白頭山大噴火の感想

白頭山の場所
この活火山が「中国と北朝鮮の国境近くにある」という地理を最大限にクローズアップしたポリティカルフィクションである。
冒頭で北朝鮮がアメリカによる非核化に合意したことが報道されたかと思うと、すぐに白頭山が大噴火してクライマックスレベルの大地震特撮シーンが始まり、その本気度に驚かされる。マ・ドンソク演じる、韓国政府に屈折した思いを抱くアメリカ国籍の地質学者は、あと3回の噴火が起こり、4回目では列島の半分が被災すると予言。それを止めるには核弾頭でマグマ溜まりの圧力を低下させるしかないという。タイムリミットは75時間である。
韓国は核保有していないので、米軍が北朝鮮から接収した核弾頭を奪取する計画が立案され、大統領がそれに合意するあたりから、話は斜め方向にぶっとんでいく。輸送・爆破を担う実行チームと、核弾頭を解体し爆弾を製作するチームが投入され、爆発物処理に携わっていたものの除隊直前のハ・ジョンウが爆弾制作チームに編入されることに。しかし輸送機は火山灰でエンジンがやられて不時着、実行チームは全員死亡して爆弾処理チームが全任務を遂行せざるをえなくなってしまう。
核弾頭奪取の手引きをするのは北の工作員であるイ・ビョンホンだが、これがかなりの曲者で、なだめすかして核弾頭奪取には成功するものの、弾頭を引き渡して出国する密約を中国側と結んでいた。
かくして、噴火による周期的な地震が相次ぐ中、韓国側の作戦が米軍にバレたりして、核をめぐって裏切りと逃亡、戦闘が繰り広げられ、主人公たちと米軍、北朝鮮軍、中国マフィアが入り乱れて大混乱になるのだが、画面は緊迫しているものの、「なんで俺がこんな目に」というハ・ジョンウの嘆きが笑いを誘いつつ、「まさか」という疑いを抱く暇もないノンストップで進む筋運びは見事のひとこと。イ・ビョンホンが韓国ドラマの結末を知りたがるいつものお家芸も繰り出されたり、ハ・ジョンウは妊娠中の妻をソウルに残しており、そちらも津波に襲われたりして、息をつかせぬ展開で最後まで突っ走る。
実際、北朝鮮の地下核実験場である豊渓里は白頭山はの核実験場から130キロしか離れておらず、実験に使用された水爆の爆破規模は広島の10倍もあったことから、実験が白頭山の噴火を誘発する可能性があると指摘されている。本作について、北朝鮮は「虚偽と捏造に満ちた荒唐無稽で不純極まりない反共和国映画」と強く非難している。
白頭山大噴火のあらすじ
北朝鮮の白頭山で大規模噴火が発生、朝鮮半島は未曾有の危機に陥る。地質学者のボンネはさらなる巨大噴火を防ぐため、北朝鮮の鉱山で核爆弾を爆発させマグマの圧力を下げる作戦を提案。除隊間近の爆発物処理班インチャンは、身重の妻を救う条件で北朝鮮の工作員ジュンピョンと協力して核弾頭を奪取する極秘任務に就く。
反目し合う二人だったが、米軍の妨害や決死の脱出劇を経て次第に父としての絆を深めていく。最終局面、インチャンは自爆覚悟で爆弾と共に坑道へ降りようとするが、ジュンピョンが身代わりとなってリフトに乗り込み、命を賭して噴火を阻止。1年後、再建へ歩む半島でインチャン一家はジュンピョンの娘を家族に迎え、平穏な日々を過ごしていた。



