主人公(空港の荷物チェック係)も同じTSA職員だった。日本にはない組織なので、ちょっとピンとこないな。
ゲット・アウトのあらすじ
黒人カメラマンのクリスは白人の恋人ローズとともにローズの両親アーミテージ夫妻に会いに行くことに。黒人であることが受け入れられるかが気がかりなクリスだったが…
ゲット・アウトを観るには?
ゲット・アウト キャスト
ローズ・アーミテージ(クリスの恋人) – アリソン・ウィリアムズ
ミッシー・アーミテージ(ローズの母親) – キャサリン・キーナー
ディーン・アーミテージ(ローズの父親) – ブラッドリー・ウィットフォード
ジェレミー・アーミテージ(ローズの弟) – ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
ロッド・ウィリアムス(クリスの親友) – リル・レル・ハウリー
アンドリュー・ローガン・キング(懇親パーティの客) – ラキース・スタンフィールド
ジョージナ(黒人メイド) – ベティ・ガブリエル
ウォルター(黒人の庭男) – マーカス・ヘンダーソン
ジム・ハドソン(盲目の画商) – スティーヴン・ルート
ゲット・アウトの作品情報
脚本 – ジョーダン・ピール
製作 – ジェイソン・ブラム、ショーン・マッキトリック、エドワード・H・ハム・Jr.、ジョーダン・ピール
製作総指揮 – レイモンド・マンスフィールド、クーパー・サミュエルソン、ショーン・レディック、ジャネット・ボルトゥルノ
音楽 – マイケル・エイブルズ
撮影 – トビー・オリヴァー
編集 – グレゴリー・プロトキン
製作会社 – パーフェクト・ワールド・ピクチャーズ、ブラムハウス・プロダクションズ、QCエンターテインメント、電通
配給 – アメリカ: ユニバーサル・ピクチャーズ、日本: 東宝東和
公開 – アメリカ: 2017年2月24日、日本: 2017年10月27日
上映時間 – 103分

