アスの感想
「ゲット・アウト」「NOPE/ノープ」に続いて、順番が逆になったけど鑑賞。結構コワかった。
舞台はサーフィンの名所として名高いサンタクルーズ。
かつてこの海岸のファンハウスでドッペルゲンガーと遭遇してPTSDになったことかあるアデレードは、夫と娘、息子とこの地の別荘を訪れたのだが、不吉な予感が止まらない。案の定、その夜、一家4人のドッペルゲンガーたち(顔は同じだが中身は野獣)が一家を襲ってきた、という話。
命からがら隣家に逃げ込むと、その一家もすでにドッペルゲンガーたちに全員殺されていた。呼んだはずの警察も来ず、どうやらアメリカ中でドッペルゲンガーによる襲撃が始まっているらしい。
ここまでの、シャマラン的な不穏さに満ちたほのめかしは非常に豊かで、例によってクラシックホラーへのオマージュに満ちている。
監督はキャストに共通の映画言語を持たせるため、撮影前に11本の映画を提示したそうだ。
鳥
ジョーズ
デッド・アゲイン
シャイニング
シックス・センス
ババドック 暗闇の魔物
イット・フォローズ
ファニーゲーム
マーターズ
モールス
箪笥
とまあ、ゾンビ映画もどきで終わっても良かったような気がするが、この監督はやはりそれでは満足できないらしく、終盤にかなり長い「説明」が入る。
じつはドッペルゲンガー(テザードと名づけられている)たちは政府が中止したプロジェクトで生まれたクローン人間で、研究所の閉鎖から数十年地下で過ごしてきた積年の恨みを果たすために地上から出てきたのだという。
テザードには魂がないのでオリジナルと同じ動きしかできないとか、オリジナルを殺した後は手と手をつないで列をなす(ラストカットは何百キロも続くテザードたちの空撮だ)とか、地下の研究所には実験用だったのだろうウサギが繁殖しまくっていたとか、わけのわからない不気味さもあるのだが、突きつめるといろいろおかしいので、やはり「枯れ尾花」は蛇足である。種明かしをするまでが楽しさのメインという手応えは第1作と同じなのだった。
ラストにはわりと予想のつくどんでん返しがあり(その伏線も前半でたくさん張られている)、単純なハッピーエンドではない。
なんでも物欲で生活をハッピーにするスノッブぶりがほほえましいヒロインの夫が、最後まで頼りないのがいい。あと、地下の研究所に降りていくエスカレーター(一方通行)は、「サイレントヒル」で延々と上らされる灯台の階段を意識しているだろう(は小島秀夫のプロジェクト「OD」にも参加している)。
アスのあらすじ
1986年、幼いアデレードはサンタクルーズの遊園地にあったファンハウスで自分と瓜二つの少女に遭遇し、深いトラウマを負う。月日は流れ、家族と共に再びその地を訪れた彼女は不吉な予感に怯えていた。その夜、別荘の前に自分たちと全く同じ姿をした謎の4人組が出現。赤い服を纏い、黄金のハサミを手にした「彼ら」の正体は何か。平穏な休暇が自分自身との命懸けの死闘へと変貌していく。
アスを観るには?
アス キャスト
ガブリエル・“ゲイブ”・ウィルソン / アブラハム – ウィンストン・デューク
ゾーラ・ウィルソン / アンブラ – シャハディ・ライト・ジョセフ
ジェイソン・ウィルソン / プルートー – エヴァン・アレックス
キティ・タイラー / ダリア – エリザベス・モス
ジョシュ・タイラー / テックス – ティム・ハイデッカー
ラッセル・トーマス / ウェイランド – ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世
レイン・トーマス / アーサ – アナ・ジョップ
ベッカ・タイラー / イオ – カリ・シェルドン
リンジー・タイラー / ニックス – ノエル・シェルドン
ダニー / トニー – デューク・ニコルソン
ナンシー / シド – カーラ・ヘイワード
グレン / ジャック – ネイサン・ハリントン
アス 作品情報
製作 – ジョーダン・ピール、イアン・クーパー、ジェイソン・ブラム、ショーン・マッキトリック
製作総指揮 – ダニエル・ルピ、ベアトリス・セケイラ
音楽 – マイケル・エイブルズ
撮影 – マイケル・ジオラキス
編集 – ニコラス・モンスール
製作会社 – ユニバーサル・ピクチャーズ、モンキーパー・プロダクションズ、パーフェクト・ワールド・ピクチャーズ、電通
配給 – アメリカ: ユニバーサル・ピクチャーズ、日本: 東宝東和
公開 – アメリカ: 2019年3月22日、日本: 2019年9月6日
上映時間 – 116分

